1章 その4
随分と賑やかな人が来たなと、深春は思った。この人が、探偵なのだろうか。深春の中の探偵のイメージが少し違っていた。
「友里ちゃん。ちょいずれてもらっていい?
「私は構いませんが…二階堂さんに聞いて下さい。」
「二階堂さん、席を…」
「断る」
天宮?と呼ばれている男性が、しょぼんと肩を落とし立ち尽くしていた。
「あ、あの?良かったら隣…どうぞ」
「え?」
「えっと、隣…空いてますから」
「あっ、申し訳ない。ありがとうございます。」
男性は、深春の隣に座った。隣にきてよくわかるが、なかなかのイケメンだった。深春は馨の時とは別の意味で緊張した。
「天宮さん…いくらなんでも、初対面の女性の隣に座るのはどうかと。」
「有間の言う通りだな。天宮。ありえねえ」「いやいや、二階堂さんが…」
「人のせいにするのは良くないと思いますよ。」
「有間の言う通りだ。」
「いやいや、人のせいにしてないし、てゆうか、初対面の女性の隣にって言うけどさ。相席とかあるじゃん。タクシーとかでも相席するじゃん」
「天宮さん。こちらが依頼人の森山さんです。」
「……」
男性がまたしょぼんとしている。威厳…のようなものがあまりないのだろうか。深春は男性
が、少し可哀想に見えてきて自分の名前を名乗っておこうと思った。
「あ、えっと森山深春といいます。今日はよろしくお願いします。」
「や、これはご丁寧に。申し遅れました、私、探偵をやっております、天宮晴人と申します。よろしくお願いします。」
思ったよりも、丁寧な挨拶に、深春は少しほっとしていた。仏頂面のおじさんだったらどうしよう、気難しいおじさんだったら?とか、自分は女だから馬鹿にされてしまうのではないかと思っていたから、安心していた。
「天宮さん。こちらが資料です。」
「ん。ありがとう。友里ちゃん」
晴人は、友里から資料を受け取る。それは先程、深春が書いた資料だった。馨もソファーから身を乗り出して、その資料を見ている。二人とも、真剣に資料に目を通していた。深春は隣で資料を見ている晴人に注目した。一目惚れとかではないが、近くで見てみると余計に、若そうな感じに見えた。下手をすると高校生くらいなのではないかと錯覚してしまうくらい、幼い感じがした。
「森山さん…ですよね?詳しい話をお聞きしてよろしいですか?」
「えっ、あ、はい!」
突然、晴人に声をかけられ深春は我にかえる。頭の中で話を整理して、話そうと思った。
「えっと…小さな頃に祖父に読んでもらっていた絵本を探して頂きたくて。」
「どんな絵本ですか?」
「古い絵本なんですけど…外国の絵本で、夜の虹ときらきら姫というタイトルの絵本です。」「聞いたことがないタイトルだな…」
馨がそう呟く。実際、この、夜の虹ときらきら姫という絵本は発行部数が少なかったらしく、日本ではあまりメジャーにはならなかった。
「作者とか、どこで書かれた絵本とかってわかりますか?」
「え?えっと…それが…」




