妖精
「わ…」
フラスコの中身が白衣にびしゃびしゃと溢れる。
「……何?魔法少女」
こころは冷静に笑った。
「見てよ!信じて!私、小さいでしょう?飛んでいるでしょう?妖精よ?」
子供は小さい頃から「魔法や妖精は存在しない」と教えられていた。
「小さな飛べる感情のあるロボットなんて簡単に作れるよ」
こころは技術の先生が作ったロボットを思いだした。
「知ってる。貴女…鮫田こころでしょう?」
その妖精?はこころの名前を当てた。
しかし最近のAIは骨格や口調など細かい所を見ることで人の名前を当てれるようになった。
「…そうだけど何?」
こころは少し妖精?の事が気になってきた。
皆の言葉と私の好奇心が交わっている。
「さっき言った通り、貴女は魔法少女なの!」
妖精?の喋り方は子供っぽく、通りを「とうり」っぽく発音してしまっている。
こころはどこか懐かしさを感じた。どうしてだろう。
妖精?が昔のこころに似ていたからだろうか。
「魔法少女って…」
こころはため息をついた。
人間は非現実的な事が身近に起こると、一周回って驚きよりも現実を見てしまう。
「…馬鹿じゃないの?」
こころは無意識に言っていた。
「馬鹿だなんて言わないでよ!」
妖精?はまた子供の様に怒った。
「私は魔法少女を信じない。
というか人類…皆も信じないわ」
どこか記憶の奥の言葉が唇から溢れた。
「それでも良いよ?でも、私、絶対また来るわ!」
そう言いながら妖精?はどこかへ行った。
もう来ないで良いのに…
今の時代の人類に好奇心なんて物は少しも無く、とても現実的で、人類に計算出来ない物は存在しないと思っている。
何も感じず、何も考えず「寿命を延ばす」、「無限の命」を手に入れる為、研究を続けている。
そして人類に計算出来ない「魔法」や「妖精」は全て自然の奇跡によってたまたま出来た物…だと信じており、そんな物は存在しないと思っている。
なのでこの時代、自分のことを「魔法使い」などと言ったのは変な奴で世界一の馬鹿扱いされる。
しかしこころは「無限に生きれても感情も無いし、楽しくないんじゃないかな~?」「魔法!?楽しそう!!」と思っている。
まあこころには好奇心が沢山ある。
「…どうして妖精さんにあんな事言ったんだろ…?」
こころは振り返った。
妖精はどこかに消えていた。
「…白衣に液体が付いちゃっている…捨てなくちゃ…」
そうつぶやきながらモップを持った。




