【033】株価急上昇
爽やかな日差しが、差し込んでいる。
今日はエディナとお買い物。もうこれはデートといっても過言ではない。
俺の心は浮き足立ち、ワクワクが止まらない状態になる……筈だったのだが、実際はテンションが低かった。
というのもだ。
昨晩モブキャラに絡まれた俺たちであったが、ツクヨミの派手な活躍により怪我一つ負うこともなかった。
まあ、それは良かったのだが、そのあと様子を伺っていた連中に取り囲まれて質問責めにあった事が大変だった。
「彼女は何者なんだ!」
「この体でどうやって投げ飛ばしたんだ!」
「うちの子にしたいんですけど!」
最後の奴は殴っといたけど、他の方々の質問を躱すのに随分と苦労させられたのだ。
最終的に、この子は東の国から来た忍者だ! そう言ったら、何故か周囲は納得した様子だった。
「なるほどね。これが忍者か」
「ああ、忍者だったら仕方ないな」
「ロリ忍者きたー!」
そんな感じで、よくわからない納得を見せていたのだ。当然最後の奴は殴った。
つか、知ってんの? 忍者。この世界にいんの?
エディナに聞いてみたが、よく知らないらしい。とても謎だ。
まあそんな話も実はどうでもいい。
問題はその後だ。
食事を終えて会計を済ませようとした時である。
チーン。
「【146700】イェンになります!」
そんな金額を言われたのである。
目ん玉飛び出たわ。
いくらツクヨが大食いだと言っても、さすがにその金額はおかしかった。
それで会計のお姉さんに尋ねたら、壊したテーブル代と椅子の代金が含まれているとのことだった。
いや、おかしいでしょ! 絡んで来たのあいつらだし!
と、ごねる事も出来たのだが、これ以上目立ちたくもなかったし、面倒だったので素直に支払った。
まるまる儲けが吹き飛んだわけじゃないけど、結構へこむ。十四万だぜ? 新しいPC買えちゃう金額だぜ?
まあ、ソシャゲに一日で、三十万課金した男が言える台詞でもないけど。
というわけで、なんだか物凄く損した気分の俺は、それはそれはもう低いテンションだったのであった。
宿の食堂でお茶を啜っていると溜め息が出る。
ツクヨミは俺の隣で、既に丸いフランスパンに齧り付いているし。
ほんとよく食べるなぁ。
可愛いツクヨミを眺めて少しでも元気を取り戻そうとしていると、エディナがやって来ておはようと挨拶してきた。
それに愛想良く挨拶を返そうした俺だったが……言葉が詰まり、胸が高鳴った。
エディナは普段の緑色の服を着ていなかったのだ。
タイトな黒生地のシャツに薄手のパーカーを羽織り、ベージュのホットパンツからは、艶かしい太ももが覗いている。
金色の髪を後ろで縛り、ポニーテールがピコピコと揺れた。
ボーイッシュな格好だが、ぺたんこのエディナにはよく似合う。
天使だな。さすが俺の嫁!
俺とのデートにおめかししてくるなんて、最高過ぎる!
俺の株価は急上昇! 不景気? そんなことは忘れたよ。バブルだよバブル。バブル崩壊! 俺の自制心が崩壊しちゃう!
「かっか、かか可愛い格好だね」
だあああ! もう、もっと気の利いたこと言えんのか俺は!
「え、そう? ありがと。でも、普通の服装だと思うよ」
そうかもしれないけど、素材が普通じゃないから!
沈んだ気持ちなんてなんのその。
あっという間に俺気分は最高潮になった。凄い! エルフには無限の可能性がある!
読んで頂きありがとう御座います。
あとがきで次回予告をやられると萎えるよね。って誰かが言っていました。というわけで。
次回予告をやろうと思います。
デデン!次回、拳でなんちゃらデストラクション!【激闘!七人の魔王!】
強敵相手に俺の拳が光りを宿す!食せポーセージ!怒れエディナ!
さあ、今こそ俺の歴史に新たな一ページを刻むのだ!
恐れを知らぬ俺たちの買い物が、今始まる!
はい!オッケーでーす!




