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VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


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93羽目:背中から伝わる物語

 急ぎ足で、丘の上にある教会にたどり着くと、入口にみぃが立っていた。


「お待たせー!」


「すごい待ったから、鳥もふ一回分ナシね」


「理不尽?! デザートでお許しを!」


 さっき、エッグケッコーをもふったけどまだ足りない。だからデザートで許してください。

 そういえば、うちは師匠たちとお茶したけど、みぃはまだ給水も空腹も満たしてないよね。サクッと食べられる甘い物でピクニックご飯にしょう。うちはいいや……。師匠と食べた激甘メニューを思い出して鳥肌が立った。


 裏庭に回ると、授業の片付けをしているセレナさんの姿が見えた。アクレアさんも呼んでもらい四人でピクニックを楽しむ。妖精さんやエルフも甘い物が好きだし、みんなで囲むご飯はより美味しくなるもんね。


「あれ? アクレアさん、何か雰囲気が変わった?」


「あぁ、アクレア様の封印が解けたことで、精霊たちの力が戻ってきているみてェなんだ」


 今は精霊の導きバフがついていないので、セレナさんが代弁してくれた。顔は光ってるんだけど、うっすら表情がわかるようになってる。といっても、口元だけだから、見る人からしたら、ちょっとホラーなんだよなぁ。


「そういや、ルーイ。おめェもかなり神の力が溜まってるみてェだが、転職しねェのか?」


「確かにLv30に上がってたから転職できるわね」


「あー。それ、さっき師匠にも言われたけど、タンクとか、範囲のこと教えてもらってたら忘れてた……騎士団ギルドでもそんな説明あったね」


 試験に合格したら、さらに難しい依頼とかも受けられるんだっけ。

 ……試験とか懐かしすぎる。ゲームでも落ちたら、普通にへこむんだけど。そういえば、マリーさんのクエスト以外で騎士団ギルドの依頼を受けたことないな。いや、あれって個人の依頼だから、ギルドは関係ないのかな。転職したら、そこらへんも見てみよう。


「銀司さんに色々聞けたのね。よかった。ルーイは何に転職したいか、もう決めたの?」


「えっと、次って騎士(ナイト)聖騎士(パラディン)だったよね? うちは師匠みたいなパラになりたいな」


 鳥に突かれても、噛まれても、受け止めるのに防御がいるからタンクになる。最初はそうだったけど、師匠の背中を見た時に強い憧れへと変わった。あの背中に追いつきたいし、あんな風に、みぃやみんなと遊べたら楽しそうだなと。もちろん、鳥に突かれ、噛まれるのは諦めてないけどね!


「おっ、ちょうどいいナ。あたいが推薦してやッから、ここで試験を受けな。あの紋章まだ持ってンだろ? そいつを騎士団ギルドで見せりゃいいぞ」


 洞窟に入るときの許可書ね、インベントリにまだ入ったままだ。


「了解! そういえば、みぃの時はどんな選択肢があったの?」


「私の場合は、商人(マーチャント)から始まって武器製造が得意な二次職のブラックスミス、薬剤製造が得意な新二次職のアルケミストよ」


「へぇ、錬金術師って最初は商人から始まるんだ。二次と新って何が違うの?」


 どうやら、二次職は汎用性のある職業で、新二次職はそこからさらに専門に特化したものらしい。箱あるって本当に細部までこだわって作り込んでるなぁ。ゲームに詳しくないうちでも聞いていてワクワクする。


「黒炎が最初にパラの転職条件を見つけたのよ。それで私も検証してみたら、たまたまケミの条件を見つけられたの」


 関連クエストや試験も、それぞれの職業に特化している内容になるようだ。アルケミストは薬草採取やポーション作成だったみたい。さっきのセレナさんの言い方だと、うちは聖騎士が選べる感じになってるみたいだし、あとは試験に受かればいいだけかな?


 探せば試験内容は載っているとは思うけど、まずは自分の力だけでやりたい。

 きっと、師匠も自分で頑張って突き進んだ気がする!


「そしたら、今日はアクレアさんを森に届けてから騎士団ギルドに行きたい!」


「そうしましょ。ルーイのパラ姿が楽しみ」


「二人ともアクレア様を頼ンだぜ。じゃ、試験で待ってんゾ」


 さて、NPCはクリスタルが使えないので森まで三十分ほど歩くしかない。AGI(素早さ)を上げて走れば早いけど、みぃが追い付けないもんなぁ。……そういえば、洞窟で肩車したとき軽かったから、おんぶしても行けるのでは?


「みぃ、検証したいことあるから背中に乗ってみて」


「……ルーイがドMかどうかの検証……?」


「なんでやねん」


 思わず、関西弁で突っ込んでしまう。「ドMでも気にしないわよ」って言われたけど。……いや、気にする。うちはニュートラルです。


 いつものじゃれ合いになったけど、みぃが乗りやすいように、膝を着いてから立ち上がる。リアルだと、もうできない動きだから、なんか嬉しくなった。


「しっかり捕まっててね。【反転 AGI】」


 ルーイタクシーを試した結果、ものの十分ほどで目的地の森に着くことができた。


「無事とーちゃく! 乗り心地どうだった?」


「……海外のホームビデオにありそうな、子供が大型犬の背中に跨った感じだったわ。おかげで早くついてよかったけど。グッガール。よーしよし」


 誰が、大型犬じゃい! それにおんぶしたから、跨るとは違うんじゃない? まぁ、ナデナデは受け取っておこう。しかし、森も久々に来た感じがするなぁ。


 アクレアさんはふわりとみぃのマントから飛び立って、みんなと合流した。やっぱ、みんな前よりも表情が見えるようになっている。全部の封印が解けたら、もっと見えるのだろうか。


 お土産の食べ物をインベントリから渡すと、イグナさんはポンバサー串を嬉しそうに槍のように突き上げて、みんなは焼きアプリル(リンゴ)を美味しそうに頬張っている。てか、アクレアさんはさっきメロンパン食べたじゃん。四人……いや、四妖精? には内緒にしておこう。


 そんなことを思いながら、色とりどりな背中を見守った。

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