第四話 能力
家出を疑う紀子…
さっきは少し俯いて…
『家出なら帰る家があるからいいんですけどね…』
[どうゆう事だい…ご両親は?]
『亡くなりました…、弓弦と状況は同じですけど…私の場合自宅が火事が原因だったので、住む場所は無くなって…自殺するつもりで歩いていたら、ナンパされて強姦されそうになって逃げて来たんですけど…結局、行き先も無く…自殺するつもりで、渋沢高校に忍びこんで、屋上から飛び降りるつもりが、弓弦に会ってしまって…自殺を踏み止まったんです…』
紀子は、弓弦を睨んで…
[あんた…自殺するつもりだったのかい?]
少し声は震えていた…
「そんなわけ…」
弓弦は言いかけて俯いた…
[まあ…いいわ…よく思い止まってくれた!おばちゃん嬉しいよ…]
そう言って、二人を抱き寄せた…
さっきは小さな声で弓弦に、
『あんたは飛んでるけどね…』
弓弦は額の汗が止まらない…
それから、3人は一緒にテレビを見て楽しい時間を過ごした…
『そろそろ帰ります…』
[そうかい…また、明日朝ごはん食べにおいで…]
『はい!ありがとうございます。』
〜〜〜〜〜
二人は、紀子の家を出て自宅に帰ってきた…
『あんたさ〜、ホント今まで、おばちゃんを頼りすぎだったんじゃ無い?…』
「さつき…ありがとう、いろいろ目が覚めたよ…」
『ホント馬鹿だよね〜、あんな良い人がいるのに自殺するなんて…』
「仕方ないだろ…今まで挨拶くらいしかしてないんだから…」
『それは生きるチカラも無いくせに、他人に頼る事も出来なかったあんたが悪い!』
「耳が痛いよ…」
『そうゆー時は、〝胸が痛いよ”だろ…、耳で聞くんじゃなくて、心で受け止めろよ』
「…」
『で、明日はどうするんだ?』
「明日は学校行って退学届出してくるよ…」
『よし!少しは自分から動けるようになったな…、仕方ないから、着いてってやろうか?』
「やめてよ…自分で何とかするよ。」
さっきは少し微笑んで、
『じゃあ、明日は紀子おばさまの家にお手伝い行ってるね』
「わかった…」
〜〜〜〜〜
翌朝、弓弦は学校に向かった。
夏休み明けで、賑やかな生徒達の声が耳につく…
教室には向かわず、職員室に…
軽くノックして
「失礼しま〜す」と、中に入った。
担任の唐澤先生に声をかける
「唐澤先生!ちょっといいですか?」
『大崎…どうした?授業じゃ無いのか?』
「先生…これ…」
と、退学届を差し出した。
唐澤は少し退学届を眺めて
『聞いたよ…おばあさん、亡くなられたそうじゃないか…大丈夫なのか?』
弓弦は少し驚いた…
あれ?もっと冷たい扱いが返ってくると思っていた…
「それが…思ったより、大変で…困りました。」
と、言うと…
『当たり前だ…困った時は誰かに頼ってもいいんだ…』
そう言って、退学届を受け取った。
「お世話になりました。」
と、頭を下げた。
『なんだ、少し見ないウチにずいぶん大人になったな…』
「えっ…?」
『わかる…、全然違うよ…大崎、いろいろ大変だと思うけど、頑張れよ。』
「はい、ありがとうございます。」
そう言って、職員室を出た…
「…何か…印象が違うな…、」
少し、気持ちが楽になって廊下を歩いていると…
『あれ?…大崎じゃん…』
めんどくさい奴に見つかったな…
振り向くと、3年の坂上 雄二だった…
今まで、散々殴られたり、蹴られたり、暴力を受けてきた相手だった…
弓弦は少し微笑んで
「何か用?…」
ここで会ったのはラッキーだ…、無敵の死神の能力ってやつを試してやる…
『なんだ大崎…しばらく会わないウチに生意気になったな…指導が必要だからちょっと来いよ。』
弓弦は黙って着いていく…
…坂上〜、死神のチカラをお前で試してやる…
弓弦に恐怖心は無く、堂々とした態度は…また坂上を逆撫でた…
『大崎…お前、気でも狂ったか?』
「僕は、至って冷静だよ…忙しいから早く済ませてくれよ…」
『お前…調子に乗るなよ…』
坂上は大崎目掛けて、拳を向けた!
バキっ!!
「痛〜!!」弓弦は大きく吹っ飛んだ!
?!アレ?死神の能力?は、…
そのまま、腹を蹴り上げられた…
「ゲホ、ゲホ…」と咳き込みながら苦しんだ…
そのあと、2発くらい蹴られた時…
『坂上!あんたはいつも弱い奴ばっか相手してるな…』
坂上が弓弦への、暴力の手が止まる…
『なんだ…遠藤か?…』
『そんな弱い奴、殴って面白いの?…ダッサ…』
『おい、遠藤、俺が女に手出さないとでも思ってるのか?…』
『弱い奴にしか、手出さないと思ってる。』
弓弦が顔を上げると、金髪の女子が坂上に喧嘩を売っていた…
『遠藤テメ〜』と、掴み掛かる坂上を、
金髪のヤンキー女子は、坂上の股を蹴り上げた…
坂上はその場にうずくまる…
『がぁ〜あ…あ…』坂上が悶え苦しんでいる横を、普通に歩いて、弓弦の近くまで歩いて来た。
『大丈夫?キミ…』
そう言って、手を伸ばす。
弓弦はその手を掴み、立ち上がった…
「ありがとうございます…」
『2年生?…』
「はい、大崎 弓弦です、」
金髪のヤンキー女子は、少し微笑んで
『私は遠藤 円3年生』
弓弦は遠藤と二人で、学校を後にした…
『ねぇ…大丈夫?結構殴られたね…見てたけど…全然避けないんだもん…見てて心配になっちゃったよ…』
「不死身って思ってたんで、つい…」
遠藤はケラケラと笑って、
『なんだよそれ…笑えるな…』
「そうですね…」
『そんな怪我して帰ったら、親御さん心配するだろ…大丈夫なのか?』
「大丈夫です、両親は既に他界してますから…」
『へ〜…そうなんだ…』
なんだか、遠藤の顔が優しく見えた。
「ありがとうございました。僕…家コチラなんで…」
『送って行こうか?…』
「あ…、大丈夫です、まだ、行く所もありますんで…」
『そうか…気をつけてな…』
「はい、ありがとうございました。」
…金髪でヤンキーみたいだけど…綺麗な人だったな…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
弓弦は家に帰った、
「ただいま〜!さつき〜!!」
あっ…
そうか…紀子おばさんの家に行くって言ってたか…
この顔で、行ったら…心配されてしまうだろうな…クソ!!さつきのヤツ…嘘付きやがって…
どこが、最強なんだよ…
絆創膏って…どこにあるのかな?…
「たしか…ここの引き出し…」
「あった…。…あった!ばあちゃんの通帳!!」




