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DoomsDay  作者: 文乃絢千
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3.幼馴染②

 才華は浩二を見つめていた。


「何かあるの?」


 浩二はテーブルに置いてある灰皿を机の上に置いた。そして、ポケットから煙草を取り出した。


「これは冗談のつもりで話すんだけど、本気にするなよ」


「何?」


「ドゥームズデイって知ってるか?」


「何それ」


「所謂(いわゆる)、ギャンブルなんだけど。そうだな、裏の世界の賭け事だ」


「裏の世界って何?」


「俗に言うダークウェブってやつなんだけど。才華は知らないだろう」


「それがどうしたの」


「殺し合いのゲームなんだ。客は誰が死ぬか、誰が生きるかで賭けをする」


「裏の世界では知らない人がいないくらい大人気のギャンブルなんだよ」


「賭け事をしろってこと?」


「違う。ドゥームズデイに参加するんだ」


「殺し合いをしろってこと?」


「そうだ。所詮、無理な話だ。でも、優勝すれば五億円だぞ」


「五億円?」


「その日本大会が二週間後に開催されるんだよ。募集の締め切りは一週間後だ」


 浩二は煙草を灰皿に押し付けると、台所に向かった。冷蔵庫から麦茶を取り出すと、二人分をコップに注いだ。浩二は何故か後ろめたかった。部屋に戻ると、麦茶を才華に渡した。


「ドゥームズデイね」才華は麦茶を口に運んだ。


「まぁ、冗談だからな。才華に優勝は無理だよ」浩二も麦茶を飲んだ。


 才華はいろんなことを考えた。妹のこと、両親のこと、学校のこと。走馬灯のように。


「それって刑罰とかあるの? 殺人だよ」才華は俯(うつむ)いた。


「それがないんだな」


「アメリカでさえも黙認しているって話を聞いたことがある」


「そうなんだ」才華は髪を撫でた。


「私、出てみる」才華は唐突に言った。


「何を言っているんだ。駄目だよ」浩二は顔を青ざめさせた。


「夢佳の命が掛かっているの」才華は真剣な眼差しで浩二を見つめた。浩二の顔には怯えの色が浮かんでいた。


「駄目だ。才華も死んだら親御さんが悲しむ」


「変態爺に体を売るくらいなら、こっちの方がいいよ」


 浩二は心の奥底から恐怖を感じた。馬鹿な話をしてしまったと後悔していた。


「夢佳が死んだら浩二を恨むからね」


「そんなの無茶苦茶だよ。才華が死んだら、俺が親御さんに恨まれるだろ」


「浩二、お願い」


「そこまで言うなら、自分でやれ。今、ページを出すから。俺に責任がないようにしろ」


「ありがとう、浩二」


 浩二は応募ページを表示すると椅子から立ち上がった。才華は項目に従って情報を入力した。


「集合場所は成田空港だ。時間は厳守だぞ」


「本当にありがとう、浩二」才華は両手で浩二の手を握りしめた。


 浩二は泣きたい気分だった。才華と会うのもこれが最後なのかと思った。


「才華、死ぬなよ」浩二はプリンターから詳細の書かれた紙を才華に渡した。


「やれるだけやってみる。浩二、元気でね」才華はそう呟くと、浩二の部屋を出た。

>>登場人物

鈴木才華(すずきさいか)17歳


名倉浩二(なぐらこうじ)17歳


>>設定資料

重症心不全。鈴木夢佳の病気名。心臓のポンプ機能が著しく低下する。海外での心臓移植が必要。


クラウドファンディング。ネットを通じて不特定多数の人々から資金を調達する仕組み。


ダークウェブ。裏のインターネット。専用の知識が無いと利用が出来ない。


DoomsDay(ドゥームズデイ)その①。ドゥームズデイは大規模な賭け事であり、様々な事柄が賭けの対象となる。誰が優勝するのか、誰が最初に死ぬのか、誰が最初に逃げ出すのか、など状況に応じて賭け事が成立する。一日に動くお金は三兆円とも言われる。


DoomsDay(ドゥームズデイ)その②。ドゥームズデイの運営は絶大な力を持つ。世界中の権力者、セレブや富豪が後ろ盾になっている。

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