第三話 貧困
弓弦は死神さっきとの共同生活が始まった…
家に帰ると、
さっきはそのまま、死んだばあちゃんの部屋で暮らしてもらう事になった。
『弓弦…この部屋のモノ、自由に使っていいのか?』
「使えるモノなんてそんな無いだろ…好きにしなよ…」
しばらくして、弓弦はベットで横になると、寝てしまった…目が覚めた時はもう夕方だった。
そう言えば、昨日の夜から何も食べていない…
「お腹が空いたな…」
台所の冷蔵庫を開けるが…何も入っていない、
そうだ…ばあちゃんがいなくなって、何を食べればいいんだ…
『何やってんだ?弓弦…』
ばあちゃんの服を着たさっきが立っている。
「なんて格好してるんだよ!」
『これか?ばあちゃんの借りたぞ!パンツはガバガバだから、弓弦の貸してくれよ…』
「イヤだよ…パンツ貸すなんて…」
『だけど…私はこの子が自殺した日着てた服しか持ってないぞ…』
「ステテコに、ババシャツしかないわけ無いだろ…」
『それより、腹減ったな…どうするんだ?食事とか…?』
「今までばあちゃんがなんとかしてくれてたからな…どうしようか?…」
『お前…本気か?…そんな他人任せでいいのか?私が空腹で死んだら、お前は死神になるんだぞ…わかってるのか?』
「わかってるよ…ばあちゃん生活費どこにしまってあるのかな〜?」
『そうやって、人任せに生きてるからそーゆー事になるんだ、行くぞ!』
そう言って玄関に向かうさっき…
「どこ行くんだよ…金も無いのに」
『無いのは金じゃない…お前の考えようとする意識だ…誰かが何とかしてくれる…いつもそんなんだからお前は友達が出来ないんだ!』
そう言って靴を履く…
ババシャツにステテコ姿、靴はローファー姿で玄関を出るさっき。
「ちょっと待ってよ…」
慌てて、後を追いかける弓弦…
迷わず、さっきは隣りの紀子おばさんの家のチャイムを押した。
[はーい!…]と返事がして紀子おばさんが出て来た。
[あら…どうしたの?さつきちゃん…]
さっきは迷わず
『紀子おばさま!晩御飯私達に恵んで下さい!お願いします。弓弦は甲斐性が無くて…』
弓弦は恥ずかしそうに、後ろで頭を下げた。
[そんなこったろうと思ったよ…上がんなさい…お二人さん、]
さっきは『おじゃましまーす』と、玄関を上がった…
弓弦は少し躊躇ったが、靴を揃えて玄関を上がった…
『わー…ご飯中でしたか?美味しそう…』
[今、二人の分、準備するわね…]
と、笑って台所に向かった…
『私、手伝いますよ…』と、言うと、
弓弦をキックした。
「痛いな…何すんだよ!」
『こうゆー時は、お前も手伝うの!』
「あぁ…、そうか、ごめん…」
「紀子おばさん、すみません、突然…」
[私こそ…ごめんね、雪ちゃんが亡くなってからずっと心配してたのに、ゆずくんに声かけられなかった…ホントごめんなさい!]
「そんな…悪いのは僕なんで、紀子おばさんは悪くないです。ホント…」
『そうですよ、悪いのは弓弦です!馬鹿ですからホント…』
紀子はクスクスと笑った、
[はいはい、わかったから…コレ運んでくださいね…]
紀子の目に涙が光るのを、さっきは見逃さなかった。
席に座ると、3人は食事にありつけた…
[ねェ…ゆずくん…明日から、食事を一緒にしましょう…。]
「そんな…悪いですよ…」と、言いかけると、
さっきが、『そうさせていただきます…』
「えっ?何言ってんだよ…悪いだろ…」
『甲斐性ないくせに、どの口が言ってんだ…』
と、弓弦に一喝した。
『紀子おばさま…私達、お金が無くて…アルバイトして、必ずお金払いますから、しばらくお願いします。』
と、頭を下げた。
『明日から私はおばさまの、お手伝いします。バイトは弓弦がするんで…』
そう言って、ご飯を口いっぱいに入れた。
「すみません!アルバイト探すので、お願いします!!」
[ゆずくん…学校はどうするの?…]
心配そうに紀子が尋ねると、
さっきが、すかさず
『辞めます!』
「何勝手な事言ってんだよ…中卒なんて将ぃ…。」
弓弦が言葉を切った。
食卓に沈黙が流れる…
[ゆずくん…]と、紀子が言いかけると…
「辞めます!」と、弓弦が決断した様に言った。
[何もすぐに辞めなくても…しばらくお休みしてもいいのよ…]
「学校に行っても意味があるとは思えないし…働かないと…食べて行けないんで…」
[雪ちゃんの通帳やハンコは持ってるのかい?]
「見た事ないな…財布はどこにあるかわかるけど…もうお金は入って無いです。」
『探して見ようよ…どこかにはあるだろ…』
「そうだね…」
[どちらにしても、しばらくはウチにおいで…私も一人で食事するより、みんなで食べた方が美味しいから…]
『ありがとうございます。』
さっきがお礼を言って、弓弦を叩いた。
「あ…、宜しくお願いします!」
紀子はクスクス笑っていた…
[さつきちゃん…家出して来てるのかい?]
紀子の目が、真剣なのがわかった。




