【027】川には石が落ちている
「川に行きましょう!」
朝食の席でエディナが突然言った。
一体どうしたというのだ。確かに暖かい気温だが、泳ぐにはだいぶ寒い気がするぞ?
だがまあ、エディナが川遊びをしたいというのなら、付き合わないこともない。
水着はビキニでお願いします。
胸はぺったんこだけど、お尻がキュートなエディナはきっと似合うと思うんだ!
ポロリもあるかな? あるよね! きっとある!
「険しい顔してるところ悪いんだけど、遊びに行くわけじゃないからね」
「何で険しい顔してるのに、俺の考えてることがわかるんだよっ!」
「鼻がヒクヒクしてるから、いやらしい事でも考えてるのかと思って」
俺のはなぁあああっ!
憎き鼻をむしり取らんばかりに、掴んでいるとエディナはやっぱりねと言って溜め息を吐いた。
あっ。くそうっ! はめられた!
「……ブル。どすけべ」
ツクヨミがフランスパンみたいな固いパンを、一斤丸々ガジガジ噛り付いたまま言った。
あのねぇ、ツクヨミ。ど、は言い過ぎだと思うよ。すけべなのは男の嗜みみたいなものだけど、どすけべになると途端に変態っぽくなるからやめようね。
あと、食い過ぎだぞぅ。
「まあ、ブルがどすけべなのは置いておくとして、川に行くのは宝石を集めに行くからよ」
エディナさんも、さらっと俺をどすけべ認定するのはやめて下さいお願いします。あと、認定したまま何処かに置いとかないでください。
俺は顔を引きつらせて話の続きを促した。
「ほ、宝石って?」
「昨日、委員会で依頼が出てていたのよ。ガラットって言う宝石を大量に集めている人がいるんだって」
「川にそのガラットって宝石が落ちてるの?」
「そうよ。ここからでも向こうに大きな山が見えるでしょ? ガラットはあの山で採掘されるんだけど、近くにある川はその山と繋がっているのよ」
「もしかして、山から流れて来た宝石が川でもとれるとか?」
「そうよ。そう言う知識は覚えているのね。川から取れる量は大した量じゃないし、今はまだ川に入るのは寒い時期でしょう? だから、知っていても誰も川には入らないの」
「えー。皆が嫌がることをやるのはわかるけど、流石に寒いんじゃない? 風邪引いちゃうよ?」
「そこでツクヨミちゃんの出番なのよ」
むっ! そうだった。昨日の薬草集めの時みたいに、ツクヨミが衣を展開すれば冷たい川に入る必要もなくなる。うむうむ、なんか楽々集められそうだ。
それに、この大飯食らいを働かせる良い機会ではないだろうか?
ツクヨミはよくわかっていないのか、きょとんとした顔で首を傾げていた。
うんうん。あとで説明してあげるからね。
だから、いい加減パンを食べるのをやめなさい!
「宝石ってことは、結構高値で売れるのかな?」
「そうね。純度によって大分差があるけど、両手一杯に集めれば昨日の稼ぎぐらいにはなると思うわ」
「よしっ! やろう!」
拳を握り締めて俺は席を立ち上がった。
昨日と同じじゃダメだ。その何倍もの金額を稼がなくては、ツクヨミの食事代は賄えないのだ!
これは死活問題。カードに戻せばって思うかもしれないが、そんなことはできるわけもない!
誰にもわかるまい。
上目遣いでイヤイヤする極悪級の可愛さに、俺は判断を鈍らされているのだ。
これはもう洗脳だ! いや、ちゃんと自覚してるから中毒みたいなものかもしれない。
だから、この麻薬のような中毒と共存する為にはもう!
俺は稼ぐしかないのだ!
読んで頂きありがとう御座います。
書くことあるかなぁと思って目を閉じたら、一瞬で一時間という時間が経過していた。
奴はとんでもないものを盗んでいきました。それは……
あなたの時間です! ぎゃー!




