第二話 死神
第1話はいかがでしたか?
読んでいただき、ありがとうございます。
弓弦の前に現れた少女。
彼女「死神」の目的は?
そして、なぜ彼女は
人間として生きたいと思ったのか。
第2話では、
少しずつ「死神・殺気」の正体が明らかになっていきます。
そして・・・
彼女の身体にも、
ある秘密があります。
「死神」と「人間」。
二人の運命は?
朝日に照らされて、髪長い女子が立っていた。
「契約って…、死神?…夢じゃなかったんだ…」
死神は弓弦の隣りに座った。
『朝日って、暖かいんだな…』
「君…死神なの?…」
『何言ってるんだよ…昨日話したろ…忘れたのか?』
「イヤ…覚えてるよ、ただ逆さまだったから…君の顔は見えてなかったんだ…」
『顔?…あぁ…そうか、私にも姿があるんだった』
「キミは、死神には見えないね…」
『この姿は、おまえの前に自殺した少女のモノだ…富士の樹海で死んだ…』
「名前はなんて言うの?」
『死んだ少女の名前は、知らない…、私は出雲の神で死を司り管理する死神 殺気だ』
「さつき か…いい名前だね、」
『殺気って…いい名前なのか?』
「かわいいんじゃない、さつき…」
『そうか…じゃあ〝さっき”でいいや、』
二人は朝日が、登るのを見ながら
並んで座っていた…
「さつきさん…その制服はどこの学校?」
『私に聞かないでよ…身体に着いてきただけだから…』
「えっ?…、じゃあ家はどこなの?」
『そんなのあるわけないでしょ…産まれたばっかなんだから…、とりあえず弓弦の家に泊めてくれよ!』
弓弦はびっくりして、
「そんなのいいわけないだろう、若い男女が一つ屋根の下なんて…」
『死神と人間だし、私はあなたの魂なんだから、兄弟見たいなモノでしょ。気にし過ぎ…変態なの?』
「違うわ!…普通、気にするだろ!」
『私の事、意識しちゃったわけ?』
「死神なんて意識しねーし。」
さっきは、少し笑って
『言っておくけど、死神はあんただからね。』
「えっ?…なんでだよ…」
『私は人間の身体に人間の魂だけど…あんたは、
死神の魂でしょ!』
「そうゆー話なの?…」
『あと、私は死ぬけど、あなたは死なないからね…』
「えっ?…もし、さつきが死んだら?僕はどうなるの?」
『そりゃ〜…魂の交換ができないから…1年後やっぱり死ぬかな…ただ死神の魂は弓弦に付いてるから死神になるのはあんたって事になるかな?…』
「え〜!!、そんな話し、聞いてないよ〜!!」
『当たり前じゃないか、そんな事話したら弓弦は承諾しなかっただろ?』
「当たり前だろ!!」
『弓弦…私が死なないように見ていないとな…』
「くっ…、なんか上手く騙された感じがするんだけど…」
『まあ…人助けだと思って…協力してよ』
「何を協力するんだよ…死神の現世旅行かよ。」
『あんた死神が、人間界を体験する為に魂交換したと思ってるの?…』
「えっ?…違うの?…」
『やっぱり弓弦は馬鹿だな…私がそんなわがままに見えるか?…言っただろ…この身体はもらった身体だって…』
「よくわからないです…」
『ふ〜…これだから自分から命を捨てられるんだよ、あんたは!…』
「悪かったな…馬鹿で…」
『弓弦は自分の命は自分だけのものだと思ってる?…あなたが死んだら悲しんでくれる人はいないの?…』
「いないよ…俺のこと心配してくれるような人なんか…」
『やっぱり馬鹿なんだね…弓弦は…世の中はね…繋がっているのよ…死んだばあちゃんやご両親があんたが死んで喜ぶと思う?』
「それは…もう…死んでるじゃん…」
『弓弦は死んだ人は、もう関係ないの?』
「…何が言いたいんだよ…」
『馬鹿の弓弦でもわかるように説明すると、この身体の持ち主は自殺した…、いや…自殺させられたんだよ…』
「自殺を強要されたって事?」
『それはわからない…ただ、一つはっきりしているのは、コレは人間の仕業じゃないって事…』
「…人間じゃ無い?…じゃあ…誰の仕業なんだよ…」
『八百万の神って聞いた事ある?…』
「無いよ…」
『馬鹿!あんたはホント馬鹿だ…』
「うるさいな…イジメるのが人間から死神に変わっただけじゃん…」
『あんたね…イジメられた原因があんたにもあるって事だってあるんだよ!』
「えっ…」
『弓弦…私は死神だから、人間の気持ちはわからない…それでも、この身体の持ち主は母親や父親に申し訳ない念と、生きて見たいと言う希望が残っているの…自殺という概念はいままで、他人に対する怒りや嫉妬、恨みの念が強いはずなんだよ…』
「…。」
『私がこの子を見つけた時…魂は空だった…意識は微かに残っていたから、身体の引き渡しの取り引きができた。』
「…ごめんなさい…、教えて下さい。八百万の神について…」
さっきは微笑んで、
『よし、教えてやろう!人間は神様の事を八百万って呼んでるんだ、いろんなモノに神様が宿ってるって考えでね……でも、私たち死神ですら、何が神なのか全てを知らないのよ。』
「それは、いろんな神様がいるって事?」
『悪魔や神霊のようなモノもなんでも、全てを総称し現段階では八百万の神と言っておこう…』
「それを、さつきは調べる為に、人間になったの?…」
『そうゆー事…、楽しむ為じゃない!わかったか…馬鹿弓弦。』
弓弦はさつきの顔を見て、
「なんだ…死神っていい奴なんだな。」
『なんだと…調子に乗ってると殺すぞ!』
「イヤ…殺せないんでしょ!僕の事…」
そう言ってさっきは、立ち上がった。
『さぁ、帰るぞ…』
「どこに行くんだよ…」
『弓弦の家に行くしか無いだろ!…』
「ハ〜…」と、弓弦は大きく息を吐いて立ち上がった。「わかったよ…」
******
弓弦とさっきが、家の前まで帰って来ると、
後ろから
「ゆずくん!!昨日はなんで帰って来ないんだい!心配したじゃないか…」
と、隣りの家の伊勢 紀子だった。
「紀子おばさん…」
紀子は弓弦に抱きついて…
「あんたになんかあったら、雪さんに会わす顔が無いよ…、良かった…無事帰って来てくれて…」
と、涙ながらに抱き寄せた…
「紀子おばさん…ごめんなさい…」
紀子は弓弦の頭を撫でながら…
「いいんだ…生きてさえいてくれたら、幸せはいつかやってくるんだよ!!」
弓弦の背中をバシっと叩いて、
「あんた雪さんが亡くなってすぐに朝帰りで、かわいい彼女を連れて帰ってくるなんざ…大したもんだねー…」
「イヤ!違うんです!誤解しないでください、紀子おばさん!」
さっきがすかさず、
『紀子おばさま…私しばらく弓弦くんとこちらで暮らしますので、宜しくお願いします。』
「そーかい…雪さんが聞いたら泣いて喜んだろうに…」
そう言って、さっきを抱き寄せた。
「お名前を聞いていいかい?」
紀子が優しく問いかけると、
『 出雲 殺気です 』
「いずも…さっき…?さっきちゃんで合ってかい?」
「紀子おばさん…さ・つ・き ね…」弓弦が言い直す、
「あ〜…さつきちゃんね…、よろしくね…」
『ハイ!宜しくお願いします。』
紀子は手を振って、家に帰って行った…
それをさっきは見送りながら、
『やっぱり、弓弦は馬鹿だってわかったろ…』
「そうみたいだね…」
第二話まで読んでいただき、ありがとうございます。
第2話では、
弓弦と殺気の「魂の取り引き」について、少し踏み込んで描きました。
そして、殺気が借りている少女の身体。
その少女の正体は?
死の直前に残された、わずかな意識。
彼女の魂は、すでに消えてしまっています。
それでも最後の数秒に残された想いだけが、
殺気によって凍結されています。
彼女はなぜ
なぜ死を選んだのか。
「自殺した」のではなく、「自殺させられた」とはどういう意味なのか。
これから少しずつ、その謎に迫っていきますので、
弓弦と殺気・・・
次回もぜひ読んでいただけたら嬉しいです。




