まるで未来から来たような…
太陽は沈みかけている。
木は風で揺れる。
安心するペトリコールの香りはここまで続いている。
雨上がりのコンクリートは太陽を反射して光っている。
こころは水溜まりを踏んだ。
思ったより水の量が多かったようで、靴の中に雨水が入った。
足を動かす度に靴下から水が出て変な感じがする。
こころは坂道を走った。
坂道の先は少し右にカーブしている道がある。
いつものように歩道と車道を分ける黒い柵を乗り越えようとする。
右に渡りたいのだが、横断歩道がとても遠いのだ。
そしてこの時間帯はあまり車は通らない。他の生徒もここを通っている。
校則だと横断歩道を渡らないと駄目らしいが…
濡れた柵に触れないようにカバンを右手で持ち、上の方にあげながら左手でスカートをたくし上げる。
右足を上げて柵を越える。
左足も柵を越えようとするが何かがひっかかったようで動けなくなった。
後ろを見るとこころのスカートが柵についた少し歪んだ反射板にひっかかっていた。
それでも進もうとした為、嫌な音がなった。
柵についた雨水が地面に落ちる。
こころは気にせず進んだ。
車道を渡ると、とても長い道がある。
その道の2つ目の十字路を右で曲がる。
そしてまた十字路があるのでそこも右に曲がる。
曲がるとすぐに家がある。
こころは顔認証をしようとしたが思い出した。
こころは家を出るときにしっかりと扉をロックをしていたのだ。
いつもなら家族が家で待っているのでロックしないが、こころが学校に行っている時に泥棒が家に侵入したら怖いので、一応ロックをした。
普通に閉めるだけなら顔認証で扉は開くが、ロックを解除するなら鍵が必要だ。
さっそく左足を上げて膝にカバンを乗せ、右手でハンドルを持ちながら左手で鍵を探した。
カバンの中のペンケースの近くが光る。鍵だ。
右手で強引に鍵を出そうとしたせいでカバンを落としかけた。
もし落ちていたらカバンが濡れるところだった。危ない。
右手の力を強くする。
左手でまたカバンの中の鍵を出そうとする。
さっきの衝撃で鍵が手前になっていた。すぐに鍵を出せた。
そして家の鍵を開けた。
「ただいまー」
こころは鍵を抜いてポケットに閉まった。
靴を脱いで適当に置く。
そしてリビングにカバンを置く。
そして椅子に座る。
「よいしょ」
机に置いてあった食べかけのポテチを食べた。
そのまま置いていた為少ししなしなになっていた。でもこころはポテチにこだわりが無いのでそのまま食べた。
椅子を回転させた。
一階と二階から物音はしていない。
まだ両親は帰ってきてないのだろうか。
こころは今日は両親共に休みだったような…と思った。
最後の1枚のポテチを食べ、袋に残った粉のようになったポテチを指に押し付けて食べた。
そして袋をそのへんの床に置いた。
すると床の一部が動き、傾いた。
袋は傾いた床を滑り穴に入った。
そして傾いた床の高い方から青い液体が流れて、その液体は穴に落ちた。
穴はゴミ箱に繋がっている。
液体はしっかりと固まるようになっている。
床が元に戻った。
こころはカバンを持って階段をのぼった。
そこからこころは提出期限が近い宿題をして、洗濯をして、自分の部屋の掃除をした。
念のため色んな部屋をチラッと見て両親がいないか確認した。
自分の部屋には一階のような掃除機能がついていないため自分で掃除をするしかない。
数時間後勉強机付近の掃除が終わった。
太陽は沈んでいる。
小さな機械の真ん中のボタンを押す。
数分で簡単なご飯なら作れるのだ。
しっかりお米は炊けるし、お肉も焼ける。
しかし作れるのは少量の為普段は使わない。
こころはあまり洗濯しないピンクのパジャマを脱衣場に運んだ。
こころは服を脱ぎ小さなタオルと風呂でよく見るアヒルを持って扉を開けた。
風呂場は真っ白だ。そしてとても大きい。
こころはアヒルを湯船に投げ入れた。
ポチャンと小さな音がなる。
こころはシャワーを持つ。
そして頭にかけた。
「うーん…やっぱり夢ではない…いや、でも、とってもとっても長くて深い夢かもしれないじゃない!」
こころはシャンプーに手を伸ばした。
「ふ~」
こころが風呂から出るとご飯は出来ていた。
しかしこころはパジャマのズボンを部屋に置いてきていたので部屋に取りに行った。
ズボンを履いて部屋を出ようとした。
こころの方に謎の影があった。
カーテンを閉め忘れた窓の方を見た。
「誰?」
猫の影が見えた。
「ね…こ?」
こころは窓に近づいた。
「にゃん!にゃん!」
こころはため息をついた。
「…どうしたの妖精…」
「どうしてわかったの…!?にゃん!」
「どう考えても声が妖精よ」
すると猫が妖精にかわった。
「驚かそうとしたのにぃ~」
「驚かすも何も…猫は怖くないわよ」
「でも猫は魔女の使い魔なんだ……にゃん!」
こころはまたため息をついた。
「…で用件は何?」
「魔法少女について教えなきゃ行けないことを教えないと…だにゃん!」
「それを早く言って欲しかったわ…そしてその語尾やめて」
「はーい!」
妖精は窓を開けて入ってくる。
「ちょっと長くなるよ」
こころは窓を閉めた。
「魔法少女は魔力を使うことで変身できるんだ!魔力は変身、攻撃、回復、戦いで壊れた物を直したりとかできるんだ!
魔力は幸せになったりバグを倒したりしたら貰えるよ!
魔法少女は魔女、魔術師の順番に進化できるの!
こころの他にも沢山魔法少女はいるんだ!色んな街や色んな国や異世界や宇宙にも…!
ちなみに魔法少女の安全の為、コードネームを使用することを推奨しているよ。
技名も決めている人もいるんだよ!かっこいいよ!!
皆には頑張って要らない存在……バグを倒して貰って平和を取り戻すんだ!
バグについて知っている情報全てを話すね。
…まずバグは液体なの。この世界に来ることで固まるけどどんどん溶けて行くの!
溶けたバグに触れるとダークマターというバグとの戦闘空間に入ってしまうの…!
ダークマターはバグによって違う場所なの。そしてバグによって戦い方も違うから…殺されないように気をつけてね!
あ、そうだ!これから私のことははーとちゃんと呼んでね!」
「コードネーム…ねぇ…」
こころは自分の姿を思い出した。
「私、ピンクと青のグラデーションだったわよね…いや…それかゲームでの名前…とか…」
「まあゆっくり決めてもいいよ!」
「…わかった。そろそろご飯食べてくるから帰って」
「わかった!それじゃあね!バイバイ!!」
妖精は窓を開けて外に出て、窓を閉めた。そして飛び、手を振った。
「…」
こころは何個か気になったのを日記にメモすることにした。
ペン回しをしながら考えた。
「まず…魔法少女や魔女や魔術師よ。
今の時代魔法なんてあり得ない。そして魔力の貯め方よ。幸せになるだけで魔法を使えるなんて…幸せになった時の幻…とか…?いや…幻なんかじゃない。しっかりとした現実よ。
そしてバグはどこから来たのか。人工物かしら…?液体になったり固体になったりする。そして空間転移をする……そんな事ができる物質なんて開発されていたかしら?そんな事ができるなんて…まるで未来から来たような…」




