第22話 ルカーサル
ルカーサルの過去のお話です。
私が使い魔として初めて担当することになった相手
それがあの時の男の子とは、サタン様が仕組んだ事なのかそれとも運命ってやつなのだろうか。
「ルカーサル、大丈夫か?」
「ああ、すまん
少し考え事をな」
「そっか、俺で力になれることがあったら言えよ」
「優、私は使い魔だぞ」
「ん?知ってるけど」
本当に君は変わらない
優にとって他者を気遣うというのは当たり前なのだろうな。
そういえば出会った時もそうだった。
あれは私がまだ人間だった頃の話
私は良くも悪くも他人にそこまで興味を持つことのできない子供だった。
だから、中学生3年生の頃にクラス内で友達がいじめられていても何も出来なかった。
いや、何もしなかったのだ。
彼女はとても優しい子だった、日頃から彼女のその優しさに助けられてきたのに、私は自分を犠牲にしてまで彼女を助けようとは思わなかった。
自分がいじめられるのが怖かったというのもあるだろうが、1番の理由は面倒事に巻き込まれたくなかったからだ。
その後、彼女はストレスや過労から倒れてしまい入院することとなった。それにより先生が今回の事を公にし、ひとまずいじめは収まった。
私が彼女のお見舞いに行くと、彼女は笑ってありがとうと言ってくれた。彼女が辛い状況にいて何もしなかった私に怒るどころか感謝したのだ。
自分は人でなしなのではないか。なんとなく病院の屋上でそんな事を考えながら柵にもたれかかっていた。このまま飛び降りて私が居なくなっても誰も困らないだろうとかも考えていた、そんな時
私はある男の子に話しかけられた
「すみません、お姉さん
トイレってどこにあるか分かりますか?」
「は、はい
屋上からだと一つ下に降りて突き当たりを右にい
ったところが1番近いと思います」
「なるほど、ありがとうございます
それでは」
彼はそう言うと一緒に居たおばあちゃんの車椅子を押してエレベーターの方へ歩いていった。
しばらくすると彼だけ屋上に戻ってきた。
「助かりました、本当にありがとうございます」
「いえ、たいした事はしていませんし
あの方はあなたのおばあさんですか?」
「あ、実は今日初めて会った人で
看護師さんが呼び出されたとかでそばにいなかっ
たので自分が連れて行ったんです」
「優しい人なんですね、あなたは」
「へ?そんな事ないですよ
自分の為にやっただけです」
「あの、自分の為というのは?
特に何の見返りもないのに」
我ながら年下に難しい質問をしてしまったと思う。
しかし、彼はすぐにこう答えた。
「うーん
達成感ですかね
それが1番の報酬だと思います」
「達成感?」
「はい、何か良い事した後に食べるご飯とかいつも
の倍美味しいじゃないですか
そういうのって達成感とか満足感から来ると思う
んですよね」
そうか、そういう考え方もあるんだな。
自分が気持ちよくその日1日を終えられるか、そんな簡単な事が1番大切なのかもな。
そして私は彼と別れて、改めて彼女と向き合おうと思った。自分が何も出来なかった事を謝り、どんな時でも彼女のそばにい続けた。そのおかげで、私たちは本当の意味で友達になれた。
その後、彼とはショッピングモールで一度偶然会った程度で深い関わりを持つことはなかった。
私が高校2年生になってしばらく経った頃、その事件は起きてしまった。
ゆっくりと道路に飛び出した中学生くらいの女の子を助ける為、私はとっさに飛び出した。彼女をかばって車に轢かれて私は命を落とした。幸いなことに彼女は助かったとサタン様に後から聞いた。
後悔がないといったら嘘になるが、間違ったことはしていないと今でも信じている。
その後私は使い魔になる道を選び、前世の功績から悪魔になったのだ。
最近は迷惑天使や過激悪魔の言動に振り回されながらも楽しくやっている。
それは私が優の使い魔だからだろう。
「まずい、このままじゃ学校遅れる
行くぞ、ルカーサル」
「ああ」
これから優がどんな選択をしたとしても私は彼のそばにい続ける。優の使い魔として、、、
そして彼を愛する者として。
優に対するルカーサルの感情は
恋なのか、人間愛なのか
それは、、、まだ分かりません。
いずれ分かると思います、多分。




