望んだ未来に進む覚悟を
『なっ!? ま、待ったをかける!?』
司会者は動揺し、その動揺が、大きなうねりとなって客席にも伝播していく。
それはそうだ。突然現れ魔王軍大幹部の前に立ち、ここにいる全員に向け『待った!』の一声。
「そうだ。競りの規定に抵触することを承知で、魔王軍、お前たちに待ったをかけさせてもらう」
俺はそうして客席から視線を大幹部、カーウへと移していく。
近くで見ると肌は少し浅黒い。幾本も生える禍々しい角に目が行くが、その顔は凶悪さを孕みつつも理知的で、どこか……人当たりのいい科学者のような印象を与えた。
武官ではなく文官、と言われれば信じそうなほど。
『ふむ、待った、とは具体的に?』
「この競りは彼女にオークの子を孕ませてから行うのだろう? それでは、俺達にとっては手遅れだ」
『ほう……成程、あの鬼を買われたようで』
カーウは俺の言葉で大体の事情を掴んだように口角をあげ……というか俺は普通に声を張り上げているが、コイツは声がスピーカーを通したように会場中に響き渡っている。そういう魔法かあるいは舞台の仕掛けか……俺だけ面倒なんだが。
「だから、彼女に手を付けられる前に彼女を買いに来た!」
だから直に張り上げるしかない俺の声で、会場の空気をざわつかせることになったのだ。
まあそうだな。ここにいる客たちの意図がどうあれ、俺は競りの目玉を先に買わせろと言い出したのだ。ざわつくに決まってるさ。
『あなたなら……いえ、これは勝手な偏見ですが、有無を言わさずさらいに来たのかと思いましたよ』
「そうしたくもあったが、生憎魔王軍と衝突するなと悪魔から釘を刺されてな」
『ははっ! 意外と……紳士的なようで、いや失敬』
俺が臆病風に吹かれたとでも思ったのか、カーウは鼻で笑うが……。
「それに、力づくで女をさらうやり方は、どこかの誰かさんと同じになるからな」
「っ!」
続ける俺の言葉に、その笑みを引っ込めた。
ああ、女を力づくでかっさらう……悪いな。別にイケナイ事だと咎めるほど俺もイイ子ちゃんじゃない。だが今は競りの横紙破りの最中。だから俺達の正統性を少しでも主張するために、悪魔の言葉を利用させてもらう。
このまま、いい子ちゃんのフリを通させてもらうさ。
「あくまで俺達は、彼女を買いに来たんだ」
『これはこれは……ですがそんな横紙破り、会場のお客様方も許されないで』
「エドーラ!」
俺は待っていた言葉を聞き、すぐさま客席にいる悪魔に声を飛ばす。
「白金貨千枚! それで宣言を行ってくれ!」
俺の言葉に、それこそ一斉にざわつく会場。
それはそうだ。つけた値は開始価格の十倍。ミルキ・ヘーラやヒューレの反応と同じだ。一部は俺の正気すら疑っているかもしれん。
「さあどうだ! この場にいる誰でも、そこからたった三枚白金貨を上乗せすれば即決だ!」
会場は騒然とするも、誰も、息をのむだけで俺に言葉を返すものはいない。
「たった千三枚……俺とユーニオング以外に、身を削ってでも支払うと叫ぶ者は、いないのか」
そう、何もかもをなげうって彼女を助けようとした鬼を、上回るものなどいなかった。
この時点で、もっとも相応しい資格を持つのが誰かを、会場にいる全員が思い知るのだ。
『……やれやれ、随分と派手な演出ですね。ですが騙されませんとも。そもそも、あなたにそんな大金が支払えるとは思えない。ハッタリでこの場を切り抜けようと』
「いや。運のいいことに、俺達の席の後ろにたいそうな悪魔が陣取っていてな。そいつが金を貸してくれるらしい」
『な……』
ここまでどこか余裕のあったカーウは、俺が示した先へと視線を向け……。
『っ!? まさか……あれはっ、第七の!』
その叫びに、会場中がその男を見る。
緑と青の髪の悪魔が、嬉しそうに手を振るのを。
「彼女を手にする資格はこれで十分かな、大幹部殿」
『っ! 馬鹿な! たかが小娘一人にかける金額ではない! それこそ最強のオークの子を孕む前の鬼娘などにっ!』
「勝手に価値観を推しはかられても困る。俺達が、お前の尺度では測れぬ男だっただけだ」
会場中の観客が口々にラセスチャーの名を、そして荒野の吸血鬼を見つめる中、俺は大幹部に再び向き直る。
この場にいる誰もが、この愚行とも呼ぶべき暴挙に息をのみ。
俺とユーニオングの覚悟が、今度は魔王軍大幹部に刃を突きつけて。
「上乗せして宣言する者はどうやらいない。競りは、俺達の即決で幕切れだ」
金額が金額だ。本来ならこれでも俺の言葉を疑う奴はいたかもしれない。だがラセスチャーの肩書きと、俺の先ほどの競りを目の当たりにした今、口を挟める者はいないはずだ。
ギガ・クルロタールの胆石……だったか。
デモンストレーション、しておいてよかっただろう?
「彼女をこのまま、譲っていただけないか」
さあ、状況は整ったぞ。
会場が混乱する中、俺はそう言って畳みかける。あとは、この男が首を縦に振れば……。
『ふ、ふふふ、ははははははははははっ!』
会場は、魔王軍大幹部のその高笑いに、びくりと空気を震わせる。
……まあ、そんなに上手くいくはずはないか。
『成程、荒野に現れた新興勢力などに随分とてこずると、報告では思ったものですが……ふふ、そうですか。今ならよく分かりますよ。あなたならそれは正しい』
大幹部は、鋭い刃の気配を一層強めて。
『ですが、その取引はお断りしましょう。例えあなたが白金貨を一万枚積もうとも、ね』
「何?」
そう言って今度は彼が、客席の方に歩み寄っていく。
『我々の今日の目的は、魔王軍に逆らったものの見せしめ。そしてもう一つ、こちらの方が大きいのですが……それは我らの戦力を皆様にもお分けすることです』
客席が大幹部の言葉に、少しずつ呑まれるように静かなざわめきを起こす。
『昨今、人間の勢力は台頭し、我らモンスター全てを打ち滅ぼそうとその魔手を伸ばしています。我らは、そんな中から皆様をお守りするために、そして……世界から人間の脅威を取り除くために、今日ここに立っているのです』
その言葉に……その、意外な言い回しに、俺も思わず目を丸くする。
『ですから我らの最新の、最強のオークの力をここに出すのには意味がある。金銭以上の価値がある! 人間をこれ以上のさばらせないために! 人間の魔手から、全てのモンスターを守るために! ……そういうわけです』
この男は堂々と、恐怖を振りまく魔王軍ではなく、人間達からモンスターを守る魔王軍だと喧伝し、再び俺に向き直ったのだ。
『申し訳ありませんが吸血鬼殿、あなたの申し出は断らせていただきましょう』
「……今の熱弁は、中々に考えさせてくれるが」
俺は、流れを一気にひっくり返しそうになるそんな演説を、しかし冷静に受け止める。
人間からモンスターを守るための魔王軍、か。成程、表向きはそんな形でまとまっているのだろう。実際を知っていると凄まじいギャップだが、広報戦略としてはちゃんと機能しているらしい。
正直な所、俺の話など無視して押し切られたらどうしようかと思っていたのだ。こんな所で、いや、大勢の有力者の前だからか……色気を出してくれて助かる!
「このまま競りを行えば、彼女を競り落とすのは俺達だ。見せしめにはできても、人間からモンスターを守るだのという名目は果たされぬ……それでいいのか?」
そう……この男が、魔王軍の目的が本当に『人間の脅威からモンスターを守ること』なら、俺達はその魔王軍に攻められることなどなかったのだから。
全く、俺なんかよりよっぽど『いい子ちゃんのフリ』しおって。
「それとも、今語った目的は『本心』ではなく『建前』か」
『ふふ、手厳しいことをおっしゃる』
そうしてこの男は楽しそうに、その口を歪めて。
『そうですね、確かにあまりいい状況ではない。出品者である我らには出品形態を選ぶ権利があり、金を持つあなたには競りを制する力がある。互いを押し通しても互いの望まぬ結果になる。なら……どうです?』
カーウは……いや、この男は先ほどの俺の感想通りの気持ちを、本心で抱いているのか。
『勝負、というのは』
「……勝負?」
この上なくその表情をほころばせる。この状況を、いや……。
俺との対立を『楽しんで』いるかのように。
『一対一の勝負です。我らのタイラントオークの力、存分にお見せしましょう。スウェル殿!』
突如会場の一角へ……この商会の長である悪魔に向けて、カーウは叫ぶ。
『外の闘技場をお借りしたい!』
『……いいだろう。ここまできたのなら好きに取り仕切れ。当人同士で解決してもらおう』
暗闇の中から声だけを響かせる悪魔に会場もざわつく。了承の意を伝えるだけ伝えて、再び静寂を残して闇は消えた。
『そういう訳です。一対一の殴り合い、武器はなし、己の肉体だけで雌雄を決してもらいます。そちらが勝てば望み通り、彼女は引き渡します。お代も結構、ただし!』
俺の方へと迫り、大幹部の男は告げる。
『こちらが勝てば、あなたと第七悪魔商会、双方抜きの競りを予定通り行います。我らはあなた達に勝ち、その力を存分に示したうえで、求めるものにそれを提供することができる』
ふうむ、俺達が勝てば女を手にし、負ければそこで女が犯されるのを黙って見ていろ、か。随分と過激な勝負だが……。
「俺達が勝てば彼女を救い出せ、ついでにお前らのくだらぬ目論見も潰せるわけだ」
『勝てば、ですがね。どうです?』
「……いいだろう」
元より力に訴えられれば手っ取り早いと思っていた。起きたばかりの今は、俺の強制睡眠を心配する必要もない。
「その勝負、受けて立つ」
願ってもない状況だ!
『では会場の皆様には、我らと荒野の吸血鬼殿、どちらの側が勝つか賭けていただきましょう。ちょっとした余興、とでも思っていただきたい。最後の競りまでの前座です』
カーウは、首を傾けつつ俺へとほほ笑む。
「そうだな、改めてこちらからも詫びよう。今日の競りは、事実上ここで終了だ」
俺はその笑みを、するりといなす。互いの瞳が交差する中、理想的な流れに俺は内心安堵し……。
「では早速外に」
『ああそうでした、一つ、大事なことを言い忘れていました』
そう思いかけた時、カーウは人差し指を立てながら、いかにも芝居がかった口調でこう付け加えたのだ。
『戦うのは、そう、あなたじゃありませんよ。吸血鬼殿』
「……え?」
そう、俺にとって、想定外の一言を。
『戦うのは彼……最強の鬼、ユーニオングを指名します』
「っ!?」
安堵しかけた心に、隠していた刃を突き立てるように。
「おい待て、何でそうなる!」
『何でも何も、彼女を欲しているのは彼なのでしょう? この鬼娘の許嫁なのですから』
カーウはさも当然のように返す。コイツまさか……最初からそのつもりで!
『だったら、本人が戦うのが筋でしょう。それに我々としても、我々以外に力を知られていない荒野の吸血鬼より、名の通った最強の鬼を倒すことに意味がある』
「……俺に臆したか?」
『はは、何とでも。それでどうします? 不服でしたら残念ですが、競りを再開しますが』
その笑みは、全てを見透かすようで。
俺の心に今巻き起こる嵐を楽しむように、口角を釣り上げて。
「……だが」
俺はなんとか、表面では冷静を取り繕っている。
だが……くそ、これは少々マズイ!
カーウの言う通り確かにユーニオングが戦うのが筋だ。だが……だがっ!
「ついさっきまで、アイツはまともに歩けもしなかった。そんな弱った鬼と戦って勝つのが」
『申し訳ありませんが、そこまでそちらの事情を考慮する義理もありません。彼を失うのが嫌なら、黙って見ていればいい』
「っ!」
『この鬼娘を切り捨てれば、少なくとも彼の身の安全は買えるでしょう。持てる以上を持とうとすれば、それは指の間から零れ落ちる。必要以上を望まなければ、代償を支払うことはないのですよ』
そうしてこいつは、悪魔の言葉で俺を攻め立てる。
それはかつて、第七悪魔商会の長から向けられた、忠告。
必要以上を欲すれば、その代償を支払うことになると。
『さあ、どうします?』
魔王軍の大幹部は、そうして俺を誘うのだ。
悪魔の選択肢へ。
『何もかもを、その力でもって叩き潰せば、或いは両方を手にできるやもしれませんよ』
かつてラセスチャーが言っていた。第四悪魔商会はからめ手で来ると。ようやく、その真意を理解したのだ。
鬼の村を滅ぼしたのは魔王軍。その鬼をこの時までずっと弱ったままにしておいたのは悪魔。そしてそれを買い取ったのは俺だ。最悪な状況を用意し、そうして俺を追い込んで……。
ここで、皆が見ているこの場で……大暴れさせる気だ。
「そうだな……その通りだ」
俺には力がある。こいつも含めて全ての敵をなぎ倒し、こんなくだらない茶番を一方的に終わらせる力が。だが俺も、相応の傷を負うだろう。
代償に失うのは、信用。
ここに集まった大勢の、恐らくは各界隈で力を持つ者たちが、俺のことを、荒野の吸血鬼は力を振りかざす無法者と認識し、伝えていくだろう。それはこれまで流れていた根も葉もない噂とは違い、事実を見聞きした者にとっての『真実』として。
そうなれば、これまでは取るに足らない噂の数々が、いずれは俺達を縛る足かせに変わる。俺達は、荒野の真ん中で本当の意味で孤立する。
次の代償として支払うのは、仲間たちの身の安全かもしれない。そうやって、全てがゆっくり、波にさらわれる砂の城のように崩れる危険すらある。
「大したものだ、魔王軍」
ああ、全く。俺にとっては、素直に殴りかかってくれる方がよほどいい。
「俺にお前と、刺し違える覚悟をさせるとはな」
「っ!?」
ああ、いいだろう。
代償は、支払おう。
俺で賄えるものなら、払ってやろうじゃないか。
『ふふ、そこまであの鬼に入れ込みましたか』
「そんな話ではない。出会ってまだ幾ばくも無いが……仲間を守れなくて、何が当主だ」
あの森でクーナに自虐したが、やはり俺は、大して変われてはいない。
空を見上げようとし、そこにある天井に遮られ、俺は自分の無力さにため息をついた。
やはりフリでも、俺にはいい子ちゃんの真似はできそうもない。優しいなどとおだてられても、これが俺の選ぶ道なのだ。何が、できれば殺したくない、だ。
血にまみれた争いの道。
仲間に降りかかる火の粉は、容赦なく払う。
払う拳の一振りで、敵が何人死のうが構わない。そうやって生きてきたのだ。
血に染まった道を歩むことを今更躊躇うなんて……虫のいい話だ。
「ここにいる全員を、屈服させればいいだけの話だ」
『っ!?』
俺は、ああ、これなら声が勝手に大きくならなくて助かったな。この舞台に立つ者以外に、今のつぶやきは聞き取れなかったはずだ。
何もかもをぶっ壊す。俺はそう言ったのだからな。
「お前も死にたくなければ降伏するといい」
『……ふふふ、これは随分と潔い。刺し違えてでも、などと言いましたが、まさかあんな小娘の純潔を守るためにそこまでするとは』
「何度も言わせるな。彼女は守る、仲間も守る。両方こなすのに必要な対価を、払うだけだ」
俺は体の中に巡る血を加速させ、ピリピリと空気を震わせる。目の前の魔王軍大幹部が歪んだ笑みを浮かべるのを見ながら。
ああ……かつての、恐怖で支配する吸血鬼に逆戻りか。どの道いい子ちゃんのフリは向いていなかったのだから、仕方のないことか。
これは……仕方のない。
「さあ、覚悟は」
『それには、及びません』
「っ!?」
俺がそうして、その暗い未来に手を伸ばそうとした時。
その声は俺をとどめるように、或いは優しくいさめるように、その手を止めた。
『ここから先は、俺にやらせてください』
「っ! ユーニオング、お前……」
それは、そう……同じ舞台に上がっていた、一人の鬼。
ゆっくり、けれど悠然と、その男は俺の隣へと歩み寄る。
『俺が、俺自身の手で取り戻さなければ意味はありません。あの時失ったものを、もう二度と、手にできないと諦めていたものを……俺達の、未来を』
男の顔に、どこにも悲壮感はなかった。
死にかけのソレではない。最強の鬼、鬼の長として君臨していた男の、颯爽とした顔。だが……。
「分かって……いるのか。理想はそうであっても、現実は」
『楽観するつもりはありません。ですが、決して無理だとは思いません。俺を縛る鎖は解け、力も貰った今、ためらう理由は俺にはありません』
そうして彼は、前を向いていた瞳を、一度だけ、俺へと向けて。
『出会ったばかりの俺やコニオラに……いえ、あなたはどうやら、背負った者のために全てを賭けて戦える方なのでしょう。それはありがたい。ですがこればかりは……あなたに背負わせるわけにはいかない。俺が背負うべきモノで、それ以上に、俺が背負いたいモノなのです』
俺に、一言一言諭すように彼は言葉を綴り。
『背負わせてください……俺達が、望んだ未来に向かって進むために』
「っ!」
鬼の青年はそう言って……笑ったのだ。
「……まさか、それを言われる側になるなんてな」
いつか、あの森で叫んだ言葉が、ここで返ってくるなんて。
満身創痍なんだぞ、お前。
あのオークは、そんな簡単に勝てるような相手じゃあないんだぞ。
それを承知で、それでもなお……お前は望んだ未来のために進むというのか。
『会ったばかりの俺達にここまでしてもらって黙っているなんて、それこそできません』
「負ければお前だけじゃない。あの娘は、衆目にさらされながら泣き叫ぶことになるぞ」
『ええ』
俺は現実をつきつけ、けれどユーニオングは、それに臆することなく答えて。
『ですから御命じください。俺に、勝てと』
真っ直ぐに、彼は自分の取り戻すべき少女を見つめて、そう言った。
「……はあ、全く」
手が僅かに震えるのを、俺は誰にも悟られないようため息で誤魔化す。
全てをぶち壊す、なんて……俺にとっては簡単なのだ。あの娘を取り戻すことだってできる。
だが、それで壊れるのは敵だけじゃないことを、何となく俺は理解していた。かつて……ああ、現実世界で俺だけを崇拝し、俺に逆らうもの全てを見下していた部下達。
彼らが、全てを力でねじ伏せる俺を見てそうなっていったことを……俺は、どこかで気づいていたのだ。
俺はあの世界と同じ未来に手を伸ばそうとして……そして今、違う未来を……もし叶うのなら、それはずっとマシな未来を、望むに足る未来を、示された。
なら、そう……。
覚悟を決めなければ。
「……命令などしない。俺からも、頼む」
俺も、望んだ未来に進む覚悟を。
皆とこれからも笑いあえる……そんな城を築くという覚悟を!
「勝ってくれ」
『承知しました』
その一言で、ユーニオングは、俺より前に進み出て。
『その勝負、受けよう! 俺達はお前たちから……勝って全てを取り戻すっ!』
勇ましく、会場中に響く声で、鬼は勝利を誓って吠えるのだった。
<現在の勢力状況>
部下:古ゴート族82名、レッサーオーク51名、ギガントオーク67名、ワーウルフ21名、ワーダイル60名
従者:ベーオウ
同盟:大魔王ガルーヴェン
従属:なし
備考:第七悪魔商会と契約中
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