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共産主義者が魔法をいじってみた  作者: akaboshi_yuu


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11/15

ヴーク 其の六

たとえ今まで無実だったとしても、これで正真正銘の罪人だ。

だが、少なくとも獣として死ねる。すでに自分が獣になり果てているのなら。


ヴークは自身の顎の傷跡に対して、ある種の諦念と愛着すら感じずにはいられなかった。まるで傷と一体化してしまったかのようだ。百科事典で初めて見た、第一次世界大戦の退役軍人たちの写真を思い出した。顔の半分を占めるほどのエピテーゼをつけた男たちの写真を。彼らを初めて見た時にも、ヴークは同じような諦念と愛着を感じたものだった。彼らの眼差しの中にのみ、自らの同類を見出した気がしたのだ。写真の中には微笑んでいる者もいた。その微笑みはどれも、痛ましいほどの修復と擬態の賜物に違いない。それでも、それは確かに微笑みだった。


彼らと完全に同化しきれない唯一の理由は、彼らが「自分の戦争」が何なのかを知っていたことだ。何のために自らの肉体を切り裂き、引き換えに何を得たのかを彼らは知っていた。ヴークには、自分の戦いが何であったのかも、ましてや見返りに何を得たのかも分からなかった。それどころか、その傷はまるで、彼が何か恐ろしい罪を犯した報いであるかのように彼を呪い縛っていた。脳裏にはいつも断片だけがよぎる。担架で運ばれる自分。決して触れてはならないものに触れる冷たい風。そして、悲痛に歪んだ父と母の顔……。


彼は自身の最期を覚悟していた。自分がどんな抵抗を試みようと、フランシスコとギレルモにはそれをねじ伏せる手段があることを疑っていなかった。

それなのに、何も起きなかった。


しばらく暗闇の中にいたが、やがて自ら目を閉じているだけだと気づいた。

目を開ける。


郊外の住宅地の並木が、曇り空の下で葉擦れの音を立てていた。どこかで一つの命が途絶えたことなどまるで気にも留めないように。だが、フランシスコとギレルモの姿はどこにもなかった。ヴークは自らの顎に触れた。生温かい血の染みを除けば、再びあの残酷な欲望に身を委ねてしまったことを示す痕跡は何一つなかった。もしもう少し若かったら、何も起きなかったと自分に言い聞かせ、日常の平穏を信じ続けることができたかもしれない。


だが、フランシスコとギレルモが監獄と呼んでいたあのツギハギだらけの空間が、それを忘れさせてはくれない。彼らのような忠実な官僚たちこそが、この世界の礎の一つなのかもしれない。木々の葉擦れの音に揺られながら、ヴークは想像した。今頃ギレルモは、首を食いちぎられた同僚の死体の前で震えながら、次の手を考えているはずだ。哀悼の意を捧げるのは後回しだ。最優先すべきは、逃亡者を捕らえることなのだから。


ヴークは残された時間が長くないことを、そして「共同体」の冷酷な裁きが確実に迫っていることを知っていた。

彼は、予測もつかないほど絶望的な結末が訪れる前に、どうしても行かなければならない唯一の場所へと向かった。


両親の家だ。


全てが、空気すらも靴墨の匂いがした。時計の針は、その粘り気の中を苦しげに進んでいた。まるでこの二階建ての家の中では、時間そのものが鈍重になってしまったかのように。母は決して汚れや不潔さを許さなかった。それなのに、あの時間の遅い流れそのものが、屋根から土台に至るまで、「時代遅れ」という名の薄汚れを堆積させているかのようだった。埃はない。しかし、何かが濁っていて、他人の視線の奥まで見通すことを阻んでいた。


それは立派な家だったが、隠された一本のくさびの頂点に立っているような危うさがあった。その楔が外れれば、すべてが崩れ去ってしまう。空気は緊張で不穏に震えていた。


昔からこうだっただろうか? 敷居を跨いでから彼らの顔を見るまでの時間が、永遠のように長く感じられ、心臓が激しく脈打った。必死に記憶をたぐる。しかし彼らの関係は、軽薄だった。一年以上も連絡を絶ち顔を見せなかったことを謝る義務すら感じさせない性質のものだった。憎しみや対立ゆえではない。彼らの関係は、この家を満たすのと同じ瘴気によって停滞していたのだ。憎しみや対立は、その影に情熱的で不快なほど熱い愛情を宿している。だがここにあるのは無関心だけだった。


母親が出てきて、かすかな嗚咽とともに彼をゆっくりと抱きしめた。パサついた金髪は記憶よりもさらに乾ききっており、肌は奇妙で不自然な、病気めいた色合いを帯びていた。だがそれでも、その暗い瞳の奥には心からの喜びの火花が見え隠れしていた。居間からは、アームチェアから立ち上がろうとして諦めたらしい父親のうめき声と、聞き取れない呟きが聞こえてきた。

両親が彼を授かったのは遅く、その骨にはすでに重い年月がのしかかっていた。


彼が十二、三歳になるまで、家族とミダ以外の人間に出会う勇気を奪い続けたその「停滞」の原因が何であるか、ヴークは今まで気づかなかった。家中のあらゆる空きスペースを占拠している、大切に保管された古い品々の山から、まるで重力のような奇妙な重圧が発せられていたのだ。いや、山という表現は正しくない、とヴークは思った。山といえば乱雑に放り出されたものを連想するが、ここではすべての品が明確な領地を持っていた。女王である母は、それらが少しでも位置を変えようものなら、どこにどう戻すべきかを正確に把握していた。


額縁に入れられた白黒写真の数々。祖父母や遠い親戚、家族の友人たち。カラー写真はごくわずかで、それらは幸せな瞬間の記録というより、もはや記念碑のように見えた。そして、父親の表彰状、勲章、卒業証書、認定証。どこを向いても、必ず一つは鋭く尖った、赤い共産主義の星が目に突き刺さる。それらが部屋に奇妙な緊張感を与え、足を踏み入れる者を威圧し、そしておそらく唯一の生命の証となっていた。かつてピンク色だった壁紙は、年月とタバコの煙ですっかり色褪せている。そこかしこに赤や白、白黒の装飾品が飾られすぎていて、壁の存在すら忘れ、まるで無重力空間に浮いているような錯覚に陥るほどだ。本や作品集。花柄の磁器。バッジやブローチがぎっしり詰まって閉まらなくなった革張りのアルバム。――ヴークは、星や年号、チトーの署名が刻まれたそれらのバッジの深い赤や黄金色にどれほど魅了されたか、鮮明に覚えていた。陽の光に当てて眺めたくて、こっそり二階の自分の部屋の引き出しに隠し、母親を激怒させたことも。これらの重要な思い出の品々の他に、大昔のテレビ雑誌など、明らかに無価値なガラクタも大切に保管されていた。この家全体が過去に捧げられた神殿であり、母親はその大祭司だった。


対照的に、父はまるで家具の一部のように見えた。「人間」としての体裁を保とうとすらしていない。その肉体はずんぐりとして皺深く、重たげだったが、存在感そのものは羽のように軽かった。(「家長」という概念はブルジョワの遺物であり、男女は高度に道徳的な愛と相互尊重を持つべきで、互いに合わなくなれば合意の上で別れる覚悟が必要だ、と父はよく語っていた。だが、その裏にはいつも微かな嫉妬が透けて見えたし、結局のところ彼は自身の肉体に逆らい切れる人間ではなかった。)


父は一瞬だけ自分の体重に打ち勝ち、立ち上がってヴークと握手を交わした。そして再びうめき声を上げながらアームチェアに沈み込み、脂ぎった額から薄くなった髪を払いどけた。


「それで、共同体の資格試験は受かったのか?」

昔の会話の続きでもするかのように、彼は尋ねた。二人の間に緩んでしまった、あるいはこぼれ落ちてしまった糸を拾い集める気など毛頭ないらしい。母親が慌ててぬるいお茶が入ったカップを運んできたおかげで、ヴークは詳しい説明を免れた。彼は黙って首を振った。


「ふん!」

父はいつものように不満げに首を振ったが、それが心からの叱責に変わるほどの関心は彼にはなかった。その濁った瞳の奥で何が起きているのか、推測することしかできない。だが年月が経つにつれ、ヴークにはそこで大したことは何も起きていないように思えてきた。あるいは、すでに遠い過去にすべてが過ぎ去り、複雑な感情を生み出すための化学反応が、あの肉体にはもう一滴も残されていないのではないかと。


父は再び新聞を手に取った。

「俺が資格試験に受かったのは、『階級間理解』の分野だった。当時はすべてが焼け野原でな。俺たちは、もはや互いなしでは生きていけないと悟ったんだ……。新しい基盤の上に、共同体の生活を組織し直さなければならなかった。お前もその道に進もうとは思わなかったのか?」

「その科目は、もうずっと前に廃止されてるよ。共産主義自体もね」

「ああ……そうか……」父は、目の前の霧を払うように手を振った。


母は何か尋ねようとし、言葉の途中で口ごもった。だが、それだけでヴークには彼女が何を聞きたいのか十分に分かった。彼女は決して、彼の怪我や、治療とは呼べないその処置について直接言及することはなかった。いつも身振りや、沈黙でほのめかすだけだ。彼女の頭の中では、それをはっきりとした言葉の輪郭にしてはならないのだ。


「いつも通りさ」

顎の、金属と骨がこすれ合う場所から生じる、全身と精神を蝕むようなあの疼きについては語らなかった。


傷跡が初めて血を要求してきた時のことも、彼は口をつぐんだ。そのせいで一人の女が死んだ。ダンボールハウスから逃げてきたロマの女だった。何人かの子供がいたような気もしたが、彼は必死にそれを否定し、記憶の奥底に押し込めた。ラインストーンのついた白い破れたTシャツと、短すぎるブルーのジーンズ。斜面を流れる赤黒い血が、砂利と埃を赤く染めていた。うつ伏せに倒れた彼女の最後の苦しみによる痙攣を、ヴークは見ていない。半裸の子供たちが近づいてくるのを視界の端で捉えたが、あれはただの好奇心であって、痛みや悲しみからではないと自分に言い聞かせ、目を背けた。

そのすべてを、彼は両親に隠してきた。最初の決断を下した時、その後に続くすべての苦痛についても一人で抱え込むと決めたのだ。自分の罪の重さから両親を守るために、分厚い壁を築いた。


「ミダが言ってた。一般人の医学が発達してるから、俺を助けられるかもしれないって。少なくとも、痛みは和らぐって」

「くだらん」父が吐き捨てるように言った。「そんなものは、上手く付き合っていくしかないんだ。膝を砕かれた奴も、障害を抱えた奴も、みんなそうして生きてる。一生懸命働けば、そのうち忘れるさ」


言うべきことはそれですべてだった。部屋は静まり返り、ヴークは後頭部に突き刺さる母親の視線だけを感じていた。まるで髪の毛の一本一本を惜しむように見つめている。彼らの会話は、ここ数年ずっとこんな薄っぺらな情報のやり取りばかりだった。だからこそ、時間が過ぎるにつれて、沈黙の重みが増していくように感じられた。

そもそも、なぜここに来たのか? この家が自分の最期を迎える舞台にふさわしいと思ったからか? ここでどんな結末を期待していた? あれほどの罪を隠しておきながら、今さら何を話そうというのか。まさか――助けを求めたかったのか? 共同体の巨大な警察機構を相手に、この二人に何ができるというんだ?


それでも彼は口を開いた。ほんの少しでもいいから、温かい人間の生活の幻影に触れたかった。その太陽に手が届かないことはずっと前から知っていたのに。


「追われてるんだ」


両親が顔を見合わせた。一瞬、磁器に埃が積もる音が聞こえそうなほどの静寂が落ちた。


「追われてる。それから……自分が何をしたかったのか分からない。ただ謝りたかったのかもしれない。何に対してかは分からないけど。でも、次にいつ会えるか分からないから。面会くらいは許されるだろうけど……」

あの空間の継ぎ接ぎでできた狂気の監獄を思い出し、彼は身震いした。


「追われている? 誰に?」

母の冷たい指が手首に触れた。握りしめる力はなかったが、明確な意志が感じられた。彼女が驚愕しているのは分かったが、目を合わせたくなかった。


「何を馬鹿なことを言っている」父が新聞越しに言った。新聞を下ろさないのは、事態の深刻さを認めたくないからかもしれない。だが、その手と口髭が微かに震えているのは明らかだった。「何だと? 共同体のエージェントか? なぜお前が追われる?」

「分からない……俺は何もしてないのに」


その言葉が、ダムの最後の石を決壊させたようだった。

父は新聞を床に落とし、立ち上がって歩き回り始めた。カーペットが彼の足音を重く吸い込む。

「捕まったけど、逃げたんだ……分からない。彼らは、あんたたちのことも言ってた……それと、手帳のことも……」


父がブツブツと何かを呟き始めた。最初は聞き取れなかった言葉が、波のように徐々に大きくなっていく。

「自分が何をしたか分かっていれば……! まだ人を殺したと言うならマシだった! 誰かを刺し殺したと言うなら、まだ諦めもついただろうに! だが、奴らはお前を……どうしてそんなことがあり得る? どうしてお前は何も知らないんだ!」

母がすすり泣き始めたが、父親の怒鳴り声に打ち消された。


「俺たちがなぜ、お前をアリスタイオスの息子、ミダと組ませたと思ってる! お前がもう少し賢くて、黙っていられる人間だと思っていたからだ……! あの泥棒どもに全部吐かせられたのか? あの犯罪者ども、あのブルジョワどもに……!」

彼は部屋の端から端へ歩き回った。ヴークは生まれて初めて、父の目の奥で何かの炎が燃え上がり、空っぽの釜のような彼を熱く焦がしているのを見た。


「追われているだと……? この卑怯者め! 捕まっただと? で? 奴を売ったのか!?」


それがミダのことだと気づいたヴークの胃の奥に、彼自身を丸ごと飲み込んでしまいそうな巨大な穴が開いた。

「違う、俺は……言ってない」

そもそも何も知らなかったから言えなかっただけだ。だが今、彼の前に全く新しい深淵が広がろうとしていた。


「やめて!」母が立ち上がり、最後の力を振り絞って叫んだ。父は乱暴に彼女を椅子に座らせた。

「彼は知るべきだ」

母は答える代わりに、自分のこめかみを押さえた。


「俺たちがなぜ他の家門から村八分にされているか分かるか?」父は息を荒らげ、顔を真っ赤にしていた。それでも、無理やり言葉を絞り出した。「ミダはあなたに、何も教えなかったというのか?」

父はようやく腰を下ろした。母の目を見つめ、彼女に語りかけるように口を開いた。

「俺たちは、人間の善性を信じて疑わなかった。人間は己の本能を超越できるし、またそうあるべきだと。あの時代は、『術』を科学の光で解明し、理論の上に確立できると信じられていた。お前の目には映らなかっただろうが、俺たちにはその未来がはっきりと見えていたのだ……。『異端病』など存在しない世界。そんなものは取るに足らない虚言に過ぎず、我々の祖先がかつてそうしたように、誰もが当たり前に『術』を行使できる世界が……」


白内障で濁った目、欠損した手足、発疹、鱗屑、癌――共同体の人々に見られるあらゆる欠陥がヴークの脳裏に浮かんだ。思えば、彼の父と母も異常なほど老いさらばえていた。


「……それは、貴族が民衆を苦しめることのない世界だ。砂漠から来た野蛮な神々に、俺たちが根絶やしにされることのない世界……。そこには『一般人』も『才能ある者』も区別はない。すべての一般人が、自分や他者の向上のために『術』を使える世界だ」


すべての一般人が?

アケロンの水に狂い、獲物のようにニチャの首にすがりついていた、あの少女の瞳を思い出した。


「……そんな世界は来ない。奴らは俺たちから現在を奪っただけじゃない。未来を夢見ることすら奪い去った……。だから、生き残った俺たちは身を潜めた。再びその未来を夢見ることができる世代を育ててきたんだ。お前たちが、俺たちにそれを取り戻してくれるはずだった……」

「どうして黙ってたんだ?」

父はわずかに口を開き、そして閉じた。代わりに母が答えた。

「共同体に少しでも疑われないためよ。私たちはあなたたちの活動を知らないし、あなたたちも私たちのことを知らない。尋問されても、誰も誰かを売ることはできない。そうやって安全に松明を引き継ぐためだったの……」

声は震えていたが、その裏にははっきりとした芯があった。この数年間、彼女を支え続けてきた鋼の意志がそこにあった。


「ごめん……」

「もうすべて終わりだ」父がしゃがれた声で遮った。「少なくとも、今はお前も真実を知った。お前は運動の役には立たなかった。だが、お前の命に関していえば、まだ手遅れじゃないかもしれない」


何年かぶりに、二人は真っ直ぐに目を合わせた。

「逃げろ」


ヴークは思わず立ち上がり、そして立ち止まった。彼らの告白……一体何の告白だ? 自分はどんな運動の一部だったというのか? 誰もが――彼を守るべきだった両親でさえ――彼に罪があると認め、逃げることしか残されていないというのか?


「この顎は……?」

父の目には、何か狂気じみたものが宿っていた。

「それを語るのは、俺の役目じゃない」



ヴークは家を飛び出した。

並木道と灰色の空が混ざり合い、ぐらぐらと揺れた。涙で視界が滲んでいたのかもしれない。だが、一滴の涙も頬を伝うことはなかった。パニックと、炭鉱のハンマーのように胃の奥底から響く激しい動悸が、涙を凍りつかせていた。


どこへ行けばいい?

奴らはミダの部屋で彼を見つけた。両親をこれ以上危険に晒したくない。自分のアパートはもう見つかっているだろうか? 間違いなく見つかっているはずだ、それなら……。


「ヴーク!」


並木の下の車列の間に、柳の枝のように黒髪を風になびかせた男が立っていた。その視線は鋭く、しかし深い心配に満ちていた。彼が駆け寄ってくる。

ヴークは凍りついたように立ち尽くし、何も言えなかった。


「無事か――あちこち探したんだ――まさか本当に両親のところへ行くとは思わなかった――お前、まさか……?」

ミダは、秘密がバレてしまったのか探るように、ヴークの顔を注意深く覗き込んだ。しかしヴークの沈黙と、かすかに、しかし苦々しく歪んだ口元がすべてを物語っていた。


「お前……どうして黙ってた? どうして何も言わなかったんだ?」

「お前を守りたかったんだ」

「守られてなんかない」


一陣の風が吹き抜け、ヴークの苦しみをほんの少しだけ和らげた。

「……でも、ありがとう」


「お前には知る権利がある。俺たち二人でその重荷を分け合うべきだった。だが……俺にはお前にそれ以上背負わせる覚悟がなかった。奴らがお前にあんなことをした後は、特にな。お前はすでに十分すぎるほど犠牲になった。俺は……」


「犠牲?」

ミダが右顎に指を伸ばし、ヴークも同じ動きをなぞった。ここ数年の間で、その顎がこれほど異物のように感じられたことはなかった。もはや新鮮な血を注いだところで治るものではない。もしこれ以上言葉を発すれば、縫い目が完全に弾け飛び、大きな穴が露わになるような気がした。何によって開けられた穴だ? ヴークは自分がどうやって怪我をしたのか思い出そうとした。しかし、どんなに記憶を繋ぎ合わせようとしても、そこにはいつも両親の額に刻まれた悲しみと皺寄せられた罪悪感が見え隠れするだけだった。何のために? あの『迷信』のために? フランシスコはまるで周知の事実のように語っていた。自分の周りで着々と計画が進められていた間、自分一人だけが、その目的も知らされぬまま祭壇で血を流させられていたのだ。


「ああ……全部説明する。すまない……俺一人で全部背負えると思っていたんだ。上手く隠れおおせたつもりだった。だか、お前が奴らに捕まったと聞いて」

「心配するな、お前のことは売ってない。そもそも居場所なんて知らなかったしな」ヴークが自嘲気味に笑うと、ミダもそれにつられて、声の震えをごまかしながら不器用に笑った。「俺のせいだ。どっちみち俺のせいなんだよ。パニックになって、噛みついちまった……」


だが視界の端に、輪郭のぼやけた影が映った。彼は恐怖と安堵の入り混じった思いで言葉を飲み込んだ。逃亡を図るために食いちぎったはずの肉は完全に断たれてはおらず、あのずんぐりとした首から命はまだ尽きていなかったのだ。


二人の背後には、ひどく汚れ、所々血の染みがついたシャツ姿のフランシスコが、ギレルモの首に寄りかかるようにして立っていた。ギレルモは無表情で微動だにしない。フランシスコは荒い息をつきながらも、歯をむき出しにしてニヤニヤと笑っていた。


「執念だよ、執念……! 私を救ったのは執念だ、感謝しないとな。これで一石二鳥……」

息を切らし、明らかに勝利の喜びに浸りながらも、フランシスコの声は冷酷で洗練されていた。まるで成功以外の結果など最初からあり得なかったとでも言うように。ギレルモがローブのポケットから銃を取り出した。布の折り目の間で、銀色の十字架が一瞬だけキラリと光り、また隠れた。


「殺人、窃盗、国家転覆未遂、国家反逆罪で逮捕する……そして君は」彼はヴークを顎でしゃくった。「脱獄罪も追加だ。少しでも抵抗すれば、撃つ。射殺許可が下りている」


ミダは落ち着き払った動作でポケットからタバコを取り出し、火をつけ、煙を吸い込んだ。

静寂が落ちた。ヴークは呆然と彼を見つめた。


「それを捨てろ! 大人しくこちらへ……」ギレルモが口を開きかけたが、ミダは煙を風に漂わせながら、平然とタバコを吸い続けていた。フランシスコが笑った。

「私は詩的な余韻が好きでね。国家の仕事に就く前は、作家になりたかったくらいだ。私がもう少し若ければ、最後の一服が終わるまで待ってやっただろう。だが歳をとると、妥協のない効率性こそが至高だと学ぶものだ。それを捨てろ、さもなくばギレルモが撃つ。これが最後の警告だ」


「俺なら恥ずかしくて死にたくなるな」ミダは銃を見つめながら言った。「自分の能力をそこまで信じられなくなるなんて。いいか、今や一般人でさえドローンを使ってる時代だ。拳銃なんて時代遅れもいいところだ。防弾チョッキはどうした? 俺が銃を持ってたらどうする? あとはベージュのトレンチコートでも着れば、昔の探偵の出来上がりだな」彼はフランシスコに向かって静かにそう言うと、空いた方の手でポケットから小瓶を取り出し、器用に蓋を開けて、こげ茶色の錠剤を一つ飲み込んだ。


ヴークは、フランシスコが心底困惑している顔を初めて見た。

ギレルモはミダの全身を舐め回すように観察した。だが、危険な武器は何も見当たらない。こういう場面で熟練の術者たちが好んで使う「指輪」すら嵌めていなかった。


「お前たちは二人、俺は一人だ。だが、俺が大人しくついて行くと本気で思っているなら、笑止千万だな」

ギレルモが銃を構えた。そして言葉を失い、驚きのあまり口を半開きにして固まった。


ミダは、タバコの火で宙にゆっくりと円を描いていた。火の粉が通った軌跡の空気分子が、それに呼応して変化した。まるで紙にペンで描いているかのように、中空に彼の手の動きの痕跡が、真っ赤に焼け焦げた線となって残っていたのだ。目を閉じた時に見える光の残像に似ていたが、それは現実世界にはっきりと留まっていた。


瞬く間に、ミダと二人のエージェントの間に炎が燃え上がった。まるでガソリンをぶち撒けたように炎は勢いを増し、彼らの視界からヴークとミダの姿を完全に隠した。


「俺の悪魔は今夜、肉に飢えている。俺の肉が一番の好物だが、今はまだくれてやるわけにはいかないんでね……」


炎の中から、呟き声と、不明瞭な咆哮が聞こえてきた。一つ一つの炎の舌が、知性を取り戻し、与えられた命令に答えようとしているかのように激しくうねる。ミダは、自らの中に巻き込むように渦巻く炎の壁の前に、微動だにせず立っていた。


ミダがヴークを見た。

「行け。何をためらってる? こいつらは俺が食い止める。どこへ行くべきか分かってるはずだ。そこに行けば、すべての答えがある。そして……お前はそこで初めて、本当の決断を下すことができる」


彼の瞳は炎を反射して輝いていた。

「逃げろ」


ヴークの目に、彼の顔が父親の顔と重なって見えた。その輪郭のすべてに、自分に隠されていた秘密と、意味も分からず捧げられた犠牲が見えた。そして、個人の意志や苦痛、恐怖や希望など微塵も気に留めることなく、ただ回り、配置を変えていくこの世界の巨大な歯車が見えた。その歯車の中に自分の居場所はなく、かといって新しい場所を切り開く力も今の自分にはなかった。


彼は走った。ひたすらに走った。涙で視界を滲ませながら。一人だけのものとは思えない絶叫が耳にこびりつき、暗さを増していく空の下、悲鳴は少しずつ遠ざかっていった。


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