↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イケメンだらけのドラッグストアでいつのまにか全員から執着されていました  作者: 薬師寺 あかね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/19

神楽坂迅という男

今回はついに、社内から『鉄の神楽坂』と恐れられる超エリート・神楽坂迅エリア長視点のエピソードをお届けします!

細部まで見抜くプロの目を持つ彼が、なぜ地味な薬局長・天音ちゃんにここまで本気で心を奪われてしまったのか?

そして、調剤室で見せる冷徹な仮面の裏側で、バックヤードに入った瞬間に繰り広げられる「可憐すぎる……っ!」という衝撃の爆発(ギャップ)をお楽しみください!

俺は神楽坂迅(かぐらざかじん)。

 社内では「厳格なエリア長」として通っている。

 陣内エリア長には最年少エリア長の座こそ譲ってしまったが、数字、コンプライアンス、店舗の華やかさ……そのすべてにおいて負けるつもりは毛頭ない。

 あちらの親しみやすい陣内エリア長とは違い、俺は社内から少し恐れられている。そのため、軽々しく女性社員が言い寄ってくるようなこともない。

 俺は自分で言うのもなんだが、かなり細かいところまで気づく人間だ。

 調剤室での表面上のノリや誤魔化しなどは、一目見ればすぐに分かる。普段から真面目に業務に向き合っていない薬局長には、当然厳しく対応する。俺が巡回に来る日だけ表面上を取り繕っても無駄だ。日々の努力や誠実さは、神は細部に宿るというように、細やかな部分にひっそりと現れるものなのだ。

 そこを見抜けるか否かで、ただの薬局長で終わる人間か、それ以上へ駆け上がる人間かが決まると俺は判断している。

 別店舗の一ノ瀬は普段こそチャラチャラしているが、あれはあれでかなり高い臨床能力を持っている。ライバルだが認めよう。奴は優秀だ。特に在宅医療や緩和医療に関しては明るい。

(……『天音ちゃん』などと気安く呼んで引っ付いているのは甚だいただけないがな!)

 まあいい。今日も所沢駅前店の店舗管理は見事だ。

 この新人の橘も素晴らしいな。まだ新卒一年目だというのに、職場を実に美しく整えている。俺はこれまで何十という店舗を見てきたから分かる。デスク周りを綺麗に整えられない人間に、良い仕事などできるはずがないのだ。

 しかも東京薬科学大学の男子部をトップクラスで卒業し、高校はあの函館ラッサールか。並々ならぬ逸材だ。

(……馴れ馴れしく『天音さ〜ん』などと甘えているのは、これまた非常にいただけないがな!)

 そんな中、いつもひたむきに頑張る薬師寺天音……。

 実に…実に…可憐だ。

 他のどの薬局長(あの一ノ瀬は除くが)も、俺が巡回に来れば顔色を伺い、何かを隠そうとコソコソ動く。

だが、彼女を見ろ。どこまでも真っ直ぐだ。

いつも愚直なまでに頑張っている。女の武器を使うわけでもない。己の地道な努力だけで、ここまで這い上がってきた。

俺に媚を売ってくることもない。自力だけで、真っ直ぐにぶつかってくる。

(くっ……恥ずかしいが……俺はこの人に、完全に心を奪われてしまったのだ……!)

『鉄の神楽坂』と恐れられている、この俺が……!

(はっ……しまった! 鼻の下を伸ばすわけにはいかん! 俺にはエリア長としての立場があるのだから……!)

「おはよう……薬師寺先生」

「あっ……おはようございます♪ 神楽坂エリア長♪ 来週が納期の書類だったんですけど……私、頑張って作りました! 少し自信がないので……ご指導ご鞭撻の猶予をいただきたく、早めに提出させていただきたいです! お願いします!」

 両手で丁寧に書類を差し出してくる天音。

「うん……分かった。……よく出来ているぞ! 細かい修正にあれば個別に伝える。調剤に戻れ!」

「はい♪ エリア長、お手柔らかにお願いしますね♪」

「ちょーっと厳しすぎないっすか〜?」

 横から橘がすかさず口を挟んできた。俺は表情ひとつ変えずに一蹴する。

「我々薬剤師には高い倫理観と正確性が求められる。厳しくせざるを得ん!」

「はーい……」

 ぶつぶつと不満げに頬を膨らませる橘を背に、俺はそそくさと事務所の奥へと戻った。

 パタンとドアを閉め、誰もいないバックヤードにひとり立った瞬間——。

「っ……ハァ……ハァ……っ! か、可憐すぎる……っ!!」

 胸を強く締め付けられ、俺は壁に手をついて息を吐き出した。

 誰も見ていないことを確認し、だらしなく頬を緩めてニヤニヤと笑い破顔してしまう、情けない俺なのだった。

「少しでも『面白かった!』『続きが気になる!』と思ってくださったら、下部の【★で評価する】や【ブックマーク】を押していただけると執筆の大きな励みになります!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。