6章
六
「あった!ここだ。」
間中から、教えてもらった住所を頼りに晴人達は目的地についた。話に聞いていたよりも家が大きく、以前訪ねた田辺邸よりも立派な雰囲気だった。この辺りは閑静な住宅街という感じで物静かであった。
「めちゃくちゃでかいな…」
「ああ…」
晴人と馨が見上げていた。ここは家というよりも屋敷と呼んだ方が、しっくりくる。
深春も圧倒されていたが、友里はあまり驚いてはいないようで、屋敷のインターホンを押す。表札には、卜部、と書かれていた。
「なんて読むんだ?とべ?」
「うらべと読むんです。」
「流石は、友里ちゃん。やるねェ」
友里は、ほんのり嬉しそうな顔をしていたがそれを見せないように、再びインターホンを押す。だが、反応がなかった。
「返事がありませんね。留守でしょうか…」
「うーん。どうするかな」
晴人は、もう一度間中へと電話した。間中はすぐに電話に応答し、晴人は事情を説明する。
晴人達と別れた後、間中は間中で電話をずっとかけていたらしいのだが、応答が無かったという。家の中で、何かあるといけないという間中は、晴人達に中を確認するように伝えた。
卜部は、自分が何かあった時のために家の鍵を外に隠してあった。それは、本当に大事があった時の為の手段で、気を許していて信用している人間にしか教えていないという。晴人は、間中に大丈夫なのかと訪ねたが、問題ないと言い鍵の在り処を教えてもらった。
晴人は、間中に礼を言って、電話を切ると教えてもらった鍵を使って、玄関の扉を開けた。扉を開けると、値段の高そうな置物や美術品が飾ってある。晴人達は靴を脱いで中へと入っていく。
中は、異様なまでに静かで、しんと静まり返っていた。
「おい、いやに静かだな」
「ああ…妙な感じだな」
人の気配はしているのに、物音一つ聞こえないのが、不気味だった。晴人達は、前へと進んでいく。しばらく、進むと台所らしき部屋を見つけた。広くて大きめのテーブルと冷蔵庫、食器棚、ガスコンロ等が置いてある。テーブルの上には、食事をするつもりだったのだろう、皿に盛り付けられたままになっている食べ物と湯飲みに入っている緑茶が置かれていた。緑茶からは、うっすらだが、湯気が出ておりあまり時間がたっていないことが、分かった。
「どこに行ったんだ…」
「さあな…ん?」
馨は、微かだか別の部屋から物音を聞き、馨は辺りを注意深く観察する。
「おい…天宮。聞こえたか?」
「ああ。微かに物音がする。」
「とりあえず、行ってみるか?」
「ああ。」




