第二十ニ話 偽善
いつも読んでいただきありがとうございます
しばらくして…紀子が目を覚ました。
【私ったら、やだ…さつきちゃんの傷を見て貧血起こしたのね…】
『大丈夫ですか?紀子おばさま…ごめんなさい、まさか倒れちゃうと思わなくて…』
【コッチこそ、聞かれたくない過去について…聞いてしまってごめんなさい…せっかく新しい人生を生きようと、決意した人に…無神経だった…ごめんなさい。】
『心配してくれたんですよね…ありがとうございます。もう大丈夫ですから…』
【さつきちゃん…私にとっては、出雲 さつき と言う、かわいいお友達だから…これからも仲良くしてね。】
『ハイ!、もちろんです。』
【でも、さつきちゃん…そのキズ…病院に行かなきゃダメよ…。】
『紀子おばさま、これでも病院に行ったんです、一応、処置は終わってますから包帯だけ清潔にしていれば大丈夫みたいです。』
【あら…そうなの、わかったは…でも無理はしないでね。】
ゆずるは二人の会話を聞いていて、流石に死神だと…思った、大丈夫なわけ無いのに、大丈夫そうに説得力がある。
そして…雫が死ぬ前にさつきに身体を渡したからか…身体は腐敗しない、傷口は治る事も無く痛々しい…病院に連れていったら即入院になりそうだよな…
「紀子おばさん、家まで送りますよ。」
【悪いね…ゆずくん、今日はホントに楽しかった…ありがとうね…。】
「こちらこそ…ありがとうございました、さつきの過去がわかって、納得できました…あとはさつきが言う通り、これからの人生を生きようと思っています。」
【ゆずくん…】
紀子は涙を浮かべて、ゆずるの手を握った。
〜〜 紀子を自宅に送って…
ゆずるとさっき
「なあ…さつき、常世命って、そんなに厄介なの?」
『ゆずるは、今日一日何を見て来た?…この身体の持ち主〝雫〟の生活の一部を見て来たんだろ?』
「通っていた高校と、自宅を見てきたよ…」
『沢山の死があったか?…』
「え…?、どういう事?…死かどうかわからないけど…自宅が火事で燃えていた…」
『雫の周りで、死んだ人間はいなかったのか?』
「わからない…、ただ、雫ちゃんの友達に会ったんだけど、変な事を言ってた…虫や魚…生命を奪う事に執着していて怖かった…って、」
『雫と言う人間はよほど、強い意志を持っていたんだろう…それとも、取り憑かれた神が…』
「…神がなんだよ…、」
『ゆずる、火事があった家で、死体は見つかったのか?』
「それはわからないよ…、警察にでも行かなきゃ…」
『相変わらず馬鹿だな…ゆずるは…、今の時代なら警察が規制線を敷くくらいの事件なら、だいたいの日にちと場所をいれたら、ネットで出るんじゃないか?』
ゆずるは、ハッとして
「確かに…」と、慌てて検索を掛ける。
〜 検索結果 〜
富士北市(8月31日)未明、住宅で火事があり、この家に住む有村 忠志50歳、有村 逸子49歳、有村 雫17歳、3人と連絡が取れなくなっているということです。
焼け落ちた住宅から、身元不明の遺体2体がみつかる。
ゆずるは、「これか…!」と…さつきに見せた。
『ホントに便利だな…この2人の遺体が雫の両親だとすると、辻褄が合うな…』
「両親を雫ちゃんが殺したってこと?…」
『それはわからない…が、そう見えるな…、それからまずい事に、雫が東京で生きていると言う情報を今日、ゆずるが向こうの人間に知らせてしまった…、』
「状況証拠から、雫が生きているとなれば、両親を殺して逃げているように見える。…実際に雫が両親を殺した可能性だってあるって事?」
『そうなるな…、その笹中って先生や、桜庭緑って友達が、警察に今日の事を話したら…警察が私に辿り着くのは、早いだろうな。』
「じゃあ、どうするのが良いんだよ?」
『無計画に感情で動くから、ゆずるは馬鹿だってこと!今更、人にどうするか聞いたところで、何も変わらないぞ!』
「…ごめん…、」
『動いてしまった事は仕方ない、なるようにしかならないから警察が来たら、私はたぶん捕まって終わりだな…、』
「そんな…」
ゆずるは落ち込んだ…
『馬鹿だな…自分の行動に責任を持って、今から行動するしかないんだ。ゆずるが良かれと思った行動でも、吉と出ない場合だって沢山ある。ゆずるに今から出来る事は、逃げたり隠れたりすることじゃないってことは自覚しろ。』
「わかったよ、状況は理解したから…考えるよ」
その時、
1通のLINEが入ってきた。
差し出し人は、桜庭 緑だった…
また次回もよろしくお願いいたします。




