第二十八話 銃弾
耳の奥に、響く銃声
まどかの前に立つ弓弦。
『ゆずるくん!!』
ゆずるに後ろから抱きついて、倒れないように支えた。
『大丈夫?そのままゆっくり座って…』
「まどかさん…大丈夫です、当たっていません。」
『嘘…』
その時…弓弦に向かって発砲したチンピラが後ろに倒れた。
『アニキ!!』
周りの、チンピラが数人倒れた男に駆け寄った。
『てめー!何しやがった!』
救急車のサイレンが近づいて来る…
男の頭を銃弾が貫通、即死だった。
『マサ!大丈夫か?…今、救急車がくるからな、もう大丈夫だ。』
『お嬢…は、大丈夫ですか?…ゆずるは…』
『私もゆずるも、大丈夫だから…』
救急車が到着すると、同時に数名の警察官が入ってきた。
【全員そのまま!!動かないで…怪我人を先に搬送します。】
チンピラ達は、警察官に手錠をかけられて連行されて行った…
まどかに警察官が話しかけた。
【すみません、お店の方ですか?】
『アルバイトです』
【お怪我はありませんか?】
『ハイ、大丈夫です』
まどかは、状況を説明した。
さっきまで奥の席で数名の政治家と警視庁のお偉いさんが一緒に飲んでいたが、途中数名の男が入れ違いに入って来て発砲した。
奥で撃たれて死んでいたのは、
警視庁の警視総監だったそうだ。
まどかは、警視総監が撃たれた近くにいた、瑞穂を探した。
瑞穂は返り血を浴びて、壁にもたれ床に座っていた。
まどかはそれを見つけて、
警察官を跳ね除けて、近寄った。
『瑞穂!大丈夫?…怪我は無いの…?』
瑞穂の焦点は合っておらず、
小さな声で、『私を殺せよ…、私を殺せよ…、、』
と、繰り返していた。
まどかは、瑞穂を抱きしめて
『瑞穂…大丈夫だよ、もう大丈夫だから…』
その頃、マサがタンカに乗せられて運ばれていく…『まどかさん!僕、マサさんについて病院に行ってきます!』
ゆずるがマサについて行こうとした時、
ゆずるの前に、警官が立ちはだかった。
【すみません…あなたは、署までご同行お願いできますか?】
『ゆずる!』まどかが叫びながら、ゆずると警官の間に入る。
『ゆずるは何もやってません!』
【あなたも、ご同行お願いできますか?】
〜ゆずるとまどかは、警察に連行された。
蒲田警察署に三滝 練児の姿、
警察署に入るなり、
『オイこら!ウチの孫を連行するとは、どういう権限だ!!』
と、怒鳴り込んできた。
【どうされましたか?…】
『どうもこうも、あるか!なんもしてない人間を連行するなんざ、日本の警察はどうなってんだ!!』
【こちらへどうぞ…】
1人も若い刑事が出てきた。
『なんだおめ〜は?』
【今日1日で、200人以上こちらに連行されていますので…少し事情説明いただけますか?】
『お…おう…』
【私は警視庁捜査一課の冨樫 界と、言います。】
三滝は冨樫について行った。
【あ〜…すみません、お名前伺ってもよろしいでしょうか?】
『俺は、三滝だ…三滝練児…』
【三滝さん、誰をお探しですか?】
『あぁ…、孫だ、遠藤 円、あと大崎弓弦…ウチの社員だ。』
【大崎…、、蒲田のキャバレー襲撃事件ですか?】
『おっ…おう、そうらしい…、俺も突然娘から電話もらって…飛んで来たもんでよ…』
【大崎さんは、殺人容疑で連行されていますが…、先程、間違いだったと監視カメラの映像から確認できました。私…本庁から、その事件の確認でこちらに来ていました。】
『あったりめーだろ!ゆずるなんざ殺されることはあっても、殺す事はぜってー無い奴だからな!!…』
【被害者は、大崎さんに向けて発砲しています。監視カメラにも、その様子が映っています。】
『ゆずるが撃たれたのか?…』
【いえ…無傷です…、どんだけ射撃が下手なんだよ…って感じですかね…、私にもさっぱりわからない状況でして…ただ、大崎さんは、赤いドレスの女性を助けようと、銃口の前に飛び込んだんです。】
『ゆずるは怪我してないんだな…』
【はい。大丈夫です、安心して下さい…
あっ…、こちらの部屋です。】
冨樫が、扉を開けて中に入ると、
ゆずるとまどかが座って、お茶を飲んでいた。
『おじいちゃん!…』
『社長!…』
三滝は、少し目に涙を滲ませて…
まどかとゆずるを抱きしめた。
『まどか…なんて格好してんだ…』
『ゆずる…ありがとな、まどかを助けてくれたみたいだな…』




