1章 その3
「あんまりじろじろ見るから、隠れちまったぜ馨。」
「じろじろ見てねーよ」
「お前さん目つき悪いからな。女の子が怖がっちまうんだよ」
「そりゃあ悪かったな…」
背の高い、オラオラ系っぽい男がこっちに歩いてくる。服装もさる事ながらアクセサリーがゴツめだから、余計に怖さが引き立った。ブーツの音をカツカツ鳴らしながら歩いてくる。そして、事務所の中へ入ってきた。
「よう…有間。珍しく仕事してんな」
「おはようございます。珍しく早いですね。」「まあな。あっちは休みか?」
「いえ。今日は早番だったので。」
「なるほどな…隣いいか?」
どうぞ、と言って友里は隣にずれる。男はソファーにドカッと座り、前に座っている深春を見る。
「んで、この嬢ちゃんが依頼人か?」
「ええ。森山深春さんです。森山さん。こちらは、天宮さんの相棒的な立ち位置の二階堂馨さんです。見た目が完全にアレですけど、悪い人ではないので、怯えなくて大丈夫です。」
「アレってよ…。まぁ、二階堂馨だ。ヨロシク。」
「あ、も、森山深春です。よろしくお願いしますっ」
自己紹介をするが、深春はやはり馨とは、目を合わせられないようだった。目を逸らしてばかりで失礼ではないかと、深春は思ったがやはり、ちょっと怖いという気持ちが出てしまう。深春は、馨の方をチラリと上目遣い気味に見てみると、馨はソファーにもたれかかりあまり気にしていないように見えた。
「アイツはまだ来てないみたいだな。」
「ええ。今向かっている最中だそうです。」
友里は、小さなパソコンで作業をしながら答える。馨は天井を見ながらぼうっとしている。
深春は、ソファーに座っている二人を交互に見る。綺麗系な女性とオラオラ系の男性…この組み合わせは、どうみても、探偵をやっているようには見えないなと深春は思った。
しばらくすると、カランカランと例の鈴が鳴り扉が開いた。だが、さっきとは違い随分と慌ただしく扉が開いた。深春は再び除き見た。
「ったくよ…もっと静かに開けやがれ。」
マスターが、迷惑そうな顔でその人物に言った。
「すみません。急いでたもんで。」
「普段から客は、待たせるなっつてんだろ」「いやぁ…面目ない」
慌ただしく店に入ってきた人物は、若そうな男性だった。
「相変わらず客いませんね。」
「いいんだよこれで。文句あんならお前が呼子しやがれ」
「や、呼子はちょっと…」
「見た目だけは、いいんだからやれんだろ」「性格も悪くないけど?」
「ハァ…分かったから、早く行きやがれ。客待ってんだよ」
若そうな男性が大袈裟に肩をすくめて、事務所の方へ歩いてくる。この人が探偵なのだろうか。興味はあったが、さっきのこともありガッツリ見ないようにした。段々と足音が近くなってきて、やがて足音が止まった。
「おはよう。友里ちゃん。」
「おはようございます天宮さん。随分待ちましたよ。」
「申し訳ない。今日バイト休みだったからさ。つい」
「よう。天宮」
「あれ、二階堂さん!おはようございます。珍しいねこんな時間に」
「まあな。」




