第二十三話 「全魔力解放」
「ニキ!」
「了解! 第三階級炎魔法"グラム・ブラスター"!」
ニキが魔法陣を展開する。
燃え盛る炎が一直線にギルへ襲いかかった。
だが、ギルは避けない。
左腕のガンドレッドを外すと、そのままニキへ向かって投げ放った。
――ブォンッ!!
その速度は、音を置き去りにするほどだった。
(……速いッ!!)
ニキは本能で悟る。
(まずい……!)
(これをまともに受けたら――)
「ハイン!!」
クロードの声が飛ぶ。
ハインは迷うことなく盾を投げた。
――ガキィィン!!
盾とガンドレッドが激しくぶつかり合う。
金属音が森に響き渡る。
衝撃でガンドレッドの軌道は逸れ、そのまま近くの木へ深々と突き刺さった。
「……っ!」
ニキは冷や汗を流しながら息を吐く。
「あ、あいつ……!」
「本気で来やがった!」
ギルは口元を吊り上げる。
「本気でやり合おうぜ……お前ら。」
地面を強く蹴る。
――ドンッ!!
土が弾け飛ぶ。
「っ!?」
クロードの瞳が見開かれる。
(さっきより速い……!)
一瞬で間合いを詰められる。
「クロード!!」
ニキが叫ぶ。
だが、もう遅い。
ガンドレッドの拳がクロードへ振り抜かれる。
クロードは咄嗟に剣を構え、真正面から受け止めた。
しかし――
(重い……!)
(片手とは思えない威力だ……!)
――ドォォン!!
衝撃が全身を貫く。
「がはっ!」
クロードの身体は五メートル以上吹き飛ばされ、地面を何度も転がった。
ギルは木に突き刺さったガンドレッドへ歩み寄る。
それを引き抜き、静かに左腕へ装着した。
「そんなもんじゃなかったよな?」
「出し切ろうぜ。」
「お互い。」
ミリアは急いでクロードへ駆け寄る。
「第四階級回復魔法"バイタル・ブレス"!」
淡い光がクロードを包み込む。
傷がゆっくりと塞がり、乱れた呼吸も落ち着いていく。
クロードは立ち上がると、口元の血を拭った。
そして、小さく笑う。
「いいぜ……。」
「出し惜しみは、もうやめだ。」
ギルは静かに息を吐く。
「そうこなくちゃな。」
「……全魔力解放。」
その瞬間だった。
今までとは比べ物にならないほどの魔力が、ギルの身体から溢れ出す。
空気が震え、木々がざわめいた。
その場にいた全員が思わず息を呑む。
ギルはゆっくりと右手を掲げる。
「モードチェンジ――ガンマン。」
〈第二十三話・了〉




