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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
九章 有言実行
78/145

ダンジョンマスターの薬屋さん(シュヴァルツヴァルト防壁内 略図あり)

前回の要約。

挿絵(By みてみん)

・人を集めるための複合施設である『金酉宮きんちょうきゅう

図、上の三角形の建物。銭湯、商業施設、宿屋に分かれており、それぞれが通路で繋がれている。行き来は自由。緑の部分は公園。

レイが建築。木材で出来ており、二階建て。所々赤い。


・シュヴァルツヴァルトの象徴となる『城』名前はまだない

真ん中の四角いの。役割的には『三階層』がそのまま出てきたと思っていい。それに伴い『四階層』から下の階層が繰り上げ。

金酉宮きんちょうきゅう』の従業員を収容するために三階まで伸びた。衣装部屋や趣味の部屋が追加された。

緑の部分は庭園。イメージしにくいならば『ヨーロッパ 庭園』で画像検索。

城壁にはネズミ返しが設置されており、敵対者は基本的に無視の方針。

エバノ建築。基本的に石材で出来ている。室内は床の高さを上げている。


・住宅街

茶色い建物。規模が小さいかなと思いつつももコレに落ち着いた。各自で脳内補完の程よろしくお願いします。


・『大聖堂』

白いの。周りを囲っているのは浮島からの水。


・防壁の四角いの

門。少しズレているのは間違いじゃありません。

 肌色の街並み。整えられた石畳の上を歩く。

 フードを目深に被っているのであまり分からないのだが、人の行き来は多そうだ。

 俺の斜め後ろには護衛としてクローフィとリェースが居て、あまり目だたないように、以前作ったローブを着ている。

 ここはグラキエス教国の首都、ニーにーの街の中だ。


 今日はココに何をしに来たかと言うと、ポーションの購入をするためである。

 シュヴァルツヴァルト、元祖万能型のクローフィ。薬草関係に強そうなリェース。そのためにこの2人が護衛に選ばれたのである。


 余談になってしまうのだが、『金酉宮きんちょうきゅう』の従業員の創造は一応上手くいっている。精神的、時間的に厳しいので、俺とレイとで一日に創れる従業員の数は100人までとなったのだが、おおむね順調だ。

 名付けの方はダンジョンにお願いしてみたところ、嫌々ながらに了承してくれた。侵入者が来た以外であんな感情を向けられるのは初めてだったので、冷や汗をかきすぎて守護者に心配されてしまった。技能のせいで小さな感情ですらダイレクトに流れて来るのだから質が悪い。


 そんなこんながあって、こうしてのんびりとニーの街並みを歩けているのである。

 ポーションを売っている店を調べずに気の向くままに歩いている俺達ではあるものの、こうしているのには理由が無い訳ではない。

 外から人間を入れようプロジェクトが作動したのである。クローフィの『吸血』を使ってとすのがこの作戦の肝だ。そのためには前提条件として相手が女性であり、そこそこ容姿が整っている必要がある。

 条件に当てはまる人間は周囲を見渡せば直ぐに見つかるのだが、一般人に手を出すわけにはいかないので、しょぱなから難航している。

 そんな簡単に条件に合う人物が見つかるわけが無いのは分かっている。駄目で元々なのがこの計画である。出来ればスパイの1人や2人は作れたらいいな、と言う甘い考えから来ているのだ。帝国に関しては俺の領域内なので、その他の国が対象である。

 思いのほか人数が集まれば娼館で働かせることも頭の隅にはある。十中八九無理なのは分かってるんだがな。


 「エバノ様、そろそろお時間です」

 「・・・分かった」


 懐中時計で時間を確認してみれば、時間は 午前11時。『料理術』マックスのマーゲンの手料理を味わうには、お昼までにはダンジョン内に居なければならない。守護者の数が急激に増えたために制限を掛けたのだが、失敗だったかもしれない。

 彼女せいで舌が肥えてしまった俺としては大衆食堂なんかに足を運びたくはないんだがなぁ。さっさとポーションを探して戻る事にしよう。


 ポーションを売っている店事態は結構簡単に見つけることが出来た。看板には『ポーション デュー』と書かれており、格子窓からは店内の様子がうかがえる。見た感じ、店内は俺が思っているよりも人が入っているようだな。

 店の大きさは、少し規模がデカくなった駄菓子屋ほど。中には10数人の冒険者であろう人物たちがそれぞれのグループに分かれて商品を見ていた。

 店の扉を押して店内に入れば、頭上から鈴の様な音が響き、俺達の入店を知らせる。これは万引き防止だろうか。俺達の様に気配を消すような特別な装備をしている人が他にも居るのなら納得なんだが。


 俺達の存在は数人の冒険者気を引いたようで、幾つかの視線が飛んでくる。

 ソレから俺を庇う様にクローフィが自然と前に進みだし、視線を遮った。何人かはそれで視線を戻したのだが、それでも物珍しそうに俺達を見て来る人は居るには居る。


 (クローフィ、少し下がってろ。目立ち過ぎだ)


 今ので、俺がそれなりの地位に居るのがバレたかもしれない。クローフィを下がらせえて、何事もなかったかのように店内を散策する。

 木で出来た商品棚を利用して視線を物理的に消した。・・・自然に動いたつもりだがどうだ?


 「はやくポーションを買って、姿を消すべき」

 「そうだな」


 リェースの助言に従って素早く棚を見渡す。

 解毒薬やらなんかもポーションとして売っているらしく、それぞれのモンスターに合わして調合された薬が、飲み薬、塗り薬として売られていた。

 その種類は多岐にわたり、俺の目の前にある棚は全て解毒薬で埋め尽くされている。


 反対側の棚には俺達を見ていた冒険者が居る筈だが仕方ない。何が彼等を搔き立てたのかのかは知らないが、店内では何もしてこれないだろう。


 冒険者を気にしないように視線を逸らしつつ、棚を眺める。

 俺が求める回復用のポーションは直ぐに見つかった。しかし、打撲用、切り傷用、増血用などと種類が多い。

 取り敢えずは打撲用、切り傷用を買おうか。一般的と思われる、比較的に安い物を手に取ってカウンターに行こうとすると、横から声が掛かった。


 「それじゃ、万引きと思われちまうぞ?」


 声を掛けてきたのは1人の男性。革の鎧を着た、顎髭あごひげが少し残った男だ。

 後ろには宝石を埋め込まれた杖を持った女性の魔法使いと、男と同じ様に革鎧を着ている、槍を持った少年が居る。

 守護者の2人は警戒モードマックスなのだが、不審に思われたくない俺としてはそんな行動をしてほしくない。


 「いや、悪いな。あまりこの辺に詳しくないんでな。忠告感謝するよ。すまんが買い方を教えてくれないか?」


 商品を品を戻し、彼らに向き直る。このまま怪しまれるのは嫌なんでな。

 俺が返事をしたのがおかしかったのか、彼等は顔を見合わせて正しい買い方を教えてくれた。


 「なに、買いたいポーションの名前と量を言うだけさ。棚にあるのは水が入った瓶だぜ」

 「そうか。感謝する」


 早速教えてもらったようにカウンターに行けば、中学生の様な少女が微笑みながら対応してくれた。

 今のやり取りを見られたようだな。いい歳になって恥ずかしい限りだ。まぁ、見た目は18ぐらいなんだが。

 俺が商品を受け取り、リェースにポーションを渡す。


 これで目標は達成だ。帰ろうと店の外を目指す。

 しかし、そう上手く行かないようで、先ほどの男の冒険者が話しかけてきた。


 「上手く買えたようだな」

 「・・・ああ、お陰様でな。悪いが急いでるんだ、失礼させてもらうよ」


 残り30分で正午だ。余裕を持って戻っておきたい。


 「まあまあ、旦那待ってくれよ。話し自体は直ぐに終わるんだ」


 にも関わらず話しかけてくる男。

 それなりに俺の身分を感じ取っているのならここまで踏み込んでくることは無い筈だ。

 そこまでする理由が何かあるのか?


 「・・・聞くだけ聞いてやろう」

 「そのローブを売ってくれないか?それか、そのローブを作った職人を紹介してほしい」


 ふーん。このローブの効果が分かったのか。

 冒険者としても優秀そうだし、繋がりを作っておくべきか?


 (エバノ様、冒険者を眷属にするのはアリかと思いますけど)

 (それもそうだな・・・)


 冒険者ならば簡単に他国に移動できるのだろうし目標を達成できるだろう。

 でも冒険者の後ろには国が居るからな・・・。


 「悪いがこの話しは無しだ。失礼する」

 「そうか・・・無茶言ってすまなかったな」


 後ろの魔法使いだけなら話しを飲んでもよかったが仕方ない。むやみに人を消すわけにもいかないし断っても良かったはずだ。


 転移陣が設置してある路地に移動し、シュヴァルツヴァルトへと戻って来た。

 しかし思わぬところで収穫があった。今まで接点が殆んど無かった、冒険者という視点が出来たのは大きい。

 冒険者ギルドで女性を探すのもいいかもしれないな。でも冒険者ギルドに一人ぼっちでいる女冒険者は大概が残念系美少女だと相場が決まっているからな・・・。妙になつかれて一生ついてくるのが目に見えている。

 ・・・冒険者はやっぱり無しで。

 この件については今度考えるとして、今はポーションだ。


 ポーションの材料となる薬草はあるものの、薬草からポーションを作る守護者が居ない。

 昼食を取ったら製薬の頭となる守護者を創ろう。


 MP55,268

(-3,000)[陸]『人型』×50

(+5,750)マナフライ

→ 58,018


 昨日、守護者は飽きるほど創ったのだが、コレはまた違う感覚がある。


・ジャンル選択[陸]

・造形『人型』

・細部設定 技能『製薬(ブースト+100)』『火魔法』『水魔法』『風魔法』

 消費MP189


・創造しますか?

 «はい» «いいえ»


・名称『パナーシア』


 パナシーアは残念な感じのお姉さんを目指して創った。

 残念の方向性としては、掃除が出来ないとかそんな感じだ。似せているのは見た目だけなので、中はもちろんちゃんとしている。

 腰まである軟らかな黒い髪。頭の上にはアホ毛になり損ねた元気のない毛がなんとか立っている。眼鏡を掛けさせるのも忘れてはいけない。


 「いい天気ね、カモメさん」

 「ダンジョン内だけどな」


 何処か棘がある様な話し方だな。

 にしてもカモメさんと来たか・・・。守護者の俺の呼び方は様々だ。別に俺が指示しているわけでは無いのだが、さんづけで呼ばれたのは初めてじゃないか?

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