23.憧れ
「ここはアメリカなの?」遠藤茜は英語で書かれた古い看板を見ながら菊池友康に質問した。
「多分、そうだと思うよ。銀色のキャンピングカーが置いてあったし、看板も英語表記だからね」
「元炭鉱の町か」
「石炭が採れなくなったんだろうね。昔は活気があったんだと思う」
「へぇ、あんた。博学なのね」
「まぁ、地元では進学校だったから」友康は道端の石ころを蹴った。
「私たち、どこに向かっているの?」茜は友康の顔を見つめた。
「中心部だよ」
「何で中心部なの?」
「茜さんはたくさん、人を殺したいんだろう? 中心部なら色々と融通が利く」
「どういう訳?」
「中心部だと地の利があるのさ。上下左右、どの方角にも行ける。人を探しやすいし、人も集まる」
「あんた。本当に駄目なホストなの? 頭が回るし、会話も自然だよ?」
友康は上空の撮影用ドローンを眺めている。ドローンはこちらを撮影しているようだった。
「俺の家は貧乏だから、大学は無理だった。ホストなら支度金も出るし、寮も完備だからね」
「東京に憧れたんだ。その上、ホストなら一攫千金も夢じゃないから」
「でも、そんな人は一握りの世界だからね。俺には向いてなかった。お酒も弱いし」
「茜さんは優しいんだね」
「私、これでも保育士志望なんだから」
「本当に? 子供が好きなの? 茜さんが?」
「あんた、撃つよ?」
友康は歩きながら地図を眺めた。ショッピングモールまであと僅かだった。
>>登場人物
菊池友康21歳
遠藤茜20歳
>>設定資料
デザートイーグル。マグナム弾を連射出来る、世界最大級のハンドガン。




