55.フロッタージュ
桐谷将也と奥田由美は夜通し歩き、北東にある保安官事務所に辿り着いた。途中で他のチームと出くわしたが、二人は戦闘を避けた。
「将也君、見て」由美は机の上を指差した。
「やっぱり、上のページが破られているな」将也は机の上のノートを手に取った。
「偶然じゃないわね。意図的なものを感じるわ」
将也は机の上に置いてあるペンケースから鉛筆を取り出した。そして、白紙のノートの上に紙を敷いた。
「何をしているの?」
「こすり出しだよ。昔は万年筆で書くのが主流だったから、筆圧が残っているはずだ」
将也は鉛筆で紙をなぞった。文字が浮かび上がる。
「ビンゴだな。文字が浮かんでいる。由美ちゃん、読めるか?」
「ええと、やってみるわ」由美は浮かび上がった文字を真剣に見つめた。
「モンスターサイティングって書いてあるわね」
「意味は?」
「化け物の目撃情報って感じかな?」
「他には?」
「場所が記入してある。学校とか病院とかね」
「化け物って何なんだ?」将也は生唾を飲み込んだ。
「この紙にはそれしか書いてないわ」
将也は机の上にある白紙のノートを集めた。こすり出しで文字を浮かび上がらせる。
「何か関連があるものは無いか?」
「少し待ってね」由美は文字を読み始めた。
「我々は閉じ込められたって書いてある」
「どういうことだ?」
「さあ、分からないわ。でも、そう書いてある」
「そうか」
「ねぇ、将也君、少し休まない? 徹夜はきついわ」由美は椅子に座り込んだ。
「なら、ここで仮眠を取ろう」将也は保安官事務所の入口の鍵を閉めた。
>>登場人物
桐谷将也25歳
奥田由美23歳
>>設定資料
レミントンM870。ポンプアクション式散弾銃。所謂、ショットガンだ。




