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285円の借用書から始まる恋とVTuber事務所  作者: Azerostudio


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4/13

保留にされた答え

朝はいつもと変わらず、急がず穏やかにコンビニの中へ降り注いでいた。正面のガラス越しに差し込む陽射しが、きれいに並んだボトルの上に漂う埃をぼんやりと照らし出す。


バイオレットはレジカウンターの奥に立ち、三年間で体に染みついたリズムのままレシート用紙を補充していた。もはや考える必要すらないほど自然な動きだった。彼女の一日はいつも決まった型をたどる。客が来て、商品をスキャンし、短い挨拶を交わす。こんな朝から特別な何かを期待することはなかった。背後で唸る冷蔵庫の静かな音は、とうの昔に彼女自身の鼓動と同じくらい馴染んだ背景音になっていた。


自動ドアが、いつもの電子音とともに開いた。


彼女は習慣で顔を上げ、一日に何十回も繰り返してきた挨拶を口にしようとした。だが、その瞬間、何かが胸の中で止まった。


アカメだった。


彼の姿は、彼女自身が認めたくないほど彼女を動揺させた。あの奇妙な最初の出会いから、すでに何週間か経っていた。彼女自身、まだ完全には消化しきれていない出来事で、見知らぬ相手の水とサンドイッチの代金を払い、手書きの借用書をコートのポケットに折りたたんで帰るという結末を迎えたものだった。こんなに早く彼が再び現れるとは思っていなかった。彼女の内側の静かな部分は、彼の再来がなぜこれほど自分を落ち着かなくさせるのか、疑問に思っていた。


彼は以前より活力があるように見えた。それでも、目元の端にはうっすらと緊張の跡が刻まれ、隠しきれずに残っていた。目の下には相変わらずクマが浮かんでいて、彼女には想像するしかない眠れない夜の証だった。バイオレットは、これほど早く彼が戻ってくるとは、しかもこんな表情を浮かべて戻ってくるとは予想していなかった。決意と静かな恐れの間のどこかにあるような表情で、まるで前回の面会からずっと、毎晩この瞬間だけを繰り返し練習してきたかのようだった。


明らかな緊張を抱えながらも、彼は前回のようなパンフレットや書類を一切持っていなかった。今回、彼の両手はほとんど空で、二本の指の間に丁寧に挟まれた一枚の名刺だけがあった。その空っぽさは、どこか奇妙で、落ち着かない印象を彼女に与えた。まるで、ここへ来た理由の本質だけを残して、余分なものをすべて削ぎ落としてきたかのようだった。彼自身と、代わりに選び抜いた言葉だけを携えて。


彼女は、彼がゆっくりと息を吸い込み、レジへ向かって足を踏み出す前に自分を落ち着かせる様子を見ていた。表面の落ち着きの下にどれほどの緊張が残っていようと、彼はすでに口の奥で言葉を準備し終えているように見えた。ためらいと切迫感が絡み合っていた最初の出会いとは違い、彼は今、静かな覚悟に近いものを携えて近づいてきた。それは、幾晩もの迷いの果てに、ようやく決意へと落ち着いた者だけが持つ種類の覚悟だった。


少なくとも今回は、最初の出会いのときよりもはるかに準備が整っているように見えた。


カウンターにたどり着くと、アカメは再び名刺を取り出し、ためらうことなく彼女へ差し出した。


その拍子に、彼の視線はエプロンのポケットの上に留められた小さな名札へと一瞬留まった。店のロゴの下に、細い刻印で「姫星」と綴られている。やり取りに必要な以上の間、彼の視線はそこに留まってから、ようやく続きへと移った。


「改めまして。自分の名前は、赤女 赤和女です。VTuber事務所、スーパーバスの創業者をしています」


二人の視線が、カウンターを挟んだ狭い空間の中で交わった。ほんの一瞬だったが、言葉にならない重みを帯びていた。


それでもバイオレットは変わらず落ち着いていた。表情は平坦で読み取りづらく、状況にかかわらず本能的にまとってしまう、あの静かな仮面のままだった。長年このカウンターの奥で過ごしてきた経験が、思考を隠す術を、沈黙に顔以上のことを語らせる術を教えてくれていた。彼女自身、認めたくないほど頼りにしている技術だった。


「数週間前の続きの話をしに来ました」


彼女は、彼が平静を保とうとしているのに気づいていた。それでも、彼の指先にはかすかな震えが残っていた。バイオレットには、この会話がどこへ向かうのか、すでに見当がついていた。同じ問いが再び持ち出され、同じ未決の決断がそこに残っている。それでも、前回のやり取りから彼女の答えは変わっていなかった。


「まだ検討中です」


しばらくの間、どちらも口を開かなかった。二人の間に沈黙が広がり、ほとんど手で触れられそうなほどの濃さで、レジ近くの狭い空間を静かな緊張で満たしていく。どちらも、その沈黙を先に破ろうとはしなかった。


アカメの指先が、体の脇でわずかに動いた。必死に保とうとしていた落ち着きを裏切る、小さく落ち着かない仕草だった。彼の表情は先ほどよりも柔らかくなっていたが、それでも何か言葉にされないものを隠しているように見えた。歯を食いしばった奥に潜む一文が、外へ出る許しを待っているかのようだった。


「何か、迷う理由が具体的にあるんでしょうか」


バイオレットは間を置かずに答えた。声は落ち着いていて、周囲の緊張とはほとんど無縁であるかのようだった。


「あります。もう少しだけ、時間がほしいんです」


また沈黙が続いた。今度はさらに長く、まるで実体を持つ何かのようにカウンターの上に降り積もり、静かな朝の空気をそっと押しつけてくる。彼女の落ち着いた表情の裏側では、静かな思考の嵐が絶え間なく続いていた。


落ち着いて見える外見の裏で、彼女の思考は表情以上の速さで動いていた。数週間前に見た彼の疲れきった目が、招かれもしないのに蘇る。最後の希望の糸に必死にすがりつく人間のような、あの様子。ためらいなく支払った二百八十五円のことも頭をよぎった。あの最初の出会いから、家の引き出しの中で一度も触れられずに眠っている手書きの借用書のことも。


理屈で考えれば、この男は手の込んだ詐欺を企てているか、あるいは実現不可能な妄想を追いかけているかのどちらかだった。それでも、彼の粘り強さは、彼女がこれまで当然のように抱いていた確信を、いつになく揺さぶった。彼がこの店の扉をくぐるまで、一度も疑ったことのない確信だった。


一方、アカメの立っている場所からは、彼女のためらいの重みが胸へと押し寄せてくるように感じられた。この瞬間を何度も頭の中で練習し、あらゆる結末を思い描き、拒絶にも受諾にも同じだけ心構えをしてきたはずだった。だが、彼が準備していなかったのは、この静かで辛抱強い拒絶だった。残酷さも嘲りもなく、ただ穏やかな不確かさだけを帯びたそれは、なぜか明確な拒絶よりも重く感じられた。


自分の事務所の未来は、彼女の答え次第だった。もっとも、それをそのまま口にすることは決してないだろう。彼が積み上げてきた脆く危ういすべては、この無関心なレジ係に、自分の申し出が正気の沙汰でないわけではないと、疲労と切迫感の奥に信じるに値する何かが確かに存在すると、納得してもらえるかどうかにかかっていた。彼女が知る由もないほど、彼はこの一回の会話に多くを賭けていた。


それでも、今ここで強く押せば、かえって彼女を遠ざけてしまうだろうと、彼は感じていた。


そのとき。


ピンポーン。


自動ドアが再び開き、別の客が店内へ足を踏み入れる音が響いた。


バイオレットの意識は瞬時に切り替わり、アカメから離れ、三年間途切れることなく続けてきた朝の習慣へと戻っていった。二人の間に漂っていた複雑な空気は表面上薄れ、慣れ親しんだ手順がその場に取って代わる。


「いらっしゃいませ」


彼女はそう告げた。声には、直前まで交わしていた会話が何であれ、どの来店客にも等しく向けるのと同じ、素っ気ないながらも温かみのある調子があった。


アカメはしばらくその場に立ち尽くしたまま、彼女の意識が別の場所へ移っていくのを見つめていた。二人の間にまだ何も解決していないにもかかわらず、彼女が静かに、しかし確かな効率で仕事へと戻っていく様子を見つめていた。不確かさの只中にあってもなお揺るがないその落ち着きの何かが、そもそも彼が彼女に声をかけた理由を、改めて思い出させた。

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