第十六話 「冒険者試験」
俺は、ずっとこの日を待ち望んでいた。
理由は、九歳になると冒険者試験の受験資格を得られるからだ。
冒険者になれば、様々なダンジョンへ行ける。
何より、グレイスを殺した魔人の情報を集められる。
そして今、俺は冒険者ギルドの前に立っていた。
「すみません。冒険者試験を受けたいのですが。」
俺は受付にいた綺麗な女性へ声をかけた。
「冒険者試験ですね。第一次試験は筆記試験、第二次試験はパーティ試験になります。
なお、パーティはギルド側で編成します。
試験は明後日の午前九時からです。」
「分かりました。」
俺は一度、家へ帰った。
「オーグ、ヴァルト。冒険者試験は、明後日受けることになった。」
「そうか。」
ヴァルトは無愛想にコーヒーを飲みながら答えた。
「アルよ。冒険者試験では、第三階級魔法以上は使うでない。試験が試験じゃなくなってしまうからのう。」
「分かったよ。」
そして、いよいよ試験当日になった。
受験者は、総勢百四十七人。
第一次試験は筆記試験。
筆記試験は対策をしていなければ、かなり難しい。
魔物の知識、世界の歴史、薬草の効能など、冒険者として生き残るための様々な問題が出題される。
問一。
「ブラッドウルフの弱点を答えよ。」
(ブラッドウルフは嗅覚に優れている。刺激の強い香辛料や煙幕を浴びせれば、一時的に行動を鈍らせられる。)
幼い頃から叩き込まれた知識ばかりだった。
そして、第一次試験が終わった。
「第一次試験の合格者を発表する。
アル・レイン。
ミリア・セレス。
フィン・アルディス。
レオン・クロイツ。
……計二十四人。
合格者は三十分後、ミラティアの森で第二次試験を開始する。
速やかにミラティアの森へ移動せよ。」
こうして俺は、第二次試験へ進んだ。
「これからチームを発表する。」
Aチーム
・クロード・ヴァイス
・ハイン・グレイ
・ニキ・ローウェル
・ミリア・セレス
Bチーム
・トア・クロム
・バン・ガルド
・ペン・フェルド
・ユズ・リーファ
Cチーム
・アル・レイン
・ギル・ハルト
・レオン・クロイツ
・ルシア・エルフィン
Dチーム
・ネオ・アスト
・フィン・アルディス
・ホーク・レグナ
・メイ・フローラ
……
「計六チームだ。発表したチームごとに集まれ!」
「レオンです。僕はタンクが得意です。前に立って仲間を守るのが役目です。よろしくお願いします。」
レオンは穏やかな笑みを浮かべ、頭を下げた。
「私はルシア! 回復魔法と補助魔法が得意だよ! みんなで合格を目指そうね!」
人懐っこい笑顔。
その場の空気が少しだけ和らいだ。
「……ギル。」
短く名乗る。
それ以上は何も言わない。
(無愛想な奴だな。)
最後に俺も口を開いた。
「アルだ。よろしく。」
すると、ギルは俺をじろりと見た。
「何だよ、ガキと一緒かよ。」
「ガキじゃない。“アル”だ。」
「へっ、そうムキになるなよ。」
二人の間に、少しだけ張り詰めた空気が流れる。
「まぁまぁ、お互い初対面なんだしさ。仲良くやろうぜ。」
レオンが慌てて割って入る。
「そうだよ、二人とも! 仲良くいこ!」
ルシアも笑顔で続けた。
(……ギルから感じる魔力が、あまりにも少ない。本当にこれがあいつの実力なのか……?)
ただ、本当に魔力量が少ないだけかもしれない。
だが、どうにも引っ掛かった。
(……先が思いやられる。)
〈第十六話・了〉




