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DoomsDay  作者: 文乃絢千
20/57

20.何で私、泣いているんだろう?

「二人組はどこに消えた?」男が女に尋ねた。女は首を振りながら「分からない」と答えた。


「近くにいるはずだ。探せ」男は二人を探し始めた。


 才華と大田は廃墟の建物に隠れている。


「才華ちゃん、相手はサブマシンガンだ。ちょっと厄介だな」大田は額の汗を拭った。傷口から血が流れている。


「大田さん、大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫だ。かすっただけだ」


「あの女をどうにかしないとな」


「私が何とかします」


「出来るのか? なら、相手の注意は俺が引く」大田は身を隠しながら二人組の近くへ移動した。才華は建物の陰を利用しながら走っている。


 才華はブローン(伏射)の態勢になるとスコープを覗いた。マウントを地面に合わせる。才華はなぜか落ち着いていた。心臓の音が聞こえる。再びスコープを覗くと、才華は深呼吸をした。


 才華は一瞬、迷った。(本当に人を殺すの?)(そう思うことが偽善なの?)(分からない)(私は一体?)


「ごめんね」才華は引き金を引いた。弾丸が発射されると、女性の頭が吹き飛んだ。男性が何かを叫んでいる。だが、才華には聞こえなかった。


 建物の陰から大田が現れた。男は「お前を呪ってやる」と叫んだ。それと同時に首の頸動脈から血しぶきが飛んだ。男は崩れるように地面へ倒れた。


 才華は目を擦った。生まれて初めて人を殺した。だが、罪悪感はなかった。ただ、涙があふれている。(何で私、泣いているんだろう?)才華は不思議だった。


「大丈夫か?」


「大丈夫です」才華はリュックから飴玉を取り出すと口の中に放り込んだ。


「これ、女子高生の間では流行っているんですよ」才華は泣きながら飴玉をなめた。


 大田は無言だった。


 才華は鏡を取り出すと自分の顔を見た。(ひどい顔だな。後で化粧を直さないと)


「才華ちゃんのお蔭で死なずに済んだ。ありがとう」大田が才華の肩を叩いた。


 才華は堰(せき)を切ったように泣き出した。


「さぁ、行こう」大田が歩き始めた。才華は涙を拭いながら後を追った。

>>登場人物

鈴木才華(すずきさいか)17歳


大田六三郎(おおたろくさぶろう)49歳


>>設定資料

DoomsDay(ドゥームズデイ)その①。ドゥームズデイは大規模な賭け事であり、様々な事柄が賭けの対象となる。誰が優勝するのか、誰が最初に死ぬのか、誰が最初に逃げ出すのか、など状況に応じて賭け事が成立する。一日に動くお金は三兆円とも言われる。


DoomsDay(ドゥームズデイ)その②。ドゥームズデイの運営は絶大な力を持つ。世界中の権力者、セレブや富豪が後ろ盾になっている。


L115A3。ボルトアクション式の大口径スナイパーライフル。射程距離は1,500m。弾はマグナム弾。

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