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魔法探偵 天宮晴人の探し物  作者: 工藤啓喜
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2章 その2


晴人は、立ち上がるとズボンのベルトに付けていたポーチから、カードの束のようなものを取り出した。その束は、カードを何枚か束ねたもので、晴人が束を広げて何か考えている。

そして、束の中から一枚のカードを選び右手に持った。そして、意識をカードに向ける。


《スイーツ――ショートケーキ》


晴人が、そう呟くと、カードが光り魔法陣が

展開される。するとその魔法陣から、ショートケーキが一つ出てきた。ショートケーキが出てくると晴人が持っていたカードが消えてしまった。


「い、今のは…」

「スイーツ、お菓子を出す魔法。」

「え?」

「また随分と、可愛らしい魔法ですね。大方、可愛いとか言われたくてその魔法をチョイスしたんでしょうけど…」


ケーキ出してドヤ顔をしていた晴人に容赦なく友里が突っ込みを入れる。言われている事がズバリ図星だった晴人は、恥ずかしそうにモジモジしていた。


「恥ずかしがってんなよ…」

「は、恥ずかしくねーし…俺、ケーキ食えるし?」

「苦手なのに、ケーキ出さないで下さい。」

「なんだよ食べられないのかよ」

「……」


テーブルの上に美味しそうなショートケーキが乗っていた。深春は、手品かマジックか何かなのではないかと、用心深く見回してみた。ところが、いくら見回しても不審な部分がなく至って美味しそうなショートケーキがあるだけだった。


「森山さん。良かったらどうぞ、召し上がってください。天宮さんが出したアレですが。」

「友里ちゃん、アレって言い方やめてくんない?」


友里は、マスターにフォークを頼んで深春にケーキを勧めた。深春は、いつの間にか来ていた珈琲を一口飲む。淹れたての珈琲は、匂いが香ばしくて、多少の苦味はあったが美味しかった。珈琲は美味しく頂けたのだが、ここで一つ問題が出てきた。

問題とは、晴人がカードから出したショートケーキの事だ。ショートケーキは、テーブルの上にちょこんと置かれている。手品にしては手が込んでいる。じっくりカードを見ていた訳では無いが、カードに、仕掛けがあったようには見えなかった。


「これは、ケーキですよね?」


深春は、無礼を承知で晴人に聞いてみた。


「うん。ケーキだよ。」

「食べられるやつですよね…」

「そりゃあ、そうだよ。本物のケーキだよ。」

「……」


深春は、友里が頼んでくれたフォークで、問題のケーキをつついてみた。フォークの先に付いた、白いクリームと、スポンジのふわふわとした感触は、間違いなく本物だった。


「信じられないのも、無理はないよな。俺も最初は全く信じられなかった。」


ここで、馨が助け舟を出した。パソコンで作業をしながら、友里もその言葉に続いた。


「私も、魔法って言われて正直、意味不明でした。」

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