40.家族③
鈴木隆史と鈴木綾の二人は、最寄りの警察署に来ていた。
「何とかならないんですか?」隆史は大声を上げた。
「旦那さん。静かにしてくださいよ」年配の警察官が言った。
「娘の命が懸かっているんです」綾が泣きながら訴えた。
「今、詳しい者を呼んでいるので、少し待ってください」年配の警察官は狼狽していた。
「田中さん、呼びましたか?」三十代くらいの男が窓口にやって来た。
「高橋、お前。ドゥームズデイのことに詳しいよな?」
「ええ、少しですが把握しています」高橋と名乗る警察官が答えた。
年配の警察官が高橋に二人の事情を説明した。
「旦那さん。大変言いにくいことなんですが、日本の警察は介入できませんね」
「才華は未成年の子供だぞ?」
「未成年だろうが、関係のない話です」
「なぜだ? おかしいだろう。ここは法治国家だぞ」
「法治国家だろうが、日本だろうが、ドゥームズデイには手が出ませんよ」
「意味が分からない。あんたら警察だろ?」
「旦那さん、ドゥームズデイっていうのは、バックに世界中の権力者が付いているんですよ。日本の警察なんか役に立ちません」
「しかも、海外で行われているんです。我々には止めようがない」
「娘を見捨てるんですか?」綾が怒鳴った。
「奥さん、落ち着いて。娘さんは帰ることもできるはずです」
「娘さんが帰ってくるのを待つしかないですよ」
「じゃあ、娘が殺人を犯していても、捕まえないんですか?」綾が泣きながら尋ねた。
「ドゥームズデイの中で人を殺しても、日本では裁かれません」
「本当なのか?」隆史が尋ねた。
「ええ、本当の話です。逆に言えば、娘さんが殺されても、我々にはどうしようもない」
「そんな……」綾が俯いた。
「お二人とも、話は以上です。我々も暇じゃないんで」年配の警察官が言った。
>>登場人物
鈴木隆史45歳
鈴木綾42歳
>>設定資料




