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DoomsDay  作者: 文乃絢千
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2.幼馴染①

 家まで父親が車で送ってくれた。才華を送り届けると、両親は二人とも仕事へ向かった。父親の隆史はダイニングバーを営んでいる。母親はそれを手伝っているのだが、二人は仕事のことでよく喧嘩をしていた。料理の提供が遅いだの何だのと。父親は何かあると、裏で才華に愚痴をこぼしている。


 自宅に帰ると、才華は真っ先にシャワーを浴びた。雨のせいで体が湿っていた。シャワーから出ると、一階のキッチンへ向かった。


「あいつ、起きてるかな」


 才華はスマートフォンを取り出すと、幼馴染の名倉浩二(なぐらこうじ)にメッセージを送った。


 冷蔵庫からオレンジジュースと牛乳を取り出し、二つを混ぜた。そしてリビングのソファーに腰を掛け、浩二からの連絡を待った。


 程なくして浩二から連絡があった。どうやら起きているようだった。後で家に向かうとメッセージを送り返し、ジャージに着替えると傘を差して近所にある浩二の家へ向かった。


「お邪魔します」


 才華は勝手に家へ上がった。浩二の母親は飲み屋で働いている。家には浩二しかいなかった。浩二は中学生の頃から家に引き籠っている。学校でいじめられていたからだ。もちろん、高校には進学しなかった。浩二の部屋に入ると、煙草の匂いが充満していた。


「臭いよ、浩二」才華は鼻を押さえた。


「俺の部屋だ。我慢しろよ」浩二はパソコンでオンラインゲームをしている。


 才華はテーブルの横に座った。部屋の中は思ったより整理整頓されていた。


「何の用だ。お前が来るなんて珍しいな。半年ぶりか」浩二は椅子に座ったまま、才華を見下ろしている。


「私を買ってくれる金持ちの爺とか知らない?」


「突然、何を言ってるんだ」


「三億五千万円欲しいんだ。浩二ならネットに詳しいでしょう」


「才華は無駄に顔が良いからな。買ってくれる爺はいるかもしれないが、三億五千万円は無理な話だよ」


「良くても一千万円とかじゃないか」


「それじゃ足りないよ」


「闇バイトでも無理な話だよ。諦めて宝くじでも買うんだな。もしかしたら当たるかもしれない」


「もしかしたらじゃ駄目なんだ」


「何だってそんな……妹さんの件か。そんなに悪いのか」


「車の中でお父さんから聞いた。あと半年がリミットだって」


「そんな……」浩二は机に置いてある、ぬるくなったコーラを口に運んだ。


「親父さんは何もしていないのか」


「一応、クラウドファンディングをやっているんだけど、まだ三百万円しか集まってない」


「クラファンか。最近は募集が多すぎて下火だからな」


「才華がどんなに頑張っても、三億五千万円は無理な話だよ」


「そんな話を聞きに来たんじゃないから。何かないの」


「インフルエンサーに宣伝してもらうとかどうかな。クラファンだったら有効だと思うけど」


「誰か知り合いとかいるの?」


「俺の知り合いは才華くらいだよ」浩二は壁に貼ってあるポスターを眺めた。アニメのキャラクターが笑顔で笑っている。その隣にはカレンダーが貼ってあった。浩二はカレンダーを見つめた。


「まだ間に合うな」浩二は独り言をつぶやいた。

>>登場人物

鈴木才華(すずきさいか)17歳


名倉浩二(なぐらこうじ)17歳


>>設定資料

重症心不全。鈴木夢佳の病気名。心臓のポンプ機能が著しく低下する。海外での心臓移植が必要。


クラウドファンディング。ネットを通じて不特定多数の人々から資金を調達する仕組み。

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