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遅れて重なる 第24話


第24話


「欠落信号」



研究区画に、 低いノイズ音だけが響いていた。

モニター内の博士映像は乱れ続けている。

画面の輪郭すら、 時折崩れ始めていた。

それでも博士は、 真っ直ぐギアを見ていた。


『ギア』

『お前は、“最初の同期対

映像が崩壊する。


リノが思わず声を上げた。


「切れた!?」


カレンは舌打ちしながら端末を叩く。


「違う、遮断されてる」

「誰に!?」


返答は無かった。

その代わり。

研究区画全体の照明が、 一瞬だけ完全消灯する。

闇。

そして、ギアの耳元で、 誰かが囁いた。


「――まだ、駄目?」


ギアが振り返る。

誰もいない。

だが確かに、 すぐ背後から聞こえた。

女性の声。

静かで、 どこか悲しげな。

照明が復旧する。

カレンが険しい顔で尋ねた。


「どうしたの?」


ギアは答えられない。

代わりに、 胸元のコアが再び熱を持ち始めていた。

ドクン。

まるで心臓のように、 一度だけ脈打つ。

リノの端末へ、新しいログが流れる。


MEMORY PARTITION OPEN

(記憶領域分割を開放)

SYNCHRONIZATION : 42%

(同期率:42%)


リノの顔色が変わる。


「……同期率…どかで?」


カレンが低く問う。


「何と、同期してる」


その瞬間。

通路奥の自動隔壁が、 ゆっくりと開き始めた。

暗闇の向こう。

長い通路。

その先に、 白い光だけが見える。

そして

ノイズ混じりの音声が、 再び施設全域へ響いた。


WELCOME BACK , GEAR

(おかえりなさい、ギア)


今度は違った。

機械音声ではない。

確かに、 感情があった。





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