34.SONG①
伊藤文江、高橋早苗の二人は、北西のセーフポイントに向かう途中で、二人組の男たちに追われていた。
「このババア、待ちやがれ」
「くそ、本当にババアなのか?」
文江と早苗は建物の陰に隠れた。二人とも息が上がっている。
「文江さん、やるわよ」
「ええ、早苗さん」
文江は【ベレッタ92】をリュックから取り出した。
文江は男たちが近くまで来ると【ベレッタ92】の引き金を引いた。乾いた銃声が響く。
「危ねぇ、伏せろ」男たちは姿勢を低くしながら、ボロボロのベンチの陰に移動した。
「くそ、飛び道具は厄介だな」
「どうする?」
「一旦、引こう。ババアにやられたんじゃ洒落にならねぇ」
「そうだな」男たちは退いた。
「早苗さん、何か様子がおかしいわ」
「静かね」
「逃げたんじゃないかしら」早苗は【M26手榴弾】をボロボロのベンチに投げた。ベンチが爆発したが、他には反応はなかった。
「これからだったのに」文江は肩を落とした。
「冷静な相手だったってことよ」早苗は文江の肩に手を置いた。
「冷静な決断ができる相手は手強いわ」
「そうね。もしかしたら二人ともやられていたかもしれない」文江は【ベレッタ92】をリュックに入れた。
「少し疲れたわ」早苗が地面に座り込んだ。
「早苗さん、大丈夫?」文江は笑った。
「少し休んだらセーフポイントに行こう」
「そうね。私もお腹が空いたわ」
月明かりが二人を照らしていた。
>>登場人物
伊藤文江59歳
高橋早苗62歳
>>設定資料
ベレッタ92。扱いやすい自動拳銃。装弾数は15発。
M26手榴弾。破片手榴弾。爆発の衝撃と金属の破片を広範囲に飛散させる。




