58.夏の虫
阿部邦夫と高杉真作はショッピングモールの北側の入口に辿り着くと、辺りを見渡した。地面には死体が転がっている。
「頭に銃弾を食らってやがる。即死だな」真作は死体を調べた。
「先輩、武器を取りに行かなくて良いんすか?」邦夫が尋ねた。
「もう一人、女を始末しよう。お前も拳銃が欲しいだろ?」
「欲しいっすね」
二人はショッピングモールの中をゆっくりと調べ始めた。
「なんか、後の祭りって感じっすね」
「参ったな」真作は煙草に火を付けた。
二人が動きを止めて休んでいると、向こう側から女が銃を撃ってきた。真作と邦夫は急いで物陰に隠れた。
「先輩、見つかりましたね」邦夫は笑った。
「飛んで火にいる夏の虫だな」
女の後ろから男が顔を覗かせた。手にはバールを持っている。
「先輩。どうします?」
「俺が女を殺る。邦夫は男を始末しろ」
先に真作が動いた。女は混乱して銃を撃ちまくった。邦夫は女の視界を避けるように回り込み、男の近くに移動した。
真作は無数の銃弾をぎりぎりでかわし、女の正面に立つと、特殊警棒を投げつけた。警棒が女の顔に当たった。その一瞬の隙に真作は女の右手を掴んで背負い投げをした。女を地面に叩きつけると、真作は両手で女の首を絞めた。
「俺たちは鉄火場の歌舞伎町交番勤務だからな」「場数が違うんだよ」
女の顔が青ざめた。暴れようとするが、真作にマウントを取られて動けない。女は静かに息を引き取った。
「そっちはどうだ?」真作が大声で尋ねた。
「余裕っすね」血だらけのつるはしを持って邦夫が笑っていた。足元には男の死体が転がっている。
真作は女の拳銃を取ると弾数を確認したが、弾はほとんど残っていなかった。
>>登場人物
阿部邦夫29歳
高杉真作31歳
>>設定資料




