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DoomsDay  作者: 文乃絢千
56/58

56.SONG③

「朝か」多田裕也(ただゆうや)が呟いた。裕也はショッピングモールにある店舗で、安達信二(あだちしんじ)と仮眠を取っていた。


「毒島の放送で目が覚めたよ」信二が目を擦りながら呟いた。


「行くぞ」


「ちょっと、待ってくれよ」信二は慌てて立ち上がった。


 ショッピングモールの中央に差し掛かると、年配の女性が手榴弾を裕也に向かって投げた。裕也は手榴弾をかわした。辺りに爆発音が響いた。


「この婆さん、爆弾を持ってやがる」信二が叫んだ。


 裕也は円を描くように動いた。


「文江さん、援護をお願い」高橋早苗(たかはしさなえ)が叫んだ。


「了解」伊藤文江(いとうふみえ)は裕也を狙いながら、ベレッタ92の引き金を引いた。


 裕也は銃弾を軽々とかわした。年配の女性たちとの距離を詰める。


「このババア」信二は早苗に向かって叫んだ。手には鉄パイプを持っている。


 ほんの一瞬、早苗の注意が信二に向いた。裕也はその隙を逃さなかった。工事用ハンマーで早苗の横顔を殴った。早苗は横に吹っ飛んだ。


「ふ、文江さん、に、逃げて」早苗は朦朧としていた。裕也は工事用ハンマーを早苗の頭に振り下ろした。早苗の頭が潰れた。


 文江は早苗の頭が潰れるのを見て、泣きながら逃げ出した。裕也は文江を追わなかった。


「逃がしていいのか」信二が尋ねた。


「あぁ、生きてる」裕也は両手を上げ、上を見つめていた。


「相変わらず会話が成り立たないな」信二はため息をついた。


 裕也はバッハの『G線上のアリア』を鼻歌で歌い始めた。


「ご機嫌だな」信二は笑った。


 文江は泣きながら歩いていた。(早苗さん、どうして? どうして死んだの。一緒に冒険をするんじゃなかったの?)


(あの男、絶対に許さない。必ず殺してやる)文江は拳を握った。文江の中で何かが変わった。

>>登場人物

多田裕也(ただゆうや)35歳


安達信二(あだちしんじ)32歳


伊藤文江(いとうふみえ)59歳


高橋早苗(たかはしさなえ)62歳


>>設定資料

ベレッタ92。扱いやすい自動拳銃。装弾数は15発。


M26手榴弾。破片手榴弾。爆発の衝撃と金属の破片を広範囲に飛散させる。

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