表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/105

91羽目:甘すぎてクマった

 温かい気持ちを抱えながら路地を抜けると、繁華街のすぐそばに目的のお店が佇んでいた。木目調の看板には、茶碗と湯気が彫られており、《お茶処 りらく》と表示されている。


 店内は、モダンな和喫茶のような雰囲気だ。ほうじ茶と、爽やかな紅茶が混じった香りが漂い、心がホッと緩む。

 リアルは夕食時、箱ある内ではまだお昼前だからなのか、一席を除いて空いている。そこには、見覚えのある二人組が座っていた。


 一人はくま帽子を被っているクマの獣人――銀司師匠だ! まさか、本当に会えるとは思ってなかった。対面には神父さんもいるけど、何かとんでもないものを見ているみたいな顔をしている。どうしたんだろう。とりあえず、声をかけようっと。


「銀司師匠! 神父さん! お久しぶりです!」


「もぐもぐ。ルーイちゃん、おひさくまー! むぐむぐ」


「久しぶり、ルーイちゃん。あれ、みぃちゃんは? よかったら、隣座るかい?」


「みぃはまだログインしてなくて。わーい! おじゃましまーす」


 六人掛けテーブルだけど、銀司師匠はリアルに寄せた熊だから、二人分のスペースを独占している。獣人族(アニマリア)ってアバター設定の時に一部分か、全部って選べるみたいだから、人によって作りが違っていて見ているだけでも面白い。


 グリズリーベアのような見た目で食べているのが、テーブルの半分を独占しているデカい大福と、山盛りクリームが隠れるくらいチョコチップが散らされたドリンクだった。茶碗がラーメン丼にしか見えないんだけど。


「何かすごいデザートだね……」


「あぁ、銀がいつも頼むやつなんだけど、見てるだけで胸やけが……」


「コアベリーのモッチスフィアと、ローストミルクティーのミルクホイップ乗せショコチップ増量くま! こんなに美味しいのに、食べないなんて神父はおかしいくま。ルーイちゃんは食べるくま? ボクのはXXLサイズだけど、Sもあるくま」


 これが、スピルカさんもオススメしてたやつか。せっかくだし頼んでみよう。木の板で出来たメニューをタップすると、すぐに和服のような恰好をした店員(NPC)さんが運んできてくれた。見た目は大福そのものだね。Sサイズは手のひらよりも小さいけど、師匠のは大皿くらいある。


「いただきまーす、はむっ」


 もっちりとした白い牛皮を噛むと、滑らかな甘みの餡子が舌に乗り、最後にイチゴの爽やかな果汁が口の中に広がった。


「ん。このモッチスフィア美味しい! ドリンクは……ウッ」


 香ばしいほうじ茶ラテなんだけど、想像を超えるほどの激甘だった。ひと口飲んだだけなのに、砂糖が体中を駆け巡って、頭をハンマーで殴られたような衝撃が走った。


 頭の上でキラキラ星が回ってるぅ~。ピヨピヨっ。


「ルーイちゃん?! 【リカバリー】!」


 咄嗟に神父さんがスキルを唱えたが、その前にクルクルと回っていた星は消えた。


「ビックリしたぁ。今のお星さまは一体?」


「今のはスタンくま~。モンスターで同じ現象みたことないくま? スキルのデバフくま。スタンは確率で発生するけど、VIT(防御)が高ければ高いほど解除が早くなるくま!」


 デバフってマイナス効果のことだよね。オークリーダーも、星が回っている間は、動けなくなっていたなぁ。ってか、飲み物を飲んだだけでスタンになるってどういうこと? 砂糖を袋ごと頭に叩きつけられた感じがしたんだけど。


「オレがスキル使うより早かったから、ルーイちゃん相当VIT高いんだね。今Lvいくつ?」


「この間、Lv30になったところで、全部VITに振ってる!」


 あれ、何か二人がすごいビックリした顔になっちゃった。なんか変なこと言ったかな?


「まだ初めて一週間くらいだったよね? 第三陣とは言えすごいスピードだ。しかも極VITで……」


「すごい! もう転職もできるくま! ボクはSTR(筋力)とVIT型だから、純粋なステータスだけならルーイちゃんの方が防御は高いかもしれないくま!」


 そうだ、Lv30で転職ってできるんだった。でも、気になるのは師匠よりも防御が高いかもしれないって部分。レベルの低いうちの方が、ステータスが高くなることってあるんだ。


「極端にひとつだけに振るってあまりしないの?」


「する人もいるけど、どうしても大器晩成型になっちゃうし、職業によっては育成が大変くま。例えば、製造職とかものづくりはすごい成功率が高いけど、いい素材を落とす高レベルのモンスターがいるところに、ソロではあまり行けないくま~」


 なるほど。製造職であるみぃが、タゲ取り助かるって言ってたのは、こういうことか。でも、みぃの役に立ってるなら振り切って正解だったかも。もちろん、鳥もだけどね。


「オレは支援プリだからINT(魔力)優先で、詠唱速度をあげるDEX、耐久も確保するのにVITも振ってるよ。中には殴りプリでバランスよくステータスを振って、タゲ取りから支援までオールマイティーにできる人もいるけど……INTが低めだとヒールの回復量が減っちゃうんだ」


 へぇ、色んなのに振り分ける人もいるんだね。そういえば、タゲでずっと気になってることがあったんだった!


「ずっと気になっているんだけど、スキルに書かれてる範囲、っていうのがよくわからないんだよね……挑発を使ったときに、スキルが効いてないことがあって」


「スキルによって範囲は変わっちゃうくま~。挑発は近距離系スキルだから2セル以内。遠距離系は10セルがほとんどくま」


「に、2セル? 10セル?」


 頭にハテナがいっぱい飛んでいるのを見かねて、神父さんが細かく教えてくれた。箱あるの世界は『セル』というマス目で距離判定されているらしい。普段は見えないけど、内部的にはしっかり存在している、と。


 へぇ、それが二個分なのか、十個分か……って、ことね。澪が見せてくれた、レトロなゲームみたいに、地面にマス目が見えてたらわかるけど……。


「でも、見えないのに、どうやってセルがわかるの?」


「こういうのは習うより、慣れろくま~! 一緒にやってみるくま! はむっ。もぐもぐ。ごくごくっ」


 ものすごい勢いで残りの大福とドリンクを平らげる師匠。まるで、衰えない吸引力を謳う掃除機の如く、大容量のスイーツが消えていく。


 星を飛ばしながら、気合で食べきったら【スタン耐性小】が手に入った。食べ続けたら、もっと耐性がつくのはわかっているけど、しばらくリアルでも甘い物は食べたくないかな……。

 みぃが甘い物リクエストしたらどうしよう。(クマ)っちゃう。

[読者の皆様]

この小説が面白い、続きが読みたいと思ったら、スタンプ、☆、コメント等をいただけたら嬉しいです!かなり創作のモチベーションにつながります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ