第四十七話 晩餐
ゆずるに1通のLINEが届いた。
【迷惑で無ければ…クリスマスに遊びに行ってもいいですか?】
桜庭緑だった…
なんだろう?何故か心拍数が上がる感じ、
緑ちゃんに好きと言われた時の嬉しい気持ちが甦る…
さっきが…
『ゆずる…なんか気持ち悪いぞ…ニヤニヤして…』
真っ赤な顔で、ゆずるが、
「うるさいな〜、良いだろ!」
『ゆずる…私は何を考えてるか分かるからな…わかってると思うけど…』
ゆずるは何も言わずに、家をでた。
…ホント最悪な能力だよ、口にしなくても伝わってしまうなんて…恐怖でしかない…
家を出て、ゆずるは少し歩いた。
〜クリスマスイブ…駅に向かうゆずるは、
桜庭緑を迎えに向かっていた。
【久しぶり!ゆずるくん…ごめんぬ迎えに来てもらっちゃって…】
「全然大丈夫だよ…良く来たね!会えるの楽しみにしてたよ…」
緑はニッコリ笑った。
紀子おばさんも、緑の事は気に掛けているようで、緑に会える事をとても楽しみにしていた。
今回は、緑ちゃんは紀子おばさんの家に泊めてもらうらしい。
問題はさつき、緑に会いたいと言って聞かない。…
ただ、さつきの性格や仕草はまるで別人…化粧したらわからない…そんな気もしている。
クリスマスに、さつきを放り出すのは申し訳ないと言うのが…気持ち的に大きい、
また、それをさつきに悟られたくない…
悩みに悩み…さつきを緑に紹介してみることにした…
それを聞いたさっきは、大喜びで嬉しそうだった。クリスマスイブは、紀子おばさん、さつきと過ごす事になった。
ゆずるは、緑へのクリスマスプレゼントに懐中時計を買った。高価なモノではないが、フタの付いたクラッシックなデザインだった。
その時計は、同じモノを2ケ購入して。
一つはさつきにプレゼントしようと、考えていた。
そしていよいよ、
さつきが待つ紀子おばさんの家に、緑を招待する…。
「ただいま〜、紀子おばさん!緑ちゃんを連れて来たよ!」玄関口で弓弦が叫んだ。
さつきが緑の前に現れた。
『いらっしゃい!!』
赤いドレスを着た、金髪少女、これは分かるはずない…、ゆずるが、思った瞬間…
緑の口から小さな声で、
【雫ちゃん…?】と、声が漏れた。
さつきが、緑に向かって、
『いらっしゃい。はじめまして…
私は出雲 殺気…宜しくね!』…と、言った。
その反応に、我に帰った緑は、そんなはずないかと…さっきが差し出した握手の手を握った。
『シェイクハンド、シェイクハンド、』
さっきは握った緑の手を、上下に振った。
【あはははは…宜しく。】緑は、ご機嫌でずっと笑っていた。
緑は紀子おばさんと、楽しそうに
料理の準備をしていた。
ゆずるは、さっきと、近くのスーパーまで、買い出しに出た。紀子おばさんがスパークリングワインが飲みたいと言うので、未成年でも飲めるジュースと、一緒に買った。
『なぁ〜、ゆずる…これなんだ?』
「あ〜、クラッカーだよ。パーンってなるんだ。」
『へー。買って行こうぜ、面白そう!』
「そうだな、クリスマスらしいな!」
買い出しを、終えて
食卓に、料理を並べた。
紀子は楽しそうに、食卓の写真を撮っていた。
『こんなに楽しいクリスマスは、いつ以来かな…ありがとうねー、皆んな〜』
半分くらい泣いていた。
【紀子さん、なんで泣いてんですか…】
緑が紀子を抱き寄せた。
さっきは、緑の行動を見ながら、
小さな声で、『緑ちゃんはいい子だな…』
と、ゆずるに言った。
メリークリスマス!!
パーン!パーン!パーン!!
さっきが、
『ピストル撃った時の感覚が甦るよ〜』
と、言うと、
緑が、
【あはは…、なんだかピストル撃った事があるみたいだね…】
ゆずるが、緑に
「あるかもね。…」
と、笑って見せた。
その時、緑がゆずるの耳元で、
【さつきちゃん…何処となく雫に似てる、全然別人なんだけど…何かな〜、わかんないんだけど、初めて会う感じがしないんだよ…】
「あはは…っ!、そうだね、確かに似てる所があるかもね…」
楽しい時間は、あっという間に過ぎた最後に
さつきとゆずるから、紀子にプレゼントが渡された。
すると、緑も恥ずかしそうにプレゼントを差し出した。
紀子は、泣きながらプレゼントを抱えて座り込んだ。
『ありがとうねー!!嬉しいわ…』
それから、ゆずるが
さつきと緑にプレゼントを渡した。
【ありがとう。】
緑が嬉しそうにプレゼントを抱えた。
さつきはプレゼントを持って
『小さいな…ゆずる。』
「わがまま言うなよ!!あるだけいいだろ!」
みんなが笑った。
紀子が、静かに立ち上がって、バスケットを手にした。小さな袋に色とりどりの砂糖が付いたクッキーだ。
『久しぶりに作ったから、美味しいかわからないけど…どうぞ〜、と、一人一人に手渡した。
さっきが
『紀子おばさま!私は2ケちょうだい…』そう言って、2ケもらっていた。
『見ろ!ゆずる、私は2ケもらったんだぞ〜、良いだろ〜』
「ただのわがままだろ!」
いつまでも、笑いがとまらない…そんな夜だった。
さっきが、紀子の肩を撫でて…
『紀子おばさま、楽しそうだったな…ありがとうな、緑ちゃん…おばさまがお酒飲むの初めて見た…よっぽど嬉しかったんだと思う。』
それを聞いた緑の目に、涙が溢れた。
【私も最高のクリスマスイブでした。】
机に突っ伏して寝てしまっていた。
紀子をおんぶして、ゆずるが布団に運ぶ。
『緑ちゃん、ありがとうね。私達はそろそろ帰るけど、また明日ゆずるは来るからね。どっか連れてってもらいなよ。』
【さつきちゃん、今日はありがとうね!明日は来ないの?】
『明日はマサが、ディズニーランドって所に連れてってくれるんだ。』
「そうなんだ…マサさん頑張ったな…」
ゆずるがマサの行動力に関心した。
『いいだろう〜』
さつきはご機嫌だった。
「じゃあ緑ちゃん、後は宜しくね!」
ゆずるとさっきは、玄関を出て帰って行った。
緑は、台所の食器を洗いたす。
〜 一ノ瀬剛が、車で、移動中駅前を通り掛かった時、後部座席から駅に入っていく人並みに目を止めた。
『あいつら!!…』
金髪のさつきと、マサの姿だった。




