7章 その4
卜部は、そんな深春の元に歩み寄りそっと絵本を手渡した。それは紛れもなく深春の探していた絵本だった。小さい頃に見たままの絵本。深春は、卜部から絵本を受け取った。
「実は、あの本棚には最初からこの本をしまっていなかったのです。貴女に嘘をついてしまい申し訳ありませんでした。」
「何故、森山さんに探させたのですか?」
「いえ、そんな大それた理由はなかったんですよ。ただ、情熱を知りたかったというか…本当に愛してくれているのかどうか試してしまいました…本当に申し訳ありませんでした。」
深春は、卜部の謝罪に首を横に振った。深春の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていて、泣き笑いの様な表情になっていた。
「いえ…また本を見れて良かったです…。」
「貴女を試すような事をしてしまいましたね…。私はそんなだから、今回の様な事件が起こってしまったのかも知れませんね。」
「あははは…」
晴人は、苦笑した。あながち否定できなかったのが、なんとも言えなかった。晴人は、馨と友里の方を見ると、馨は煙草を吸っていたし、友里は安堵の表情を浮かべながらも手帳を見て次のスケジュールを確認しているようだった。深春はというと、真剣に絵本を読んでいた。一字一句見逃さないように、そして、絵と文章を忘れまいと必死だった。そんな深春を見ていた卜部は、深春にある提案をした。
「…ところで、森山さん。」
「は、はい!」
「貴女は、余程その本がお好きなようですね。」
「はい!一番好きな絵本です。」
「では、宜しかったらその本を譲りましょうか?」
「はい!え?」




