第十七話 「チームの綻び」
ミラティアの森。
王都から少し離れた場所に広がる、王国管理下の森林。
背の高い木々が空を覆い隠し、昼間だというのに森の中は薄暗い。
湿った風が木々を揺らし、静寂だけが辺りを包んでいた。
俺たち二十四人は、森の入口に整列していた。
その前へ、一人の試験官が歩み出る。
「これより、第二次試験を開始する。」
試験官の後ろには、六本の旗が立て掛けられていた。
「今回の試験は、旗取り試験だ。」
試験官は旗を一本手に取る。
「各チームに一本ずつ旗を渡す。」
係員が順番に旗を配り始めた。
俺たちCチームにも一本の旗が渡される。
深い紺色の布に、王国の紋章が刺繍されていた。
「制限時間は二時間。」
「この旗を守りながら、他チームの旗を奪え。」
「魔法、スキル、武器の使用は自由。」
「ただし、殺害は禁止だ。」
「それでは――開始だ!」
試験官の合図と同時に、各チームが一斉に森の中へ駆け出した。
(……各チーム、森の外周から散開したか。)
(中央付近にも反応がある。先に陣取るつもりか。)
まずは敵の位置を把握する。
焦る必要はない。
情報がなければ戦えない。
「とりあえず周辺を探索しよう。」
「俺とルシアで情報収集をする。」
「その間、レオンとギルは旗を守ってくれ。」
「了解!」
レオンは力強く頷いた。
「私も頑張るね!」
ルシアも笑顔で返事をする。
だが――
「お前ら、馬鹿なのか?」
ギルが鼻で笑った。
「何でガキの指示に従わなきゃならねぇ。」
「情報収集? そんなもん必要ねぇ。」
「敵を倒して旗を奪えば終わる話だ。」
「俺はお遊びに来たんじゃない。」
「お前らと馴れ合うつもりもねぇ。」
言い終わるより早く、ギルは森の奥へ走り出した。
「ちょ、おい!」
レオンが慌てて叫ぶ。
「待って!」
ルシアも後を追おうとする。
「待て!」
俺も声を張り上げる。
「一人で突っ込めば囲まれる!」
しかし、ギルは振り返ることなく木々の奥へ消えていった。
静寂だけが残る。
(……最悪だ。)
(これではチームじゃない。)
(冒険者は、一人では生き残れない。)
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〈十七話・了〉




