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ENDESTALE  作者: 中尾 奏治
CHAPTER1:国立特練と勇者選抜祭
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Episode16:面倒事と無能上司

この世界のTips16:無能なリーダー

・自分の考えだけで状況を見ることができない

・自己保身と責任転嫁が激しく、または部下の功績を認められない

・その場の最適解を、経験を積んだ状態でも下すことができない。

このいずれかの条件に当てはまる人物はリーダーとして向いていないし、この世界では無能の烙印を押されるため、この世界の人物の大半はそうならないように気をつけている。

現実世界でもそれは同じ、皆さんもこのような人に関しては気を付けたほうがいい。


さて、このころ昇格試験を控えた冒険者たちの陣地では。

「失礼します。」

今回の作戦を取り仕切るAランク冒険者のアンネのいる天幕に、補助試験官である一人の黒髪の男が入る。

「なんだ?」

「先程、最終点呼を終えたのですが、二名が行方不明となっていました。」

「あら、誰かしら?」

「Bランク冒険者ボア=モード・ゴークスと、同じくBランク冒険者のエルヴァです。」

「ボアなら知ってるわね、去年合格までいっておきながら素行不良で試験官を半殺しにして退場になってたわ。で、もう一人がなんだって?」

「Bランク冒険者エルヴァ、登録して数日でBランクまで至っているため何らかの不正をしているともっぱらの噂です。」

「あら、そんなゴミが紛れ込んでたとはね。」

アンネは再び椅子にふんぞり返り、傍にあったコーヒーを優雅に飲む。

「彼らの捜索はどうなさいますか?」

「いいわ。あんな素行不良と、そんな不正しか能のない雑魚なんかいなくとも。もし仮にあの中にホブゴブリンが紛れていたとしても、二体までなら私が対処できるしね。」


時は5月5日の午後8時、昇格試験受験生の冒険者たちがモンスターの陣地に攻め込むまであと3時間。

場所は同じくモンスターの陣地、舞台はその中央にあるそこらの一軒家よりも大きい天幕の中。

天気は引き続き曇り。天幕の中含め、モンスターたちが焚いている篝火の明かりにより陣地の中は割と明るい。




男はフードを脱ぎ捨てた。

現れたのはおそらくフランス人であろう20代の青年であった。黒髪に黒色の瞳で口にはタバコをくわえており、なんというかすごい不良みたいな見た目だ。

「じゃあ、お前うざいから死ね!」

「ああ、謎の強者っぽいキャラ作りはやめたんですね。」

「うっせバーロー、ぶっ殺すぞ!」

「ついさっき無条件の殺害宣言下してませんでした?」

「ああもう黙れ!『πῦρ(ピュール)γ・φωτιά(フォティア)βροχή(ヴロヒー)』」

「(火の雨?)」

男がどこからともなく杖を取り出しそれを振り上げると同時に、彼らの頭上に大量の火の弾が出現する。そして男が杖を振り下ろし、火の弾はエルヴァをめがけて降り注いだ。

「(ここがお試し時、半月の間に身に付けたスキルを片っ端からやっていきましょう。)」

エルヴァがその決意と共に、ポーチから1つ目の武器を取り出す。

「『ジッタークライアント』!」

取り出したのは、彼の操作に応じてその鎖の長さを変える、持ち手が棒状で鎖の先端には鉄球をつけた武器だ。エルヴァはそれを火の弾めがけて振るい、鉄球を当てることによってそれらを片っ端から撃ち落とし始めた。

「やるようだな!しかし、この量をさばき切れると思うなよ!」

確かにそのとおり、エルヴァはなかなかのペースで攻撃を撃ち落としているが、このペースなら火の雨が彼にたどり着くまでの時間の間にせいぜい半数が限界だろう。

「そうですね。もっとも、私は全てさばくなんて一言も言っていませんが!」

そう言いながらエルヴァはフレイルをポーチにしまい、別の武器に持ち替える。今度は特徴的な緑色の鞘に収まった日本刀だ。そしてエルヴァは刀を抜き……。


次の瞬間、刀をすでに抜いたエルヴァが男の目の前に立っていた。

「(縮地!回避と同時に仕掛けてきやがったか!)」

男の中で相手が何をしたかだけは思考が回った。だが反射的に手を前に出した彼が対抗手段を考えつくよりも前に、エルヴァの攻撃が男を襲った。

男にとって幸い、エルヴァにとって災い、傷はそれほど深くなく決定打とはなり得ない。エルヴァの刀は男の手をかすめ、それを若干傷つけるだけで終わった。

「(浅い!もう一度…!)」

「お前ら、こいつを殺せ!」

男が叫ぶ。エルヴァが振り返るとそこには、さきほどまでただ彫像のように突っ立っていた大型のゴブリンが、その背丈に見合った巨大な棍棒を振り上げてエルヴァに狙いを定めていた。そういえば正式名称はホブゴブリンだっけか。

「残念。」

棍棒による三連撃をかわしたエルヴァは再び武器を持ち替え、今度は赤色の棒を取り出した。エルヴァはそれを使って大型ゴブリンのその太った腹に一撃を決める。

「馬鹿が!俺()があらかじめかけておいた物理防御増強エンチャントを舐め……。」

男の言葉が最後まで続くよりも前に、腹を叩かれたゴブリンはうずくまって倒れる。男は目を見開いた。そして考えた。今の音から推察できるに、今のは物理攻撃力が防御を単に上回ったというものではない。

「なんだと……まさか、魔法攻撃力変換か!」

「御名答。この杖の特性は、全ての物理ダメージを魔法ダメージに変換するというものです、よ!」

わなわなと震えながら問い詰める男に対し、エルヴァはにこやかに答えがらもう一体の大型ゴブリンを叩きのめす。残った最後の一体のゴブリンは激昂してエルヴァに対し全力の棍棒振り下ろし攻撃を行った。

「やれやれ、三分の二を殺せば逃げてくれると思ったんですけど、なかなかそうも行きませんね。『バットバースト』。」

スパァン、という痛快な音が、三体目のゴブリンの太った腹にエルヴァが棒を打ち当てたと同時に響く。使用後の隙を対価により衝撃を相手に伝えるスキルをくらったゴブリンは先程の二体と違い、今回は血反吐を吐いて倒れた。

「まあでも、人型である程度の知性があるモンスターは確かに戦いやすいですね。弱点も隙も人と同じだし、なによりこちらの誘導には簡単にのってくれる。」

エルヴァは再び男の方を振り返る。男はすでに次の魔法の準備を終えていた。

「まあ、そう考えてくると人間は人間で行動パターンが読めなくもないですが。まったく、最初に出していた謎の強者っぽさはどこへいったのやら。」

「喰らえ!『πῦρ(ピュール)ζ・αερόλιθος(アエロリソス)』!」

男の前方の魔法陣から直径1mほどの隕石が出現し、エルヴァを焼き尽くさんと直進する。直進する……のだが……。

「……遅くないですか?秒速50cmって、一般人でも小走りすれば逃げられますよ?」

「うるさい!炎魔法が得意でもない俺にとってはこれが限界なんだよ!」

やれやれ、彼が今のところ繰り出した最高級の攻撃のはずなのに、これじゃあタダの魔法力の無駄遣いだろう。

「(ならせめて、これも実験材料にしますか。)」

そうしてエルヴァは隕石の軌道上をあえて動かず、装備を今度は斧に変更した。全長2.5mというとてつもなく巨大な斧。男も当然この謎の対応に驚く。

「貴様、何をする気……。」

「『インターラプトアクス』。」

エルヴァが斧を振るう。斧頭に当たった隕石は、まるではじめからそこに存在しなかったかのように消滅した。

「……は……?」

「おっと、思ったよりも単純かつ強力ですね。まあ時価1500万T(=15億円相当)だから当然と言えば当ぜ……。」

「やかましい!俺のこの最強の攻撃を今度こそ……。」

男が後ろに飛び退き、それと同時にエルヴァの頭上に魔法陣を展開する。見た感じ、先程男が繰り出した隕石と同様のものだ。

「受けやがれ!」

男が腕を振り下ろし、それと同時に隕石がエルヴァに降り注ぐ。ちょっとまて、お前魔法の詠唱はどうした。

「おらおら、重力加速度で弱点である速度を補ってやったぜ!これなら……。」

「あのー、大変申し上げにくいのですが……。」

隕石のスピードは初速、秒速50cmのまま加速する気配はない。そして謎に巨大な天幕の天井から放たれたそれがエルヴァにたどり着くには、どう見積もっても30秒ぐらいだ

いや、なんとなく察しはついていた。超低速の隕石が先程数メートルを横方向進みに、そのくせ一切下へ高さをずらさずに移動した時点で何となく察してはいたのだが。

「魔法で出したこれって重力の影響受けるんですか?」

「うるさいうるさいうるさーい!追加してやる、くたばりやがれ!」

男は子供のようにわめき、エルヴァに向かって掌から巨大な炎の波を打ち出す。それにたいしエルヴァが取り出したのは盾でもなんでもなく、彼の武器の中で最も単純な攻撃力が大きい武器、ウェルトシュナイダー。

「デグレードスペシャル『スレッシャー・ドーム』。」

超高速で彼が球形状に空間を切り裂く。その技の発動と同時に彼を襲った炎の波は彼から一定の距離を保とうとするような挙動で彼をそれていった。

「(この野郎!空間に真空の隙間を作ることによって即席の防御壁を作りやがったか!)だが上はお粗末のようだな!」

「いえいえ。『インターラプトアクス』。」

今だエルヴァの頭上にいる隕石を指差す男。だがしかし、エルヴァは再びそれを左手に控えておいた斧で殴り、やはり隕石は消し飛ばされた。

「本当に使えますねこれ。」

「『本当に使えますねこれ。』じゃねーんだよ!なんなんだよその武器は!」

「ああ、これですか。」


マグリーマ・ヴァサラ

両手持ちの片刃斧。斧頭部分の弧の長さ40cm、全長2.5mという片刃の両腕専用斧。斧頭は銀色で柄は見た目だけは普通の木でできており、刃の反対側がハンマー状態となっているため考えようによっては槌と言えるかもしれない。

この斧の斧頭部分で攻撃されたあらゆる魔法及び盾などの防御は、その状態にかかわらず全て強制解除・破壊・あるいは無効化される、魔法・ディフェンダー殺しの斧である。


「だそうですよ?」

「いや、チートじゃねーか。てか両手斧を片手で振るうなよ。」

エルヴァの説明に、ほぼほぼ戦意喪失寸前の男は引きつった顔で答えた。いやほんとにそのとおり。オークションでおよそ1500万T(=15億円)したというのも納得だ。ただし、そこに関しては購入者(ヘルマン)が最低年収円換算30億&副業での臨時収入の最高額が円換算100億以上のバケモノであるため問題ないのかもしれない。

「くそったれ、こんなのが相手だなんて聞いてないぞ!こんの……!」

男は再び魔法を発射すべく手を構える。だがそれよりも速くエルヴァは投げナイフを投擲し、男の脇腹を貫いた。男はうずくまり悪態をつく。

「クソが!こんな仕事やってられっか!」

「仕事?」

「ああ?そっか、お前はこの話知らないんだっけか?」

そこまで話してようやくエルヴァは気付いた。男は自らの流れ出た血に隠れるように、すでに魔法陣を展開している。

「っ!逃がしm……!」

「あばよ!」

男は手を伸ばすエルヴァに中指をたて、その姿を消した。

おそらく遠距離瞬間移動系の魔法なのだろう。これによりエルヴァは謎の男の思わせぶりな話について詳しく聞くことに失敗した。


時刻は11時。エルヴァは念の為、今回の異常事態を伝えるべくヘルマンに通話をかけた。

「というようなことがありまして……。」

「ああ、ダイジョブダイジョブ!そんな変なやつはほっといていいから、とりあえず今のうちにゴブリンども虐殺しときな?そこでポイント稼いどいた方が点数上がっていいことあるぞ。」

ヘルマンは電話の向こうで安いワインをラッパ飲みしながら返事をした。もう少し別の言い方というのがあるでしょうに。

「はあ……。」

「別にいーだろ?お前の今のその武器と力量がありゃ、1時間で1500ぐらい余裕だろ?」

「まぁ、確かにそのとおりなのですが、それはそれで問題を起こしますよ?まあやりますけど。」

「ドユコト?」

「また後日追って連絡しますよ。」


さて、ここで皆さんに質問だ。

まず今回の試験の結果なのだが、まずスコア一位はぶっちぎりでエルヴァ、ゴブリン1542体と、ホブゴブリンとかいうあの作戦の目標に入ってすらいない強力な大型ゴブリンの討伐の独占だ。そんでもって二位が376体、三位が223体と続くわけだが、ここで少し考えてみてほしい。

エルヴァはどこともしれない所で半月でBランクに成り上がったよくわからんやつ。そして二位と三位はだいたい冒険者になって約5年はあるベテランだ。つまり今回の事例は、「たった半月でよくわからん手段で同階級になったやつが5年のベテランの数倍以上の戦果を挙げた」ということになる。みなさんはこう言われたとき、常識的に考えてどうなると思うか?






「で・す・か・ら!これらはすべてこの男が行った不正だと言っているんです!」

今回の冒頭で指揮を取っていたアンネが、審査員である青年に机をたたきながら詰め寄った。

「(こういうことになるからですよ、Spätzünder(シュペーツュンダー)さん。)」※……ドイツ語で「理解が遅い・あとから気づく人」。

エルヴァは心の中で呟いた。


時刻は襲撃終了から一日おいて5月7日、朝の7時

場所は会場まで戻りベルリン、その敷地内の運動場に設立された昇格試験のための天幕。

天気は晴れ、そろそろ昼の時間が長くなってきたところだが、ドイツの気候分布上まだ全然涼しく、これぐらいが快適だ。


事の顛末はこうだった。あのあとエルヴァは天幕内でエルヴァが始末したホブゴブリン含む、完全に今回の襲撃作戦の作戦項目に存在しなかった強力なモンスターを片っ端から襲い殺害していき、そして罠など冒険者への被害をデカくしそうな脅威を片っ端から排除していった。ところがきっかり12時に襲撃した彼らはそんな脅威が迫っていたことなんてつゆ知らずこうなったというわけだ。

弁解する気はなかった。作戦の指導者であるアンネは今回のこれを「確実に勝てる作戦」であったと信じ切っており、その上でエルヴァを「皆で分け合うはずの手柄を全て独占した悪辣な男」と認識している。作戦も認識も甘っちょろいにもほどがあるが、階級も勤続年数も人望もあちらのほうが上なのだ。わざわざ弁明しようとするだけ時間の無駄だ。


とまあ解説はさておき、話を現在に戻そう。

試験官、というか今回の試験の総括を行う人物は笑顔のまま机に両腕を組んだ状態でのせてうんうんと頷いていた。カーリ=フリッツィ=ヴィント・シュルツ、ヨーロッパのベルリンのギルド支部所属の冒険者。国内有数のSSランクという階級を有する、22歳の青年。前は切りそろえ、後ろは三つ編みにした金色の髪が特徴的で金色の瞳と整った顔立ちを持つはっきり言ってイケメンであり、長身で健康的な体つきに白いワイシャツ・黒ズボン・黄緑色の上着を着用している。なんというか、物理的には全然そんなことはないのだが全身からキラキラのオーラ的なものが溢れている。

カーリはポケットから手杖を取り出し、自分の右斜め前を杖で指し示す。そこにはエルヴァが「討伐証明」として持ち帰っていたホブゴブリンの、引っ越し用段ボールサイズの首が3つ積まれていた。また、それ以外にも通常ゴブリンの討伐証明部位である右耳やその他モンスターの様々な部位が転がっており、血抜きしそびれた分が漏れ出た血液や体液などもあいまってそこらのスプラッター映画に負けず劣らずのグロテスクな眺めとなっている。

「じゃあ、そこにある彼の戦果の証拠の数々はどう説明つけるの?」

「何回も言ったじゃないですか!あれはこの男が用意した偽物です。あいつらの陣地にはホブゴブリンなんていませんでした!」

「なんでそんな事を言いきれるんだ?」

「奇襲作戦をかける前に、索敵魔法を使用して敵の規模を調査したからです。Aランク冒険者である私の索敵魔法の右に出るものは……」

「全然あるんだよなー、それが。」

カーリはため息をつくようにそう言い、そばから一枚の布切れを取り出した。

「なんですか?これ。」

「あー、あいつがホブと遭遇したって言ってた天幕の切れ端だよ。持ってきてもらった。」

「なんとおっしゃいましたか?そんな物が何になるとおっしゃるのですか?」

さっきからこの|《女ひと》、敬語がしっちゃかめっちゃかだな。エルヴァは後ろで突っ立っていながらいらんことを考えていた。

「この布さ、対索敵魔法妨害魔法(ジャミング)がかけられてるのよ。それも魔法力の残穢から推定できる性能と制度・持続性から考えて、おそらくステータスレベル150の魔法使いと同レベルと考えたほうが良さそうだね。」

「150……!」

ちなみに参考までに言うとAランクの目安はだいたい80~100レベル、この女性のレベルは83。ステータスの能力値がレベルの二次関数・三次関数式で決まるこの世界においてレベル150とは圧倒的な差がある。

「ま、そんなわけだ。レベル83のてめーの魔法が150の魔法使いの妨害に勝てるわきゃないのは明確、つまり現時点でお前があいつが嘘をついていると言い切れる材料は?」

「……〜っ!しかし、私はこの目でこの男の戦うところを一度たりとも見ていません!戦場で広域索敵魔法を使った……。」

「あーのーさー、なんでそこのデカブツ三匹を天幕の中で仕留めたわけではないって言い切れるんだ!」

「不可能です!Bランク相当のモンスター三体を周辺に危害を及ぼさずに倒すなど、瞬殺でもない限りありえません!そして、彼がその強さを有しているという保証はどこにもありません!」

「(ッチ、まったく面倒臭いな。保証がないのはまだしもそれが逆説を完全証明する材料には何ねーよこの◯◯◯(ピーー)。)」

ねえ舌打ちした?イケメンさん、今舌打ちしたよね?そして「◯◯◯(ピーー)」で何喋ったの?

そんな疑念をよそに、青年は一枚の紙に筆を走らせた。それを見てエルヴァが口を出す。

「それは……。」

「貴様はしゃしゃり出るな!今は私が話を……」

「あーもーうるさい。そこ、試合決定ね。」

「「HUH?」」


今回の試験は基本受験者同士で競い合い、受験者4名を倒したものが次のステージへ進める。また、それ以外にも教官と戦闘を行い打ち負かすことが出来た者も、同様に合格となる。ただしこれは確実にAランク以上の冒険者と当たるため、下手をするとBランク四名よりも遥かに厳しい戦いとなる。

そしてその上で……


「アンネとエルヴァ、そこ対戦よろ。」

「(……勝っても負けてもなんか言われそうだな。)」

アンネが「ぐちゃぐちゃにしてやる」といった顔をしているのとは対象的に、エルヴァの思考に彼女に勝てるかどうかという考えはなかった。これの意味するところを一日後、彼女は身も精神も持って思い知ることとなる。


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