49.命の値段
遠藤茜はデザートイーグルの弾倉を引き抜いた。弾倉は空だった。ポケットに手を突っ込んで調べたが、もう弾はなかった。
「弾がなくなったわ」
「まずいな、ここから離脱しよう」菊池友康が言った。二人は入口を目指して歩いた。
「しかし、茜さん。十人殺ったから賞金が一億円だよ」
「最高の気分ね。来て正解だったわ」茜は上機嫌だった。
「今のところ、茜さんが一番のポイントゲッターなんじゃないかな?」
「あたしが一番ってわけね」
「待って、茜さん」友康が茜の腕を押さえた。
「入口に誰かいる。今、俺たちには飛び道具がないから、慎重に行動しよう」友康は息を潜めた。
男の二人組がショッピングモールの入口に立っていた。茜と友康は建物の奥に隠れた。
「死体だらけだな」男は死体を調べている。
「あっちの方で銃声が聞こえる。向かうか?」もう一人の男が言った。
「そうだな」二人はショッピングモールの中央へ向かった。
「なんとかやり過ごしたな」友康は額に汗を浮かべていた。
「茜さん、南東のセーフポイントに行こう。ここから一番近いから」
「友康に任せるわ」
「しかし、一億円か……」友康は先ほど、男が調べていた死体を見つめていた。死体の目は、何もない空を見つめている。
「どうしたの?」
「実感が湧かないんだ……」
「何の?」
「いや、何でもない……」
「あんた、言いなさいよ。男らしくないわね」
「人を殺して金をもらうって、何か間違っていないか?」
「あんたは馬鹿なの? こっちも命懸けだってことを忘れてる」
「それはそうなんだけど……」
二人は無言で歩き始めた。
>>登場人物
菊池友康21歳
遠藤茜20歳
>>設定資料
デザートイーグル。マグナム弾を連射出来る、世界最大級のハンドガン。




