38.家族①
「どういうことだ。浩二」鈴木隆史は名倉浩二の胸倉を掴んだ。
「何だよ。おっさん」浩二は隆史を睨んだ。
「二人ともやめて」鈴木綾が二人の間に割って入った。
「お前、何か知っているんだろう?」
「さぁ、知らないね。知っていても教えない」浩二は煙草を取り出した。
「浩二、何か知っていたら教えてよ」佐々木美和が尋ねた。
「お前ら、人の家に勝手に入って来やがって、それが物を尋ねる態度か?」
「浩二君。何か知っているんでしょう? 才華の手紙に書いてあるのよ」綾が話した。
「一体、何なんだ。あいつは俺に迷惑を掛けないと言っていたぞ」
「浩二」隆史が再び浩二の胸倉を掴んだ。
「本当のことを言え。才華はどこにいるんだ?」
「お前には教えない」浩二は隆史の手を振り払った。そして煙草を吸い込んだ。
「浩二君、お願い。少しでもいいから教えて」綾が泣き始めた。
浩二は煙草を灰皿に捨てると、深呼吸をした。
「おばさん、とりあえず座って」「美和も」「おっさんはそこで立ってろよ」
「何から話せばいいか……」浩二はまた煙草を取り出した。
「才華はとあるデスゲームに参加している」「日本にはいない」
「浩二、何の話をしているの? 訳が分からないよ」美和が話した。
「夢佳の手術費用を手に入れるため、才華は今、戦っている」
「そのデスゲームで優勝すると、五億円が賞金としてもらえるんだ」
「何だ? そのデスゲームってのは」隆史が尋ねた。
「要するに殺し合いだよ」
「本気で言っているのか?」
「本当の話だよ。才華は手術費用を手に入れるため、ゲームに参加している」
隆史は呆然とした。(そんな馬鹿な、そんな馬鹿な話があるか)
浩二は時計を見ながら、煙草を深く吸った。
>>登場人物
名倉浩二17歳
鈴木隆史45歳
鈴木綾42歳
佐々木美和17歳
>>設定資料




