第十話 告白
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愛美は運転しながら、
『居候って…、ゆずる君の彼女?』
弓弦は首を横に振って
「違います……」
少しの沈黙の後…弓弦はある程度正直に話すことにした。
「愛美さん…社長にも、話したことなかったんですが…、僕は学校でイジメを受けて、夏休みの終わりに自殺しようと、学校の屋上にいました…」
『自殺って…ゆずる君が?…』
「はい…飛び降りようとしたんです。それを彼女が…助けてくれたんです…名前は〝さつき”…僕と同じ、高校2年生だと思います。」
『思いますって…』
「さつきも死ぬつもりで、屋上にいたんです…なんかいろいろあるみたいで、詳しくは聞けませんでした…」
『…渋沢高校の生徒じゃないの?』
「ハイ…違います…見た事ない制服で…」
車の中に、沈黙が続く…
「なので、身分証明書は無くて…」
『大丈夫なの…その子、落ち込んでるの…』
「あ〜それはまったくありません…めちゃくちゃ元気です…」
『そうなの?ゆずる君はその子の事好きなのね…優しい…』
「イヤ…それはありませんから…ただ、仲間みたいに感じてしまって…」
愛美は微笑んで
『まあいいわ…実際、ネコの手も借りたくらいだし助かるわ…、明日からお願いできるかしら?』
「ホントですか?…さつきも喜ぶと思います。」
『で…、ゆずる君はもう、自殺なんて考えて無いよね?…』
「はい、もちろんです…すごく後悔してて…なんでもっと早く…自分で行動しなかったんだって…」
『大丈夫よ、私もお父さんも弓弦くんのこといい奴だと思ってるから…。、さあ、着いたわよ』
「あ…あの、…社長には自殺の事、言わないでもらえますか?…」
愛美は微笑んで
『ゆずる君と私の二人だけの秘密ね…。』
「ありがとうございました。」
『じゃあ、明日!さつきちゃんに宜しくね!』
「ハイ!ありがとうございます。」
弓弦は車を降りて、手を振って
三滝自動車工場に入って行った…
久しぶりの、オイルの匂いがなんだか心地良い、
『オイ、ゆず!!今日はどうしたんだ?』
マサの声が響いた。
「ちょっと社長に呼ばれて…」
『いよいよ、工場復帰か?…』
「わからないよ…また、後で!!…」
そう言うと、社長の部屋をノックする、
『あー、ゆずか?よく来てくれたな…朝早くから疲れたろ…農作業は?…』
「はい!毎日筋肉痛ですよ…」
『はっはっはっ!そりぁイイ…ゆずるくらいの若い頃は、しっかり身体が答えてくれるから、どんどん腕だって太くなるぞ!』
「そうだといいんですが…」
『日に焼けて、男らしくなったよ…ほんの数日だが…顔つきが変わったよ…ゆず…』
「ありがとうございます!全部社長のおかげです…」
社長がゆっくり手を上げて、
座るように、促した。
「社長…どうしたんですか?話しって…」
三滝は少し、真剣な顔になった。
『なあ、ゆず。…お前に頼みがある…』
「なんですか?僕にできる事ですか?」
『ああ…、、もちろんだ…、愛美の亭主が入院したって話したよな?』
「ハイ…聞いてます。」
『実はな…明日、仮退院してくる…』
「そーなんですか…?良かったです!!」
『イヤ…、良くないんだ…、実は精密検査の結果だと、腎臓に癌が見つかった…まだ、愛美には言って無くてな…、明日、明生くんが自分で説明するって言うんだ…』
「それは…もう助からないって事ですか?」
『ああ…そのようだ、…無理は承知なんだが、明日は明生くん…農作業をしたいって言うんだ…』
「それは…大丈夫なんですか?」
『病気の事は、作業後に話すと言ってる…それで、ゆずに明生くんを見ててほしいんだ…、やっててわかると思うが、農作業は重労働だ…無理しないように、注意してほしい。』
「愛美さんに言った方がいいんじゃ…」
『それは俺だって何度も言ったさ…だけど明生くんも、もう長くないと理解してる…最後に育てた野菜に触れたい気持ちもわかる。』
「それは愛美さんだって、理解してくれるんじゃないんですか?」
『愛美と今までみたいに、作業したいんだろ…明生くんは…』
「ふ〜…僕は、社長に言われたら、やるしかありません…社長も来て下さい。明日は工場休みですよね…」
『あぁ、そのつもりだ…』
二人は少し微笑んで、
『俺はイイ仲間が出来て嬉しいよ…』
三滝は嬉しそうに、
立ち上がった、
『ゆず、送ってやるよ…』
「いや、大丈夫ですよ…久しぶりに寄りたい所があって…」
『そうか…、じゃあまた明日な』
ゆずるは頭を下げて、社長室をでた。
マサが
『なんだ、ゆず!もう帰っちゃうのか?たまにはオレの相手してくれよ…』
「マサさん、また来ますよ!」
『さつきさんは、元気か?今度紹介してくれよ!』
「また、機会があれば…」
『楽しみにしてるよ!!』
元気に手を振るマサに小さく、手を振って工場を出た。
やっぱりマサさんは、さつきが気になってるんだな…
私立図書館…
弓弦は図書館に来ていた…
〝女子高生制服図鑑”
「これは恥ずかしいな…ネット検索だと、表紙しか見えなかった…」
先日、洗濯したさつきの制服を、写真を撮っておいた…
「せめてどこの高校かわかったら…」
また次回もよろしくお願いいたします。




