第二十話 劫火
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車に乗って、有村雫の家に向かう…
富士北高校から、車で30分ほど北に向かう。
笹中の車は、大きなジープだった。
『わー!先生、カッコイイ車ですね!』
はしゃぐ、桜庭 緑。
『ありがとう桜庭さん、どうぞ…乗って下さい。』
嬉しそうに、車に乗り込んだ。
紀子は、桜庭緑に手を引いてもらい後部座席に座った。
ゆずるは助手席に乗り込んだ。
車は、学校の門を出て走りだした。
『あの…大崎さん…、』
笹中は運転しながら、ゆずるに問いかけた。
「はい…」
『あの…大崎さんは有村さんの事…、。
…気にかけてくれてありがとうございます。』
「そんな…助けてもらったのは僕の方ですから…、何か役に立てたら嬉しいと思っています。」
『あの…有村さんの事、宜しくお願いしますね…、きっと、有村さんも大崎さんの事を頼りにしてるんだと思います、だから…また、戻ってきたら、支えて上げて下さい。』
「もちろんです、僕に取っては…有村さんは命の恩人なんです、何があっても…絶対に味方になりますよ。」
『有村さん…実は今年の春に、私が担任になってすぐに、警察に捕まって呼び出された事があったの…、当時はまじめな子だし、何かの間違いじゃないかと…考えたわ。』
「警察って…、何をやって捕まったんですか?」
『放火未遂よ…』
「え?…、放火ですか?」
『本人は当時、罪を否定していた。現行犯で捕まったから、言い訳のしようも無く…保護者を呼び出されて…私が引き取りに行ったんです。その時はご両親には連絡が付かなかったそうで、学校に連絡が来たんですけど…信じられなくて…』
「結局は罪を認めたんですか?…」
笹中は首を横に振って
『認めなかったわ…最後まで…』
〜後部座席…
桜庭緑は紀子に向かい
『伊勢さん…私も紀子さんって呼んでもいいですか?…』
【あら、嬉しい…また、お若いお友達ができたわ】
と、微笑んだ。
『紀子さん…さっきの話し、どう思いますか?』
【私は今の若い人の感覚は、わからないけど…、私の知ってる雫ちゃんは、優しくて可愛い女の子よ…、ちょっとゆずくんに厳しい所があるけど…】
『へー…、ひょっとして…雫ちゃん、大崎さんの事が好きなんですかね?』
【どーかしら…?仲は良いけど…恋愛感情には見えないわね…。どちらかと言えば…兄妹みたいな感じかしら…】
『兄妹ですか…、雫ちゃんには兄妹はいなかったから…雫ちゃんにとっても良い関係性だったみたいですね…』
【雫ちゃんは、部活とか何かやっていたかしら?…】
『雫ちゃんも私も、小学校と中学時代はバスケ部でした。だから高校も一緒にバスケ部に入るんだと思っていたんですけど…雫ちゃんは、入部しなかったんです…』
【あら…そうだったの?】
『高校に入学した時…私、誘って見たんですけど、他にやりたい事があるからって…』
【で?…雫ちゃんは、何の部活に入っていたの?…】
『結局、…何もやってなかったと思います…。』
【そう…、なんだか残念ね…】
『そうなんです…クラスも部活も一緒にならなくて、どんどん会う時間が減って…新しい友達ができたり、疎遠になった所に、お札の写真だったんで…、私…ごめんなさい…』
【緑ちゃんは悪くないわ。…きっと何か原因があるのよ…、大丈夫よ…。】
笹中が少し大きな声で、
『もう到着しますよ!その角を曲がった突き当たりです。』
車は減速して停車した。
しかし、4人の前に現れたのは、
火事で燃えた、1軒の家だった。まだ…それほど時間も経過していないであろう現場には、
警察が残した、黄色の規制線が敷かれていた。
焼き崩れた、柱に真っ黒に焼け落ちた屋根と窓ガラス…焦げ臭い匂いがまだ残っている。
また次回もよろしくお願いいたします。




