13.ヘビに睨まれたカエルの気持ちになりました
次の日は、また課題……と思っていたら。
「あなたたち、昨日の午後は課題が良く進んでいたではありませんか。
いつまでも机に向かっていても不満が溜まるでしょうから、本日は出かけておいでなさい。明日からキッチリと午前中は課題を進めるのが条件ですけど」
お母様のお許しが出たのだ!
「カトリーナ様、ありがとうございます。わたくし、とっても楽しみにしていたのですわ!」
「「お礼を申し上げます」」
皆で喜んでお礼を行ったあと、街に出かけてキャッキャウフフ言いながら、珍しいお店に立ち寄っては大騒ぎをして帰ってきた。
とんでもなく楽しい一日でした!
お母様、ありがとう!
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「あー、アルドン領に住みたいですわ、わたくし」
「わたくし、故郷から王都に出てきて驚いたものですが、ここは王都より更に栄えている事に驚きましたわ」
「そうだよね〜。王都よりご飯もおやつも美味しいもの!」
アンネ様、ナッティ、フィンがそれぞれ褒めてくれて、とても嬉しい。
「ふふふ〜。古くからの街と言うのは王都と変わらないのだけどね。
お父様は、『面倒くさい事を言って邪魔する貴族が少ないんだよ』とか言ってた。多分、王都よりは色々と改革しやすいんだと思う」
王都は、移動で街並みを見た程度だけど、古い建物が多かった。そういうものを残すのも大事だけど、便利さには敵わないと思うのだ。
「ところで、皆様。特にフィンですけど、アレクの事見まして?」
「昨日アンネが言ってたから、今日は注意してたけど、居なかったね」
「わたくしも同じですわ。殿下の取り巻きの1人でもアルドンに入っているかと思いましたが」
「わたしも、ぜんぜん」
今日の夕食は、お父様とお母様はデートに出かけているから、皆で集まって食べている。
お母様の目が無いので、和気あいあいである。
内容が王子様の事じゃなければ、もっと楽しいと思うのに。皆やめてくれないし。
「姉として考えますと……もう10日はクラリスに会っていないからと、どうにかしてアルドンに入っていると思うのですけれど」
「あら。アンネ様、従姉妹としての線引きはもうしませんの?」
アンネ様の話の主語に、ナッティが疑問を浮かべたと思ったら、アンネ様はわたしを目を細めて横目で少し睨んだ。
「従姉妹でも関係を勘ぐる人がいますからね」
まるでヘビに睨まれたカエルです。
むむむ。
すみません。
アンネ様が王子様の事、家族としてしか見てないと、もう分かってます。
「すみませんでした……」
「本当よ。どう見たらわたくしがアレクと男女の仲に見えるのよ」
「アンネ様、見下した顔で見てましたものね。王子殿下に対してとしては、失礼ですけれど」
「まぁ、2人とも喧嘩腰だったし。気安い仲と言うのは分かったけどね!」
──ごめんなさい。アンネ様、ナッティ、フィン。今度からはよく観察シマス。
「……魔学では、アレクが勝手に周りに侍る側近気取りも御せないのかと、イライラしてましたの。仕方ありませんわ」
あの喧嘩ばかり売ってきた前半分氷男たちって、正式な側近じゃなかったの!?
あ、確かにアンネ様が『言っても話を聞かない』とか言ってた!
え、勝手に周りにいて良いの?
わたしもアンネ様の取り巻きしてたけど、ちゃんと挨拶して、仲良くなりましょうって言われたから、側にいたんだけど。
「えーと、あの身体が筋肉だらけの人と、細い眼鏡の神経質そうな人だよね?こちらに沢山文句をつけて来たのは」
「ぷぷくくっ、クラリス、名前も覚えないで、そういう感じで括っていたのね」
「クラリス様、本当にフィンに似てますわ」
「わたしは仲間がいて、ほんとーに!嬉しい!」
──不味い!適当がバレた!
アンネ様はともかく、ナッティとフィンの言葉は頂けない。うん、でもここはスルー。深く考えません!
「えー、何の事だか。それより、筋肉男と神経質男の名前の事ですよ」
「ぶっ……まあいいですわ。あの2人の名前はどうでもいいですわ。クラリス命名で行きましょう。筋肉男が、魔導騎士団第3団の副団長の息子。神経質男の方は、宰相室の誰かの息子。2人共に伯爵家よ」
アンネ様も大概適当だった。
「ぷくく、だれかのむすこ。適当過ぎますわ、ぷくくくくく……」
「ナッティ。貴女、笑いのツボがそういった所なのね。まあいいのよ。特に気にしなくても良い者たちですもの」
「気にしなくても良い者?」
わたしの疑問に、アンネ様は指を頬に当てて、目を斜め上に向けて考えていた。
「あら、知らなかったの?」
「あ、そういえば、夏季休暇前の一月はクラリス、わたしたちと一緒にいなかったじゃないか」
フィンの言葉に自分でも、王子様から逃げる為に、皆から離れてたと思い出した。すみませんでした。
「あらまぁ!そうでしたわ!うっかりしていました!アレクが何か思う事が……いえ、おそらくですがクラリスの事を悪く言ったのでしょう。あの2人は、貴女が知らない間に王学に行かされましたわ。強制的にね」
「えええ!?でも、良かったのですか!?魔導騎士団の団長候補とか、宰相候補とかだったんじゃ!?」
乙女っぽい物語だと、そういう感じだよね!?王子様の周りの、選べるヒーロー的な!
「そんな話は聞いた事もございませんわ」
うんざり顔のアンネ様の話に驚いていると、ナッティとフィンも追加情報をくれた。
「あの神経質男、わたくしより頭悪かったですし。突っかかってきて面倒この上なかったですわ」
「筋肉男も、筋肉は見かけだけか?って言うくらい、わたしより弱かったけど。何かうるさいこと言うからボコボコにしちゃってさぁ。先生にも怒られるし散々だったから、嫌いなんだけど」
──うわー!取り巻き中にイヤミ言ってくるだけじゃ無かったんだ!容赦なく嫌われてる!
しかし、わたしの友だち凄すぎる。
勉学も強さも圧倒するって。
更に言い募るアンネ様は容赦がなかった。
「あの家々は、昔は王の傍で権勢を奮っていたとかで、どうにか復権したいとでも思っていたのでしょう。王子が同年代だからと、自分の能力以上が必要な魔学に運良く入ってこられただけで、成績も下限ギリギリでしたわ。ですから、同じ歳なのに神経質男はクラスが別でしたでしょう?」
「あ、確かに」
「それなのに、アレクはクラリスの事が無ければ、あの者共を遠ざけられないなど。情けないと思いますわ」
──うわー、お姉ちゃん、キビシイ。
アンネ様の話が一段落すると、フィンが切り出した。
「殿下の横でなくて、後ろにいた奴らは強かったな〜。何回か模擬戦したよ」
「フィン、さすがに奴らはお止めなさい、奴らは。多分、殿下の親友でしょう?あの2人は」
──ナッティがフィンの言葉使いに、ついにツッコミをいれたね。
フィンは言葉も中身も武力一辺倒。
わたし、これに似てるのかー。
アンネ様は、フィンの口調は気にも留めずにフィンが言った2人の事を、うんうんと自慢げに話してくれた。
「ああ、アレクと一緒にいる2人ですわね。あの2人と殿下とわたくしは、師匠が一緒の同門ですのよ」
「「「えええっ!?」」」
「あら、そんなに驚く事かしら」
「お、驚くよ!殿下と一緒に育った、というのも驚いたのに!」
──アンネ様にそんな事情が!
「なるほど、納得です。殿下やアンネ様の、あの繊細であり、かつ豪胆な魔法は血筋かと思っていましたが、師匠が同一だった為とは」
「わ〜、側近も強いはずだ!わたしも弟子入りしたい!」
ナッティの言葉に納得。
確かにあの魔法繰り、2人で似てると思ったんだよね。フィンの言う通り、ちょっと弟子入りしてみたい!
アンネ様の魔法、凄いキレイなんだよね!
「お母様と、師匠が仲が良くて。その縁でわたくしとアレクが弟子入りしたのです。わたくしが師匠を紹介された時には、師匠の私塾に既におりましたのが、あの2人ですわ」
「まぁ……それは強いはずですわ。強いだけでなく、勉学も相当できますよね?特にシオン、でしたかしら」
──え、ナッティが認めるほど?
「ヒイラギって言う奴……人も、凄い強いよ。あ、確かに魔法はアンネに使い方が似てるかも!」
──え、フィンが『凄い』強い人発言!?
「まあ!特に紹介もしていないに、知っておりましたの?さすがですわね。実は、シオンとヒイラギは殿下の護衛も兼ねて魔学に入学したのですわ」
──ん?
シオンとヒイラギって、日本語!?
んんん?
もしかして、大福の件と関係ある?
王子様のあの侍従さん、おばあちゃんが東洋出身だとか言ってたよね。
「あの〜、もしかして、エドワードさんのお祖母様ですか?その師匠って」
「あら!気づきましたの!?そうなのですわ。遠い東洋の国出身の師匠なのです。アレクは師匠が作る大福が大好物なのですわ。その餌に釣られて、とんでもなく辛い修行をさせられたと、何回わたくしに文句を言いに来ていたか。自分のせいですのに」
「そんなに好きなの、大福。ぷぷっ」
…………トントントンっ。
話に花が咲きまくっていると、扉をノックする音が聞こえた。
皆、ハッとして、おざなりになっていた夕食を姿勢を正して食べ始める。不味い、お母様が帰ってきたとしたら、怒られるかも。
皆がちゃんとしたところで、頷きあい返事をした。
「はい、どうぞ」
アンネリゼは師匠に教えて貰って大福を知っています。
ただ、少々事情があり、好きではありません。
アレクも絡む、その辺りの番外編を書ければ良いんですが。
蛇足感が強く悩み中なのです…。うーん。




