1.俺とイカれた世界
勇者を辞めた(辞めさせられた)俺は胸の中を渦巻くモヤモヤと戦いながら家に帰った…
俺はなぜあいつよりも劣っていると判断されたのだろうか…俺はしっかりと努力を重ねたつもりだ…
この世界では努力は評価されないのか?
結局はその人の持つ位や身分に引っ張られ、正しく人を評価できない
そうだ、この世界はまともじゃない 人の本質も見れないこの世界なんて……!
『ない方がマシ…』
その瞬間、俺の胸の中にあったモヤモヤが一瞬で俺の体を包んだ気がした
勇者のままでは味わわなかったであろう この感覚……
おそらく正義とは真逆…闇に近い…だが、魔物とはまた違う……
そうか、これが【憎悪】……!
『フ、フフフフフ……アハハハハハ!!!』
なぜだろうか、苦しいほど悲しく憎々しいはずなのに自然と笑いがこみあげてくる!
俺は今とても幸せだ!そうだよ、これをポジティブに捉えよう…
俺は解放されたんだ!あのクソ疲れるような冒険の日々から!
あぁ………この気持ちをあいつにも味わってほしい…
俺からすべてを奪った国王、そして…ケントに……!
そうだ、復讐だ復讐…俺が復讐してやらないと… フフフフフ……
衛兵「ラオ殿、ラオ殿! 国王様から命令だ」 家の戸が叩かれる
なんだ…今さら…最高の気分だったってのに…
『何? なんの用だい?』
衛兵「今日より、ケント様が新たに勇者になられる!しかし、ケント様は剣技を心得ておられぬ!」
「よって、ラオ殿をケント様の剣の指南役に任命することとなった 即刻、城に戻られよ!」
剣技も心得てないやつを勇者にして、俺を指南役にってか…
ふ、やっぱりイカれてるなぁ この世界は… まあその分壊しがいがあるってことか
あと指南役ほどケントに近い役割になるのは復讐するにあたっても好都合だ
『わかった! すぐに向かおう!』
俺はすぐに城に戻った
国王「できれば貴様の顔はもう二度と拝みたくないと思っていたが仕方あるまい
ケント様直々の指名だからな…」
『ケント…様が?』
国王「ああ、そうだ ケント様はもう訓練場におられる さっさと行かれよ」
俺は急かされて訓練場に行った
ケント「待ってたよ ラオさん!」
こっちの気持ちをわかってんのか!と言おうと思ったが兵士も見ているためそれはやめておいた
それにしても元気な青年だ
俺の状況を知らないのかよく話しかけてくるが全て俺には煽りにしか感じれない
『さて、ケント様、まず剣技の基本の斬撃からやっていきましょうか…』
ケント「うむ」
―――3時間後―――
クソ、いつまでやるんだ!この坊主は…! なんだ!何の罠なんだ⁉ 俺が弱っている今を狙って…⁉
ダメだ! こんなところでバテるわけには…!
ケント「ふう、こんなところにしておこう ありがとうございました!ラオさん!」
クソが…… バタッ!!
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