第2部 9話
第2部
第9話 「白の残像」
全てのモニタが、白く染まっていた。
ノイズ。
光。
電子音。
その中心で、少女だけが静かに立っている。
白い髪が揺れる。
赤い瞳が、真っ直ぐギアを見ていた。
「……イリス」
ギアの声が漏れる。
だが次の瞬間。
映像が乱れた。
《ERROR》
(異常)
《Connection unstable》
(接続不安定)
少女の姿がノイズに崩れる。
ギアが一歩前へ出た。
「待て!」
手を伸ばす。
届かない。
モニタ越しの世界。
その時だった。
カレンの顔色が変わる。
「まずい……!」
「何が!?」
リノが叫ぶ。
カレンは震える指で端末を操作する。
「中央管理局が、この信号を捕捉しています」
空気が凍る。
「イリス規格は禁忌指定……!」
彼女は唇を噛む。
「見つかれば、ギアごと処分対象になります」
リノが即座に前へ出る。
「はぁ!?ふざけんな!」
ユリは冷静だった。
「追跡は?」
「もう始まってます……!」
その瞬間。
通路全域の照明が落ちた。
暗闇。
次いで、赤い警告表示。
《Central suppression unit incoming》
(中央制圧部隊接近)
リノが槍を握る。
「来るって事?」
「来ます」
カレンの声は固い。
だがその瞳には、別の恐怖もあった。
(また誰かが死ぬ…のか。)
それが怖い。
ギアはモニターを見る。
イリスの映像は、もう消えかけていた。
《Gear》
最後に、少女が微笑む。
《生きて》
通信断。
闇だけが残る。




