【034】魔王のカード
「カードには【召喚】、【魔法】、【罠】、【地形】の四種類があるのは知ってるわね」
俺のカードを買いに行く道すがら、エディナがカードについての基礎知識を教えてくれていた。
正直、知らなくても困らないのだが、エディナが一生懸命話してくれるから、俺も一生懸命覚えなくてはいけなくなった。
だって後から聞いてませんでしたなんてバレたら印象最悪だし。少しでも早く覚えてブル賢い! って褒められたいし。
「それらのカードを四十枚集めて、一つのデッキを作るの」
「デッキなんて必要? 使い勝手のいいやつを持ってるだけで良くない?」
「日常的にカードを使用するだけならそれでもいいでしょうね。けど、闘士になったら、【決闘】を受けることあるわ」
「決闘?」
「そう。ルールに則った公式なバトルよ。一番頻繁に行われるのが、一対一のオルタネートバトルと呼ばれるもので、交互に一枚ずつデッキからカードを引いて闘うの」
あー、なんかカードバトルっぽい。
俺のターン! ドロー! ってやつだね。普段だったらちょっと恥ずかしいけど、みんなが普通にやってるなら、ノリでいける! つか、実はちょっとやってみたかったりする。
「エディナはもう、デッキを持ってるの?」
「いいえ。私も新米だからまだカードが揃ってないの。それと、決闘を申し込まれるのはFランクに上がってからよ。Gランク以下の新米に決闘を申し込んだら、委員会に厳しい罰則を受けるわ」
そんな話をしていると結構しっかりとした門構えの建物の前に到着した。
「ここがカード総合商会マルーイのキャロット支店よ」
お店の看板に、おいおいっ、バシッ! ってツッコミを入れるコミカルな絵が描かれていた。
なんか既視感……ってわけじゃないけど、知ってるような気がする。
俺の知ってるやつは、こんなコミカルな絵じゃなく、ちゃんとしたロゴだったけれども。デパートだったけれども。
お店の中に入ると、店の中央に人集りが出来ていた。
なんだろうと思い、俺とエディナは人集りに混じって、みんなが注目しているものを見に行く。少し待ってると、俺たちの前にいた人たちがひとしきり何かを眺めては去っていった。
そうして開けた場所には、固そうなガラスケースの中に一枚のカードが飾られていた。
俺たちは除き込むようにそのカードを見ると。
ふむふむ。えー、なになに。
【SSR】【プリンセス・プリン】
なんか、ピンクのプリンが頰を染めてる絵が描かれたカードであった。
えー、きもっ! つかこれが【SSR】かよ。こんなんじゃ、誰も課金しないと思うぞ。
で、値段は……一、十、百、はあ?
【120000000】イェン
一億二千万、だと。
誰がこんなカードを買うんだよ!
「へぇー、さすが【SSR】ね。神々しいわ」
大丈夫ですか! エディナさん!
ピンクのプリンが頰を染めてるだけのカードですよー!
「なんか、魔王の一人が手放したカードみたいね。こんなカードが出回ってるなんて」
いや、その魔王ってやつはまともな感性だったんだよ。俺でもきっと売っ払うよ。
つか何? 魔王って。
俺がクエスチョンマークを浮かべていると、エディナ先生は得意げに教えてくれた。
「魔王って言うのはね。最も過酷なルールで行われるカードバトル、ルール無用のデスマッチで勝ち続けた者に贈られる称号なの。現在、魔王の称号を持つ者は七人いるのよ」
過酷なルールなのにルール無用なの? 言ってる事がわからないんですが……。まあ、でもなんか凄い人たちなんだってことはわかったよ。
「私もいつか、魔王の称号を得るつもりなのよ!」
いや、エディナさんには、魔王よりも天使の方が似合ってますよ。というか、新米が掲げちゃいけないような目標だと思います。
読んで頂きありがとう御座います。
俺は眠気を堪えて布団に寝そべりながらスマホでカキカキしていたんだ。
そうしたら朝になっていた。書かれていた文字数は三百文字。
何を言ってるかわからねぇと思うが、俺も何を言ってるかわからん!
予告詐欺?そんなことより、この謎現象の方が重要でしょうが!




