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イケメンだらけのドラッグストアでいつのまにか全員から執着されていました  作者: 薬師寺 あかね


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19/21

イケメンホイホイと、我慢の限界

ルンルン気分で所沢駅前店に乗り込んだ一ノ瀬蓮でしたが、そこには天音ちゃんを囲む「イケメンホイホイ状態」の過密空間が広がっていた!

下田くんの接近に我慢の限界を迎えた神楽坂エリア長が、まさかの「一ノ瀬、天音ちゃんを連れてバックヤードへ行け!」とまさかの協力(?)指令を出すカオス展開!

そして、相次ぐイケメン達の猛攻にすっかり脳内がパンクし、あらぬ妄想を膨らませる天音ちゃんのキュートな限界状態をお楽しみください!

今日は、心の底から手応えありだ。

終末期や認知症患者の悩みは本当に多岐にわたる。不眠症状や昼夜逆転に対しても、従来の古いやり方ではなく、メラトニン受容体作動薬の『ラメルテオン』やオレキシン受容体拮抗薬の『レンボレキサント』、さらに生活習慣の見直しや行動認知療法を組み合わせて、ほんのわずかではあるが確実に改善させることができた。

ドラマのように一瞬で魔法のようには治ったりはしないけれど——それでも、患者様の苦痛や、付き添うご家族の負担が確実に軽くなったのは間違いない。

よし、この臨床の成果を、さっそく天音ちゃんに報告して相談しよう。

今日は一体、どんな可愛い驚き顔をしてくれるかな……?

ふふっ、楽しみだぜ……!

すっかりルンルン気分で所沢駅前店の自動ドアをくぐった俺の足は、その場でピタリと凍りついた。

「なっ……なんだぁ〜〜これわーーっ!?!?」

そこには、いつものカウンターに陣取る橘の姿だけでなく、神楽坂エリア長、そして……なんだあの不敵に微笑む水晶野郎(下田)は!!

天音ちゃんのすぐ近くにぴっとりと張り付いて、何やら楽しそうに喋っているではないか!

「ちょちょちょっ……た、田中井……一体これはどういうことだ……っ!」

「あぁ、一ノ瀬薬局長。お疲れ様です。エリア長が新しく担当している、実習生の下田くんですけれど」

「おいっ! 距離がおかしくだろ、あんな密着して……!」

「あぁ〜、薬師寺薬局長はまた無自覚にイケメンを手懐けてますからねぇ……。文字通りの『イケメンホイホイ』ってやつですかね」

「はぁっ……何だそりゃ!! なぜエリア長も橘も、あんな奴を野放しにしてやがるんだ!!」

「なんでも、超がつくほど優秀な子らしいですよ。喜多里大でトップクラスの成績なんですって」

「なにぃ……!? あんな水晶野郎に、年下好きのフェロモンでもまき散らしてホイホイついてきちまったら、俺が泣いちまうだろうがっ!!」

「アハハ、泣くの? 一ノ瀬薬局長が?」

「くっ……た、田中井、お前な……!」

「冗談冗談! 薬師寺薬局長はそんな軽い人じゃないですよ(笑)。ただ、ちょっとあの脱力系の下田くんにペースを当てられているだけですけどね」

「なっ……! それでも十分に効いてるではないか……っ!」

「あら……じゃあ、もし仮に白鳥駅前店の氷室涼香ちゃんみたいな圧倒的な美女が近寄ってきても、一ノ瀬薬局長は何も感じないわけね? ……ものすごい特殊な体質ねぇ……」

「ぐぬぬぬ……! 俺は別にそんな節操なしじゃねぇよ!!」

「はいはい、分かりましたよ〜。……どうせまた、学会の症例検討とか何とか理由をつけて、薬局長に求愛しに来たんじゃないですかぁ?」

「なんだとっ! 俺を熱帯の派手な求愛バードみたいに例えるとは……!」

「いいじゃない♪ 華やかな鳥さんは見応えがあって可愛いわよ」

受付の田中井さんと軽口を叩き合っている間にも、下田のやつがさらに天音ちゃんとの距離をスッと詰めていく。その様子を見た瞬間、神楽坂エリア長の端正な眉間に、これまでにないほど険しいシワが刻まれた。

「……見ておれん!」

「へっ……?」

「一ノ瀬! 薬師寺先生を連れて、今すぐバックヤードで症例検討を始めろ!!」

「っ!!?」

 ついに堪忍袋の緒が切れたらしい。

 『鉄の神楽坂』がゴウを煮やし、あまりの嫉妬と我慢の限界から、ライバルであるはずの俺に直接指示を飛ばしてきたのだ!

「待っていたぞ、一ノ瀬……! 早くいけ!!」

「そうだぞ一ノ瀬先輩! ぐずぐずしてないで早くバックヤードに行ってくださいよ!!」

 橘までもが鬼気迫る表情で俺の背中を押してくる。

「……ちっ、分かったよ!」

こうして、下田のやつに「ちぇ……」と気だるげな舌打ちをされつつも、俺たちはバタバタと慌ただしくバックヤードへと引っ込むことになった。

   * * *

そんな男たちの激しい縄張り争いの真ん中で、私——薬師寺天音の脳内は、完全にショートを起こしてパンクしていた。

代わる代わるイケメン達が目の前に立ち代わり、嫉妬と熱視線を散りばめながら目の前で激しく暴れ回っている……。

……い、一体ここは何のドラマの撮影現場の……!?

真面目なはずの「症例検討」の文字が、脳内で完全に溶け去っていく。

あぁ、もうだめだ……。私のキャパシティはとっくの昔にオーバーして、頭の中では変な妄想ばかりが膨らみ続けてしまう、ポンコツな天音ちゃんなのであった……。

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