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14.会えない時間が何とやら、です

すみません、間違って1つ話を飛ばして投稿してしまいました。


既に読んで頂いた方、申し訳なかったです

「クラリッサ様。お嬢様方。お食事中、大変失礼致します」


 入ってきたのはベリルだった。

 出かけて、わたし達が帰宅してからは用事があるからと、側(そば)を離れますって、他の侍従に交代してたんだけど。

 


「ベリル、どうしたの?」


「こちら、旦那様が屋敷に居ない内にと思いまして。クラリッサ様宛てに殿下からお手紙が届いております」


「「「「ええええっっっ!?」」」」


「皆様、大分打ち解けたのですね。声が完全に揃っておりますよ」


「そう、ありがとう……じゃなくて、手紙!」


 ベリルが近寄ってきて、手紙を渡してくれたと思ったら、皆も近寄ってきていた。早い。


「ちょっと待ってくださいませ。先ほど変な事を言ってませんでした?」


「旦那様が居ない内に、とおっしゃってましたわね、ベリルさん」


「皆、よく気づくねー。わたし早く見たいんだけど」


 アンネ様とナッティの気づいた事に、はたと自分も気づく。フィンと同じで感心してる場合ではない。

 

 ま、まさかお父様……。


「皆様のご想像通りでございます。クラリッサ様が領地へ帰還後、クラリッサ様宛ての手紙は旦那様が確認しており、殿下からの手紙は全て燃やされて、手元に残っておりません」


「「「「えーーーっ!!??」」」」


「ちょ、ちょっと待って下さいませ!仮にもアレクは王家の者ですのよ!手紙を燃やすなど!」


「娘宛ての手紙を管理!?過保護過ぎでは!?」


「さすがにドン引き」


 アンネ様、ナッティ、フィンがそれぞれ声をあげた。

 それに続いて、衝撃で間が出来たけど両手を頬に当てて叫んだ。


「な、な、なんて事を!呪いの手紙の事を一応だけど謝罪したばっかりなのに、またやらかしてる!!お父様の親バカッッッ!」


 ──さすがに怒るよ!これはっ!!!

 殴り込みに行きたい!

 あ、でも今、出かけてるんだった!


「皆様、落ち着いて下さいませ。

 旦那様が戻れば、わたくしはこちらを提出しなければなりません。その前に目を通して下さいませ。

 あと、予測ですが殿下は、当家の旦那様が邪魔している事に気付いておられます。こうやって旦那様が居られない時間を狙って、手紙が到着するように手配しているのですから」


 え、王子様。近くにいないと聞いてるのに、何で分かるのかな。やっぱエスパー?


「そうよ。クラリス、早く開いて下さいませ。今のアレクの動向が、コレで分かると思いますのよ」


「あ、はい。読みます」


 アンネ様がわたしの隣に、ナッティとフィンはわたしの後ろ側、手紙が見えるように立った。

 それを確認したので、手紙を開いた。


『親愛なるクラリスへ


 気晴らしにと思い

 アルドン領の近くに来ている


 アルドンの南東の

 ハンザック領ロートルの町に滞在している

 街道沿いで賑わっている町だ


 幾度か手紙を出したが

 返信が無く、心配している


 この手紙も、手元に届くのか

 心配ではあるが、出すことにした


 ロートルでは、花を育てている所が多く

 街中も彩りが鮮やかだ

 

 一緒に街を歩けたら

 とても楽しいだろうと思う


 君に贈りたい花を見つけたが

 手紙と一緒には難しいので

 花の種類だけでも示したいと思う


 鮮やかな赤色のカーネーション


 今、一番に君に届けたい


 もっと君を知って

 君に似合う花を自ら見つけたい


        アレクシスより


 P.S.侯爵に魔道具を止めるよう

 進言してくれると嬉しい   』

 



「んがーーー!かゆいっ!むずかゆいっ!何だコレはっ!何故か自分では分からないけど、かゆいっ!」


「こら!フィン!人様の手紙に文句を言うんじゃありません!姉としては弟のこんな手紙読むなんて、こんな、こんなに恥ずかしいとは思いませんでしたわ!」


「まあぁ!これこそ恋愛物語ですわ!憧れますわ〜!わたくしも、こんな手紙を貰ってみたいですわ〜」


 ──ナッティだけ悶えてるね。


「…………」


 わたしの感想、フィンに近いんだけど。

 どうして、この短期間に『親愛』やら『君』やらと、進化しまくってるの。


「あら、クラリス。言葉も出ないくらい嬉しくなってますの?」


「アンネ様、この顔を見て。そんな事思ってるように見えます?」


 アンネ様が横からジーッと見てくる。なので、その顔をそのまま向けて見せてあげた。


「眉間にシワ寄せてますわね」


「デスヨネー。会わない内に色々と進み過ぎていて、引いてる顔です。皆に質問。まさかと思うけど、このカーネーションにも意味あったりするの?」


「えっ?」


 アンネ様、ナッティ、まさかのフィンまで怪訝そうな顔になってしまった。

 ベリルに至っては、おでこに指を当ててフルフル首を横に振っている。


 ──ま、不味い!これは、貴族は当たり前に知ってる時の反応だ!

 

 で、でも前世は花言葉がある事は知ってても、知ってても役に立たないじゃーん、と思ってたし。


 今世もほぼ一緒の理由!貴族に興味ないから必要ないと思ってた勉強の1つだ!お母様の用意した教本にはあったけど、開いてもいない!


「クラリス……貴女、本当に貴族と交流する気が無かったのですわね。花言葉は異性とのやり取りが主ですから、気持ちは分かりますけど」


「勉学は実力を隠していただけで、とても優秀なのでしょう?主要な花だけでも、クラリスならすぐに覚えられそうですけれど」


「わたしもお嬢様を取り繕うのに、アンネからいっぱい本を渡されたから、お店で基本に揃えてる花だけは分かるよ〜。珍しいのは全く分かんないけど」


 ──な、なんと。

 アンネ様、ナッティだけでなく、フィンにもある知識なんて。


「ううう……既視感がまた……。これから教本読むようにするから、今回は教えて下さい。お願いします」


 ──お母様。教本無視してごめんなさい。


 アンネ様は、おろおろしかしていないわたしに、はぁと一息ついて教えてくれた。


「赤いカーネーションの花言葉はね、『あなたに会いたくて、たまらない』ですわよ」


「なんて?」


「もう!現実逃避はいらなくてよ!

 もう一度言いますわよ

 『あなたに会いたくて、たまらない』ですわ!」


「直球ーーーーーーっ!!!」


「ごほんっ!

 クラリッサ様!落ち着いて下さいませ!」


 ──ベリル、ごめんそれどころじゃない!


「チョッキュー?なにそれ」


「クラリス、また面白くなってしまいましたわね」


 皆、色々言ってるけど、突っ込む余裕がない。


 ──わたし、何回、殿下の手紙に驚きまくればいいの。

 

 しかし、普通に書いてあるのも進みすぎなのに、花言葉で既にお付き合いまでしてる風にまで書いてくるとは。


 ──あ!!!


「ベリル……これ、何度目かの手紙って言ってたよね。お父様、これと同じような内容のもの、勝手に読んでたって事!?」


「あ、考えから戻ってきましたわね」


「ナッティ、クラリスの反応好きでしょ」


「ちょっと2人共、ベリルさんの反応見逃すわよ」


 3人がヒソヒソ言ってるけど、今はそれより、ベリルに確認しないと!


「……先程から、そうお伝えしております。

 内容は違いますが、明らかな恋文が一昨日と昨日と続いて届き、旦那様が火柱を派手に上げて消し炭にしていたと聞いています。わたくし、クラリッサ様についておりましたので、目撃したのは主人ですが」 


 ベリルの旦那さんは、お父様の乳兄弟でもある、筆頭侍従で執事のバーナード。

 お父様が暴走する時は、お母様かバーナードが助けてくれるんだけど、今回もか!


「…………もしかして、ベリル。あなた、殿下がアルドンに入れない理由も知ってるの?

 ここにいる皆が、殿下が近くに来ていないのは何かあるんじゃないかって教えてくれたんだけど」


「まあ、皆様。本当に優秀ですのね。為人(ひととなり)や、ほんの少しの情報で、そこまで推理できるとは。クラリッサ様も見習わないとなりませんよ」


「お説教はいらないから!教えなさい、ベリル!」


 こうやって、ベリルが斜め上な事を言ってくる時は、お父様やお母様に口止めされてたり、時間稼ぎしたりする時だ。

 だから、命令に切り替えたのだ。


「…………旦那様は王家の者を弾く結界の魔道具を開発し、領界に設置したとおっしゃっていました。しかも、主街道全てに」


「えっ、弾く!?王家の者だけ!?」


「まぁ!そんな事ができますの!さすが侯爵ですわね!」


「主街道全て!?主街道は10本以上ございますわよ!?」


「あー、だから平和そうなハンザックに居るのか」


 わたし、アンネ様、ナッティ、フィンで、ベリルの話に食いついたけど、ベリルは無表情のままだ。


「ん?お待ちになって。わたくし、通れていますわ」


「アンネ様のお母様は王姉殿下ですわね」


 そうなのか。

 従姉妹というのは、王様の姉がアンネ様の母親ということか。初めて知った。


「その辺りの調整など、詳しくは存じません。わたくし、魔道具はあまり詳しくないのです。ただ、大結界と小結界を解析したともおっしゃっていましたので、理由はその辺りかと」


 ベリルの言葉に、アンネ様とナッティが2人とも眉間にシワを寄せながら考察を述べ出した。


「それは、領主の特権と言っても良いかもしれませんわ。魔学でも結界は、自分か学生、先生が個人で張ったものしか触れる機会ありませんもの」


「そうね……領主なら小結界に触れる機会がありますわね。でもまさか、研究をしようなどと考える貴族は珍しいと思いますけれど」


「ちょっと待って!研究の話は後にして!今大事なのは、殿下が領地に入れないって事でしょう!?」


「あ!そうだったね!」


 わたしが考察を声を出して止めると、フィンが研究の話をつまらなそうに聞いてたから一番に反応した。


「でも、その魔道具どうするの?わたしは侯爵に解除して貰うしかないと思うけど」


「そうですわね。わたくしもそれしかないと思います。主街道全部に設置するなど、大掛かりな魔道具ですと、親となる部分と、子にあたる街道に設置している部分に分かれて作動している筈です」


「ナッティ、さすが詳しいですわね。でも、この手紙にあるロートルの町のアルドン側に行って、子の部分を回収すれば早いのではなくて?」


「いえ、こういった物は……あまり言いたくありませんが、子の部分に、何かあった時の為の安全措置を付ける事が多いのです」


「え、安全措置ですの?」


「子の部分に異常があれば、爆発、などですね。持ち去られて解析されても困るので、何かしら消去の手段は入れるのです」


「な、なんて物騒な!」


 アンネ様とナッティの話を大人しく聞いていた自分より、フィンの方が結果を言うのは早かった。


「あー、だから殿下もヘタに入って来れないのか。納得した」

 


 ──うん、わたしも魔道具色々作ってるから、知ってるけど……。

 

 この場合、親の部分を止めるしかない。


「結局、お父様を説得するしかないのかぁ」


「「「………………」」」


 皆、お父様の親バカぶりを、もう既に3日見てるから、目が泳ぎまくってる。

 

 否定して!

 なんか他の案を出してくれても良いよ!


 わたしが目で訴えたのに、皆は諦めた。


「クラリス、応援してますわ」


「クラリス、お父様の弱点を突くのですわ」


「当たって砕けるしかない!」


 ──み、みんな!お父様に負けないで!


「皆様!せめて一緒にお父様を説得して下さい!お願いします!!!」


「無理ですわ」


「遠慮しますわ」


「嫌だ」


「そ、そんなぁ〜……」


 がっくり項垂れるわたしに、ベリルが追い討ちをかけた。


「ああ、クラリッサ様。時間切れです。旦那様と奥様が戻られたようですわ」


 

──なんだとー!!??

 

 さっきベリルが話を反らしたのは、時間稼ぎの方だったのか!

 

 両親が帰ってくるタイミング良すぎ!


 そんな考えしか浮かばないまま、しかたなく皆にはお休みの挨拶をして。

 

 ベリルと一緒にお父様の所に向かったのだった。



  



 

お父様の悪事がバレました。


クラリッサやカトリーナが関わると、途端にポンコツ思考になる人です。

本当は凄い人なんですけどね。


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