7章 その2
「大丈夫です。ここからは私のターンです。」
深春は、そう言いながらも本のタイトルを一つ一つを見逃さないように見ていく。かつて、幼い頃におじいさんに、読んでもらった大好きな絵本…深春は、絵本の表紙のカバーの色、タイトルの書体、描かれている絵を全て覚えている。探せないはずが無いと思っていた。その深春の様子をただ黙って友里は見守っていた。
「…すごい勢いですね。」
卜部が、苦笑しながら答えた。深春の並々ならない絵本への情熱を感じた。そして卜部は深春が何故そうまでして、絵本を探しているのか興味があった。
「そのままで構わないのですが、質問があります。貴女は何故そうまでして絵本を探しているのですか?先程、天宮さんから、貴女の依頼の事をお聞きしましたが…何故ですか?」
「私、夢があるんです。」
額の汗を拭いながら深春が答えた。
「夢…?」
「絵本作家になるって夢があるんです。私が小さい頃に、おじいちゃんに絵本を読んでもらった時に感じたワクワクや感動を色々な人に味わって欲しい。そして、それだけじゃなくて、色々な人に笑顔を与えたい。与えられる作家になりたい。…そのきっかけをくれたのが夜の虹ときらきら姫なんです。」
「なるほど…」
卜部は、納得したように頷いた。そして晴人達に小さく声をかけると、書斎から出ていってしまった。晴人達は、黙って見守っていたが、少しすると卜部は戻ってきた。卜部の左手に注目すると、ある本を持っていた。




