第二十五話 根回
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刑事が市場に来る1週間程前…
いつものように、農場の仕事が終わって昼食を食べた後、
「愛美さん…今日、まどかさんが帰って来るまで、待っていていいですか?」
『どうしたの?まどかに用事?…ひょっとして手紙の返事だったりして…』
「いや…違います、今日はさつきの事を相談したくて…」
『じゃあ…さつきちゃんも一緒?』
「はい。さつきも一緒に話します。…あと、三滝社長も呼んでいます。…すみません勝手に…」
『えっ?…父さんも…』
さつきが、弓弦の後ろで微笑んでいた。
〜その日の夕方…
『ただいま〜』
まどかが、帰って来た。
『さつきちゃん達居る?』
『まどか!居るぞ!』と、さつきはまどかの事が大好きで、会うのを楽しみにしていた。
『あれ!?おじいちゃんも居るんだ…』
『まどか…おかえり、おじいちゃんも居るんだ…は、酷いな…俺もゆずるに呼ばれて来たんだ。』
三滝は、早く仕事を切り上げて、早々に来て待っていた。
〜 弓弦が皆んなの前に向き合って座った。
「すみません!皆さんを集めてしまって…、今日はさつきの事で、相談がありまして…」
『さつきちゃんの事?』まどかが聞いた。
「はい…さつきの事を、ここに居る皆さんにだけお話ししたくて集まってもらいました…」
三滝が
『なんで〜、結婚でもするのか?オメーら。』
愛美が、三滝を睨んで
『チャカさないでよ.嬉しい事じゃない、結婚なんて…』
「イヤ!…違いますから…最後まで聞いて下さい。さつきの口からは、説明出来ない内容なので僕からお話しさせていただきます。」
さつきは、ニコニコ笑って
『私は何も話すなって言われてるので、黙って聞いてます。』
「余計なことは、いいから…」
弓弦は、さつきを黙らせて、ゆっくりと話しだした。
「実は先日、さつきの自宅に行ってきました。紀子おばさんと二人で…」
ゆずるはまどかをチラッと見て、
「まどかさんに協力してもらって、さつきが着ていた制服から、どこの高校に通っていたかを調べたんです。…」
「静岡の富士市が、さつきの故郷だとわかりました…それで本名もわかりました。…」
『なんだよ…本名って…』三滝が呟く、
愛美が、〝しっ!〟と、三滝を聞くように鎮める。
ゆずるは愛美に軽く頭を下げて、
「さつきの本当の名前は、有村雫高校2年生です。」
「それから、さつきは両親からのDVを受けて、逃げてきました、その後一度、自殺未遂もお越しています。…」
『その話しは、本当か?…』
三滝が声を上げた。
「まだ、続きがあります。」
弓弦は声のトーンを上げた。
「それから、今から話す内容が、皆さんにも相談したい内容になります。…先日、さつきの自宅を訪ねたのですが、火事で焼けたままになっていました。…確認した所…火事になったのは8月31日…僕とさつきが出会った日の前日…」
『火事で家が無くなったって事か?』
「そうです、その火事で2体の焼死体が発見されました。…」
『それって…まさか…』愛美が口を挟む…
「さつきはやっていません…、でも、まずい事に僕と紀子おばさんが、さつきを探しに富士市に行った事で、さつきが東京で生きているとわかり、状況証拠だと焼死体が両親になり、さつきか殺人をしたように見えてしまいます。」
三滝が
『ちょっと待て…さつきちゃんはココに居るのに、なんで探しに行ったんだ?』
「それは、僕がさつきの過去を知りたくて…さつきの通っていた高校を訪ねてしまったんです。その時、さつきがDVを受けていた事を知っていたので、居場所を特定されるのを恐れ、一緒にいたが出て行ってしまった…と、紀子おばさんとも話しを合わせて情報を集めていたんです。」
『で…警察に、バレたって事か?』
「少なくとも、僕達が富士市で出会い、話をしたのは二人…さつきの担任、笹中先生と、友達の桜庭緑さんです、警察には話していません。」
『なるほど…今更、口止めするのも怪しいし、本当の事を話せば、重要参考人どころか容疑者にされてしまうって事だな?』
まどかがさつきを見て
『大丈夫?さつきちゃんは…火事の事知ってたの?』
さつきはニコニコして、
『私は知らない。』
『さつきちゃんが、そんな事をするわけないだろ!!だいたい子供に暴力を振るう親がいるなんて…殺されて当然だ!』
三滝は怒りを抑えられない様子だ。
「それで…皆さんに話したのは…今後どこかで警察が訪ねてくる事を考えて、対策を考えておきたくて…」
『やってねーなら、堂々としてりぁいいじゃねーか…』三滝が言うと…
まどかが…
『私は警察を信じられない。今の話しを聞いたらさつきちゃんがDVを恨み、両親を殺して火をつけて逃げたように見えるから…』
「僕も、警察に言うのは危険だと思います。」
『じゃあ…どうするんだよ…』
「さつきの行動範囲は広くありません…家の近所とスーパーやコンビニ…市場の搬入と農場です。この辺りから、警察が訪ねてくると予測できます。」
「さつき自身が見つかった場合は、なんとか農園か、三滝社長の工場、に助けを求める、いきなり手錠を掛けたりしないはずだから。…」
「それから、さつきがいない時に警察が来た場合、上手く行方不明に誘導しましょう。」
『遠藤農園は一番捜査が入りそうですから、警察が来たらしばらくはお休みしないと…危険よね』
さつきが不満そうに
『やだ〜、仕事楽しいのに…』
「駄目だよ…、とりあえず明日から市場は行くのを止めよう!愛美さん朝は僕が手伝いますから…」
『休みはちゃんと取るのよ…』
「で、しばらく家から出ない…ってなると、いつ来るかもわからないので、もしもこの先警察が来たら…三滝社長の工場でさつきを働かせてもらえたら…嬉しいんですけど…」
『この状況は、農園のスタッフや、おじいちゃんの工場のスタッフには、協力をお願いした方が良さそうね。』
さつきが、皆んなに…
『すみません…馬鹿な弓弦が勝手に行動したせいで皆さんにご迷惑をお掛けします。』
と、頭をさげると…
ゆずるは、静かに頭を下げた。
また次回もよろしくお願いいたします。




