【028】宝物は川の中
朝食を済ませた後は、委員会の事務所に寄ってから依頼を受けて、真っ直ぐ街を出た。
人目につかないところまでやって来たら、ツクヨミの衣に乗ってドライブ。
唸る風を浴びて、涙目になること数分。俺たちは目的地まで辿り着いた。
頼むから俺にも風除けを張ってくれ!
ともかく、俺たちは目的地まで辿り着いたわけなのだが、わけなのだが……。
ゴポッと音を立てる泥川が目の前に広がっていた。
なにこれ。これって川なの? 川って普通さらっさらの透き通る水が流れてるとこじゃないの?
なんかおどろおどろしい色でネッチョリしてるんですけど……。
つーか、こんなところに入って宝石探す奴とかいんの? ホントに。
「山にある色々な成分が流れ出して、こんな感じになってるみたいよ」
いや、そうなのかもしれないけど、それでも普通こうはならないだろう。
まるで大きな工場から出た汚水が流れ出して、化学薬品とかで汚染されてるみたいな感じなんですけど。
そんなところに入って大丈夫なのだろうか?
俺がそう考えていると、エディナが持ってきた木造りのザルを川に浸した。
ザルには重石が付いていて、四隅に細いロープが取り付けられている。
それをグイグイと引いた後、川の流れに逆らうように引き上げると、ザルの中にはドロッとした塊が乗っていた。
それを素手で掴んで潰していく。
柔らかいのか容易く崩れるそれを揉むように潰して、エディナはポイッと川の端に捨てた。
それを繰り返すこと数回。
「あった!」
エディナが声を上げる。
見ればエディナの手には、ビー玉ぐらいの赤黒く光る石が握られていた。
「これがガラットよ」
得意げにぺたんこの胸を反らすエディナであったが、既に両腕は泥だらけである。寧ろそれは泥なのかもわからない何かが付着していた。
なんか臭いし。
うーん。エディナは可愛いけど、さすがにその属性はないわ。
はやくキレイキレイして欲しいです。
というか、これをツクヨミにやらせんの?
俺がチラッとツクヨミへ視線を向けると、ジトッとした目をこちらに向けてくる。
あーダメだ! これ絶対嫌がってる! 強要したらただでさえ低い俺のご主人様ゲージが急降下する!
「え、エディナ。さすがにこれをツクヨミにやらせるのはちょっと……」
俺が言うとエディナは、なにやら思案するとツクヨミに向かって声を掛けた。
「ツクヨミちゃん。昨日食べた中で何が一番美味しかった?」
「お肉。長いやつ」
あー、あのソーセージっぽい何かか。そう言えば、もりもり食べてたな。俺の分まで。
「じゃあ、今晩はそのポーセージを好きなだけ食べていいわ!」
おしいっ! ソーセージじゃなくてポーセージだったかぁ! つか、なんで素直にソーセージにしないの? ちょっと響きが面白くなっちゃってるじゃん! ポークビッツとソーセージ混ぜちゃってる感じじゃん!
俺の心のツッコミは他所に、ツクヨミは眠たげな目をキラキラ輝かせた。
うっ、これは可愛い。
「でもね。ポーセージはタダじゃないの。この小さい宝石一つでポーセージは五本食べられるわ」
いや、もっと食べられるから。一皿十二本で【400】イェンだから、一本あたり約【33】イェンだよ。まあ、野暮なツッコミは入れないけど。
「いっぱい集めたら、いっぱい食べれる?」
「ええ。ツクヨミちゃんが頑張った分だけ食べられるわ」
「うん。頑張る」
簡単にやる気になったツクヨミは、自前の衣をウネウネ動かして巨大なザルを作った。
いやー、凄いねエディナ。
俺よりよっぽどツクヨミの扱いが上手いわ。
つーか、お陰でご主人様としての俺の立場がやばいわ。
読んで頂きありがとう御座います。
いつカードバトルするんだよ!って思ってる人がいるかもしれません。いないかもしれません。
ですが、自分が言えることは一つです。
ポーセージの響きが好き!




